【国際金融センター】国際金融都市OSAKA推進委員会設立 東京・福岡はすでに推進組織を発足

大阪市の動き(国際金融都市)

日経新聞によると

『大阪を世界の金融ハブにすることを目指す「国際金融都市構想」の推進組織が2021年3月29日、大阪市内で初会合を開いた。国内外の金融人材や運用資金を呼び込み、ロンドンやニューヨーク、東京などと並ぶ金融都市に育てることを目指す。産官の取り組みや国への要望事項を議論し、2022年3月までに具体的な戦略をまとめる。』

引用 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC239Y10T20C21A3000000/

東京・福岡はすでに推進組織を発足しており、大阪は出遅れている。

 

国際金融都市OSAKA推進委員会

  • 会長      関西経済連合会の松本正義会長
  • 副会長   吉村洋文大阪府知事や松井一郎大阪市長
  • 委員  SBIホールディングの北尾吉孝社長

2022年3月までにデリバティブ(金融派生商品)を活かした具体的な方針を示す。また、海外企業の拠点開設などの支援にあたる「ワンストップ窓口」の設置も検討し、国に対して税制措置や法規制の緩和を盛り込んだ「国際金融特区」創設の提案を働きかける。

 

2021年3月29日、野村ホールディングスは、米国子会社で2,200億円の損失が発生する可能性があると発表した。

1兆5000億円相当の株式を「ブロック取引」していた米へッジファンドが追証を入れられず、損失が発生していると言われる。

国際金融というと華やかなイメージだが、実際は多額の損失を出すことも多い。もし、大阪が国際金融都市になってとしても、時として大阪の企業が多額の損失を被る可能性もある。

野村ホールディングスですら、多額の損失を出すのだから、中途半端な人材が集まって「国際金融都市」という名前だけで中途半端な制度設計をすると、すぐに失敗して、大阪経済が長期低迷することもある。

 

以下は過去記事

政府は2021年度の税制改正大綱を2020年12月21日に閣議決定した。

事前の報道では「ファンド運用の報酬を金融所得と見なし20%の税率を適用する案」を盛り込むとされたが、結局、見送りとなった。

ただ、国際金融都市関係としては、就労のために日本に居住する外国人が日本で死亡した場合、その海外資産については日本の相続税の課税対象外となることが盛り込まれた。

 

国際金融都市に向けた税制上の措置(2021年度税制改正大綱)
  • 就労等のために日本に居住する外国人が死亡した際、その居住期間にかかわらず、外国に居住する家族等が相続により取得する国外財産を相続税の課税対象としない。
  • 投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対し支払われる業績連動給与について、一定の要件の下、損金算入を可能とする。
  • リミテッド・パートナーシップの投資家である外国組合員に対する課税の特例について、持分割合要件等の見直しを行う。

 

「ファンド運用の報酬を金融所得と見なし20%の税率を適用する案」は官僚が発想しそうな案だが、財務省が反対したと思われる。

日本の所得税の最高税率は所得税45%で住民税10%と合わせ55%が課税される。シンガポールや香港の所得税率は約20%なので全く競争にならない。

今回は所得税20%適用範囲の絞り込みができなかったので見送りになったのかもしれない。日本が本気で国際金融都市を目指すならば、所得税20%は絶対条件となるので、数年後には実現するかもしれない。

 

福岡市の動き(国際金融都市)

産経新聞によると、福岡市は「国際金融都市構想で外資系企業の本社は東京や大阪に置くと見て運用部門、事務部門、中小規模の投資ファンドの誘致を目指す。」という。

引用 https://www.sankei.com/economy/news/210107/ecn2101070023-n1.html

さらに、九州経済連合会、福岡県、福岡市、地元有力企業、九州大学などの「産官学」が一体となって誘致活動をする。

特に、金融とIT(情報技術)を融合させた「フィンテック」の開発拠点とする方針。

 

