「大阪と福岡に外資系金融機関を誘致、国際金融センター(拠点)」ファンド運用報酬 20%に減税か?

菅政権は「大阪と福岡に外資系金融機関を誘致、国際金融センター(拠点)とする」政策を掲げている。

しかし、日本の最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)で、香港やシンガポールの約15%~20%と比較して高いという問題がある。

そこで、政府は2020年12月10日に取りまとめる「2021年度税制改正大綱」に「ファンド運用の報酬を金融所得と見なし20%の税率を適用する案」を盛り込む方針。

数年後になると思われるが、香港やシンガポールは相続税が0%なので、日本に居住する外国人の海外資産については相続税を課税(0%)しないようにするかもしれない。

菅政権は「国際金融都市誘致」に向けて本気で取り組んでおり、大阪もその準備をすべきだが、残念ながら国際金融に詳しい人材が大阪市役所や大阪府庁にいるとは思えない。

 

菅首相の動き

菅氏は、2020年7月中旬以降、和泉洋人総理大臣補佐官に「香港から流出する人材・資本」を日本の大阪と福岡に誘致することを検討するよう指示したとされる。

やはり、首相に就任するため福岡を地盤とする「麻生氏」と大阪を地盤とする「大阪」に配慮したと思われる。

逆に言うと菅氏の首相就任と見返りに「大阪と福岡を国際金融センター」にする政策なので、政府(官僚)は絶対に従わないといけない。

したがって、単なる構想ではなく、政府(官僚)は本気で取り組む姿勢を示す必要がある。

 

大阪は国際金融センターになれるのか?
2020年最新の国際金融センター指数 Global Finacial Centers Index(イギリスのシンクタンクZ/Yen)
順位都市点数
1位ニューヨーク769点
2位ロンドン742点
3位東京741点
4位上海740点
5位シンガポール738点
6位香港737点
7位北京734点
8位サンフランシスコ732点
9位ジュネーブ729点
10位ロサンゼルス723点
11位深セン722点
12位ドバイ721点
13位フランクフルト720点
14位チューリッヒ719点
15位パリ718点
16位シカゴ717点
17位エジンバラ(UK)716点
18位ルクセンブルク715点
19位広州714点
20位シドニー713点
59位大阪656点
圏外福岡
大阪は、国際金融センター指数(Global Finacial Centers Index)で世界59位と大きく出遅れている。
一方、東京は世界3位でしかも世界2位のロンドンとは1点差なので、東京の方が圧倒的に有利と言わざるを得ない。
第1段階として、東京に香港からの国際金融センター機能を誘致し、第2段階として、大阪や福岡に分散する方法が合理的だ。
いきなり、大阪や福岡を国際金融センターにするには無理がある。

 

なぜ「大阪(関西)」と「福岡」なのか?
  • 政府は東京を国際金融センターとすることを目指してきたが、新型コロナウイルス感染拡大や災害を考慮してリスク分散のため方針を転換したとされる。
  • 2020年3月のイギリスのシンクタンクによる「国際金融センター指数」は、ロンドン742点、東京741点、上海740点となっている。
  • 現実的には、外資系金融機関にとっては、東京の方がビジネスをしやすい。したがって、日本政府の意向にかかわらず、外資系金融機関は東京に拠点を移したり、拡張したりすると思われる。
  • 東京は日本政府が関与しなくても、国際金融都市になるから言及しないだけかもしれない。

 

バックオフィス拠点か?

  • 東京の災害リスクからバックオフィス的拠点を「大阪(関西)」と「福岡」に設置するのかもしれない。
  • 例えば、ニューヨークの大手金融機関は9.11以降テロに備えてバックオフィスを、隣接するニュージャージー州に設置してる。
  • ただ、ニューヨークとニュージャージーの位置関係は東京と横浜のようなもので、「大阪(関西)」と「福岡」はやや離れている。

 

香港から上海への移転を予想しているのか?

