阪急「新大阪連絡線」「なにわ筋連絡線」についての考察、完成は2040年以降か?

阪急「新大阪連絡線」「なにわ筋連絡線」の概要

路線図 出典 大阪市(当ブログで一部加筆)

阪急電鉄は、新大阪駅から十三駅までの地下新線「阪急新大阪連絡線」と十三駅からJR北梅田駅までの新線「なにわ筋連絡線」の建設を計画している。

2019年10月「阪急」「JR西日本」「南海」の鉄道3社は事業化に向け本格検討に乗り出すことに合意した。その後、大阪府・市と運行ルート及び事業スキームについて協議を始めるとされた。

2022年11月時点で動きはありませんが、当ブログで考察してみます。

結論から言うと、もし本連絡線が建設されるなら、2040年代以降になると思う。

ちなみに、阪急線の軌道幅は広軌(1,435mm)だが、本連絡線は狭軌(1,067mm)で敷設すると予想される。

2021年10月撮影(新大阪駅の西側)

阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線の建設費

路線区間建設費距離
阪急新大阪連絡線阪急十三駅~新大阪駅590億円2.1km
なにわ筋連絡線阪急十三駅~JR大阪(地下)駅870億円2.5km
2線同時建設JR大阪(地下)駅~新大阪駅1,310億円4.6km
  • 2路線の建設費は別々に整備した場合は合計で1,460億円となるが、同時に整備すると150億円の費用を抑制でき1,310億円になるという。
  • 工事着工するには「国・大阪府・大阪市」の補助金が絶対条件だが、2022年度の予算がついていない。
  • 2031年なにわ筋線開業、2037年リニア中央新幹線開業、2046年北陸新幹線(新大阪駅)開業などを視野に入れた長いスパンの計画と思われる。

 

「阪急十三駅~関西空港駅」の所要時間と運賃予想(当ブログ)

区間列車種別所要時間予想運賃
阪急十三駅~関西空港駅南海(ラピート)最速43分(38分+5分)2,200円
南海(空港急行)60分(55分+5分)1,300円
  • JR大阪(地下)駅=関西空港駅の所要時間は、(南海ラピート)で38分、(南海空港急行)55分とし、それにJR大阪(地下)駅~阪急十三駅までの予想所要時間5分を加算した。

運行本数予想

鉄道会社特急急行合計
南海ラピート2本/時空港急行4本6本/時
JR0本/時0本/時0本/時
合計2本/時4本/時6本/時
  • 南海電車の特急(ラピート)2本/時と空港急行4本/時がすべて阪急線に乗り入れるパターンで、この可能性が最も高い。
  • 空港急行は1時間に4本で空港アクセス鉄道としてはいいが、新大阪駅へのアクセス鉄道としては15分に1本では少なすぎる。

 

2031年春「なにわ筋線」と同時開業は困難か?

以前は、2031年春の「なにわ筋線」と同時開業を目指すと予想していたが、2023年度の予算にも計上されていないので、2031年の開業も難しいと思う。

阪急「淡路駅」の立体化事業は、2028年度に高架線に切替、2031年度に事業が完了する予定。

阪急電鉄は「仮・武庫川新駅」を2030年頃に開業する予定。

また、阪急阪神HD「芝田1丁目計画」(大阪新阪急ホテル・阪急ターミナルビル・阪急三番街)の一体再開発は2035年頃完成予定となっている。

阪急電鉄は、現在3つの鉄道関連のプロジェクトを抱えており、「阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線」を早期に着工する目途は立っていない。

スケジュール的に最も早くて2025年に着工、2035年完成くらいだと思う。逆に遅い場合だと2035年着工、2045年完成で、北陸新幹線の新大阪開業の頃になるのではないか?

 

運行本数予想

鉄道会社特急急行合計
南海ラピート2本/時空港急行4本6本/時

 

1時間4本の急行では使えない

「阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線」には1時間に2本の南海特急「ラピート」と1時間4本の南海空港急行が運行されると予想される。

阪急「十三駅」から新大阪に行くのに、特急料金を払う人はほとんどいない。したがって、実質的に1時間4本の南海空港急行のみとなる。

現在、阪急線では、10分間に無料特急(または無料急行)と普通の2本を運行している。つまり5分間に1本の計算になる。

しかし、南海空港急行は1時間に4本、つまり「15分間に1本」なので、阪急線との接続は悪く、場合によっては、JR大阪駅経由の方が速いかもしれない。

 

1時間2本の特急も使い勝手が悪い

南海特急「ラピート」も1時間に2本、つまり30分に1本となる。JR大阪駅は南海とJRの特急で合計1時間に4本運行する。

したがって、阪急十三駅で30分に1本の特急を待つよりも、JR大阪駅で15分に1本運行する特急に乗った方が便利かもしれない。

 

コメント

阪急としては、将来的に「阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線」をJR大阪駅(地下ホーム)入線できるよう、JR側に接続ポイントを用意してもらうために新路線計画を公表したのだと思う。

また、新大阪~大阪間の線路長はJR線が3.4km、阪急線が4.6kmと阪急線の方が時間がかかるので、その点でも「阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線」のメリットは少ない。