大阪はデリバティブ(先物など金融派生商品)の拠点としてアピールする方針だが、大阪大学、大阪公立大学との具体的な連携の話はなく、福岡市よりも大きく出遅れている。

大阪には世界初の本格的先物市場「堂島米市場」があったことから「デリバティブ」拠点を目指しているのだろうが、外資系ファンドはそんな歴史に何の興味もない。

外資系ファンドは、彼らが儲かればいいわけで、歴史をアピールする方針がそもそも「国際金融市場」を知らない素人発想だ。

現在の大阪府・大阪市の体制では「国際金融都市」を誘致することは不可能と思われる。

個人的に思ったことだが、アメリカのペンシルベニア大学ウォートン・スクールに匹敵するような大学院を設立すべきだと思う。

日本の上場企業の社内留学制度で、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールに留学する社員も多いので、そこの出身者を「国際金融都市」誘致の司令塔とすべきではないか?

 

菅首相の動き

菅政権は「大阪と福岡に外資系金融機関を誘致、国際金融センター(拠点)とする」政策を掲げている。

しかし、日本の最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)で、香港やシンガポールの約15%~20%と比較して高いという問題がある。

そこで、政府は2020年12月10日に取りまとめる「2021年度税制改正大綱」に「ファンド運用の報酬を金融所得と見なし20%の税率を適用する案」を盛り込む方針だったが、今回は見送りとなった。

しかし、香港やシンガポールは相続税が0%なので、日本に居住する外国人の海外資産については相続税を課税対象としないことが決定した。

菅政権は「国際金融都市誘致」に向けて本気で取り組んでおり、大阪もその準備をすべきだが、残念ながら国際金融に詳しい人材が大阪市役所や大阪府庁にいるとは思えない。

 

大阪は国際金融センターになれるのか?
2021年最新の国際金融センター指数 Global Finacial Centers Index(イギリスのシンクタンクZ/Yen)
順位都市点数
1位ニューヨーク764点
2位ロンドン743点
3位上海742点
4位香港741点
5位シンガポール740点
6位北京737点
7位東京736点
8位深セン731点
9位フランクフルト727点
10位チューリッヒ720点
11位バンクーバー719点
12位サンフランシスコ718点
13位ロサンゼルス716点
14位ワシントンDC715点
15位シカゴ714点
16位ソウル713点
17位ルクセンブルク716点
18位シドニー712点
19位ドバイ710点
20位ジェネバ709点
32位大阪684点
圏外福岡
大阪は、国際金融センター指数(Global Finacial Centers Index)で世界32位と出遅れている。
一方、東京は世界7位を前年よりもランクは落ちたが、依然、東京の方が圧倒的に有利と言わざるを得ない。
そもそも、香港からの国際金融センター機能を誘致するのが目的だったが、香港は世界4位、上海が世界3位と、中国の都市が上位を維持している。
なぜ「大阪(関西)」と「福岡」なのか?
  • 政府は東京を国際金融センターとすることを目指してきたが、新型コロナウイルス感染拡大や災害を考慮してリスク分散のため方針を転換したとされる。
  • イギリスのシンクタンクによる「国際金融センター指数」は、ロンドン743点、上海742点、東京736点、大阪684点となっている。
  • やはり、外資系金融機関にとって東京の方がビジネスをしやすい。したがって、日本政府の意向にかかわらず、外資系金融機関は東京に拠点を移したり、拡張したりすると思われる。
  • 東京は日本政府が関与しなくても、国際金融都市になるから言及しないだけかもしれない。

 

バックオフィス拠点か?