  • 中国政府は香港から上海へ外資系金融機関を移転させようとしている。
  • その上海に近い「大阪(関西)」と「福岡」に国際金融拠点を設置するのか?
都市都市間距離
上海那覇800km
福岡900km
大阪1,400km
東京1,800km

 

香港、東京、大阪の違い
香港やシンガポールは、法人税も個人所得税(15%~20%)も安く、相続税、贈与税、株式土地の売却益(キャピタルゲイン)が非課税というメリットがあり、日本が国際金融センターになるには税制上のデメリットがある。
逆に日本が有利な点は、個人が不動産の所有権を取得できることだ。例えばシンガポールは外国人は不動産の所有権を所得出来ない。また香港は住宅価格が上昇しており、駐在員が賃貸する70㎡~80㎡の家賃は月額100万円を超えるし、条件のいい30㎡~40㎡のワンルームなら月額家賃40万円以上も珍しくない。

日本人から見ると、東京の家賃は高いが、香港人やシンガポール人から見れば、それほど高くなくデメリットではない。したがって、東京の方が国際金融センターとして適している。

 

大阪と東京の不動産ビジネスの違い

東京の不動産ビジネスは、株式市場から資金調達する「エクイティファイナンス」が発達している。一方、大阪は銀行からの融資資金で不動産を建設することが多い。

香港から金融センターを誘致するなら、大阪の商習慣から変化しないといけない。

また、海外から投資資金が大阪に投資されると、大阪の不動産価格が上昇する。東京よりも大阪のマーケットは小さく、簡単に不動産価格がバブル状態になる。

「国際金融センターを大阪に誘致」すると「デメリット」が必ずあるわけで、それも含めた「準備」は大阪は全くできていない。

 

国際金融特区が必要

大阪に国際金融センターを誘致すると言っても、大阪市全体を「国際金融センター」にするには10年~20年かかる。

数年で国際金融センターを立ち上げるには「特区」を指定して集中的に開発する必要がある。

例えば、ロンドンのシティ(国際金融センター)の面積は2.9㎢(290ha)で、それ以外に外国人居住用の土地1㎢~2㎢(100ha~200ha)も必要となるので、合計すると4㎢~5㎢(400ha~500ha)くらいの面積になると予想される。

 

国際金融センター特区候補地
  • 六甲アイランドの総面積は595haで面積的には十分だが、すでに開発が進んでおり、未利用地はそれほど広くない。
  • 大阪湾の「舞洲」(完成すれば395ha)は、かつて1988年の「テクノポート大阪」の候補地となったくらいなので「国際金融センター」としても十分機能すると思う。隣接する「夢洲」が2025年大阪関西万博とIR(統合型リゾート)が建設されるので、インフラなども共通として整備できるので相乗効果が期待できる。
  • 大阪空港(伊丹空港)の面積は周辺買収地も含め約400haで、モノレールや高速道路も整備されている。しかし大阪空港を廃港にする必要があり、すぐには着工できない。

六甲アイランドには外国人が多く居住しており、阪神高速湾岸線経由なら車で30分くらいで「大阪の夢洲・舞洲」に行けると思う。したがって「大阪の夢洲・舞洲」を国際金融センターとし、六甲アイランドを居住地とすることもあり得ると思う。

 

まとめ
  • 国際金融センターとしては、東京の方が圧倒的に適しているので、第1段階としては東京を国際金融センターとして先行すると予想される。
  • 第2段階として、大阪や福岡に「国際金融特区」を整備して分散させる。
  • 大阪・関西の「国際金融特区」の候補地は、大阪湾岸「舞洲・夢洲」、大阪空港(伊丹空港)、六甲アイランド(神戸市)などがあるが、大阪湾岸「舞洲・夢洲」が最有力。
  • 大阪・関西は「国際金融センター」について全く準備ができていない。
  • 国際金融センターを誘致すれば、不動産価格の上昇などデメリットがある。
  • 外国人だけ税制優遇すると地元市民が反対する可能性がある。
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