  • 東京の災害リスクからバックオフィス的拠点を「大阪(関西)」と「福岡」に設置するのかもしれない。
  • 例えば、ニューヨークの大手金融機関は9.11以降テロに備えてバックオフィスを、隣接するニュージャージー州に設置してる。
  • ただ、ニューヨークとニュージャージーの位置関係は東京と横浜のようなもので、「大阪(関西)」と「福岡」はやや離れている。

 

香港から上海への移転を予想している

  • 中国政府は香港から上海へ外資系金融機関を移転させようとしている。
  • その上海に近い「大阪(関西)」と「福岡」に国際金融拠点を設置するのか?
都市都市間距離
上海那覇800km
福岡900km
大阪1,400km
東京1,800km

福岡や大阪は上海や香港に近いという地理的メリットがある。

 

香港、東京、大阪の違い
香港やシンガポールは、法人税も個人所得税(15%~20%)も安く、相続税、贈与税、株式土地の売却益(キャピタルゲイン)が非課税というメリットがあり、日本が国際金融センターになるには税制上のデメリットがある。
逆に日本が有利な点は、個人が不動産の所有権を取得できることだ。例えばシンガポールは外国人は不動産の所有権を所得出来ない。また香港は住宅価格が上昇しており、駐在員が賃貸する70㎡~80㎡の家賃は月額100万円を超えるし、条件のいい30㎡~40㎡のワンルームなら月額家賃40万円以上も珍しくない。

日本人から見ると、東京の家賃は高いが、香港人やシンガポール人から見れば、それほど高くなくデメリットではない。したがって、東京の方が国際金融センターとして適している。

 

大阪と東京の不動産ビジネスの違い

東京の不動産ビジネスは、株式市場から資金調達する「エクイティファイナンス」が発達している。一方、大阪は銀行からの融資資金で不動産を建設することが多い。

香港から金融センターを誘致するなら、大阪の商習慣から変化しないといけない。

また、海外から投資資金が大阪に投資されると、大阪の不動産価格が上昇する。東京よりも大阪のマーケットは小さく、簡単に不動産価格がバブル状態になる。

「国際金融センターを大阪に誘致」すると「デメリット」が必ずあるわけで、それも含めた「準備」は大阪は全くできていない。

 

国際金融特区が必要

大阪に国際金融センターを誘致すると言っても、大阪市全体を「国際金融センター」にするには10年~20年かかる。

数年で国際金融センターを立ち上げるには「特区」を指定して集中的に開発する必要がある。

例えば、ロンドンのシティ(国際金融センター)の面積は2.9㎢(290ha)で、それ以外に外国人居住用の土地1㎢~2㎢(100ha~200ha)も必要となるので、合計すると4㎢~5㎢(400ha~500ha)くらいの面積になると予想される。

 

国際金融センター特区候補地
  • 六甲アイランドの総面積は595haで面積的には十分だが、すでに開発が進んでおり、未利用地はそれほど広くない。
  • 大阪湾の「舞洲」(完成すれば395ha)は、かつて1988年の「テクノポート大阪」の候補地となったくらいなので「国際金融センター」としても十分機能すると思う。隣接する「夢洲」が2025年大阪関西万博とIR(統合型リゾート)が建設されるので、インフラなども共通として整備できるので相乗効果が期待できる。
  • 大阪空港(伊丹空港)の面積は周辺買収地も含め約400haで、モノレールや高速道路も整備されている。しかし大阪空港を廃港にする必要があり、すぐには着工できない。

六甲アイランドには外国人が多く居住しており、阪神高速湾岸線経由なら車で30分くらいで「大阪の夢洲・舞洲」に行けると思う。したがって「大阪の夢洲・舞洲」を国際金融センターとし、六甲アイランドを居住地とすることもあり得ると思う。

 

まとめ
  • 国際金融センターとしては、東京の方が圧倒的に適しているので、第1段階としては東京を国際金融センターとして先行すると予想される。
  • 第2段階として、大阪や福岡に「国際金融特区」を整備して分散させる。
  • 大阪・関西の「国際金融特区」の候補地は、大阪湾岸「舞洲・夢洲」、大阪空港(伊丹空港)、六甲アイランド(神戸市)などがあるが、大阪湾岸「舞洲・夢洲」が最有力。
  • 大阪・関西は「国際金融センター」について全く準備ができていない。
  • 国際金融センターを誘致すれば、不動産価格の上昇などデメリットがある。
  • 外国人だけ税制優遇すると地元市民が反対する可能性がある。
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