阪急の立場からすると、1時間に4本の南海急行と4本のJR関空快速の合計8本すべてを「阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線」に乗り入れると7.5分に1本となるので、利便性は高まる。

しかし、JR側は関空快速を「阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線」で運行することには積極的ではないと思う。

 

新大阪駅周辺「都市再生緊急整備地域」に指定

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政府は、2025年10月25日の閣議で、集中的に再開発できるよう規制を緩和する「都市再生緊急整備地域」に、新大阪駅周辺の114haを指定することを決定した。

参照 日本テレビ https://news.ntv.co.jp/nnn/92n72ubntb4lkw3vy8

新大阪駅を中心におおむね500mの範囲の商業地域及び土地利用の転換が見込まれるエリアを含み幹線道路などで囲まれるまとまりのある範囲を都市再生緊急整備地域の区域とする。

これにより、現在400%~800%の容積率は最大2,000%まで緩和することができ、遅れていた新大阪駅周辺の再開発が加速すると見られる。

また、企業の税制が優遇されるメリットもある。

 

阪急新大阪連絡線

鉄道会社は運賃収入だけでなく、不動産開発による収益を考慮して、鉄道路線を建設する。したがって、新大阪駅周辺が「都市再生緊急整備地域」に指定されたことで、「阪急新大阪連絡線」を建設する環境は整ってきたと言えるかもしれない。

しかし、「都市再生緊急整備地域」に指定されたことで、大規模な開発になるので、全体の完成は20年はかかると思う。

そのため、阪急としても新大阪駅周辺の開発が具体的に決定してから「阪急新大阪連絡線」に着工するのではないか?

そうなると、「阪急新大阪連絡線」の完成は20年後の2040年頃になるかもしれない。

 

出典 大阪府(素案)

番号事業者内容
1阪急電鉄新大阪連絡線新駅+駅ビル
2大阪府市・JR西日本駅前広場の機能向上
3民間都市開発(建替)オフィス複合開発(メルパルク大阪か?)
4東淀川区市営住宅余剰地の活用
5民間都市開発(新大阪駅前)一体再開発事業

 

出典 大阪府

新大阪駅周辺のプロジェクト

プロジェクト名
2025年大阪・関西万博
2026年阪神高速淀川左岸線2期
2031年なにわ筋線
2037年頃リニア中央新幹線(新大阪延伸)開通
2030年以降阪神高速淀川左岸線延伸部
2046年頃北陸新幹線開通

 

2021年10月撮影(新大阪駅西北側)

 

2021年3月14日、JR新大阪駅北口のフットサルコート「キャプテン翼スタジアム新大阪」が閉店した。

 

 

新大阪阪急ビル(筆者 撮影)

当ブログの見方としては、大阪府・市の出資金(事業費負担)をいくらにするかという「協議中」と思われる。

鉄道新路線の建設は、鉄道会社の資金力だけでは建設できず、国や自治体の補助金が前提になっている。

例えば、京阪中之島線(2.9km)では、国330億円、大阪府165億円、大阪市330億円を負担している。

京阪中之島線の事業費

事業者事業費負担
中之島高速鉄道+京阪電鉄485億円
330億円
大阪府165億円
大阪市330億円
合計1,310億円

 

京阪中之島線のスケジュール

日時内容
2001年3月30日中之島線事業への着手を正式決定
2003年5月28日起工式
2008年10月19日開業
路線長2.9km
工期5年

京阪中之島線(2.9km)の工期は約5年なので、阪急「新大阪連絡線・なにわ筋連絡線(4.6km)」の工期は8年くらいかもしれない。

2023年の政府や大阪府などの予算がついていないので、2031年春の「なにわ筋線」開業には間に合わない。

阪急はもっと長期的に、中央リニア開業(2037年)や北陸新幹線(新大阪駅)2046年開業を見据えているのではないか?

 

阪急初の狭軌新造車両の可能性は?

阪急電車の車両は標準軌(1,435mm)であり、阪急「新大阪連絡線」が狭軌(1,067mm)で敷設されると「阪急初の狭軌新造車両」への期待が高まる。

しかし、阪急が狭軌車両を製造するとしても車両編成数は10編成程度と少なくメンテナンス費用も割高になる。

また、阪急の車両整備工場は「正雀駅」に隣接しているが、そこまで「狭軌線路」を敷設する計画はない。

したがって、阪急は独自の狭軌車両を製造せず「南海(またはJR)」の狭軌車両がそのまま乗り入れすると予想される。

ただ、JR「大阪駅(地下ホーム)」~阪急「新大阪駅」間は、阪急の運転手と車掌が担当する可能性が高いと思う。

 

採算性

事業費は1,310億円なので、40年で累計黒字にするには毎年約33億円の利益が必要となる。

阪急十三駅~大阪梅田駅の運賃は160円で「阪急十三駅~JR大阪駅(地下ホーム)」も同運賃の160円になると予想されるので、イメージとして「輸送人員10万人/日・年間運賃収入約58億円」くらいになるのではないか?

(国土交通省近畿運輸局の調査では輸送人員は約5.5万人/日)

輸送人員(十三駅~北梅田駅)年間運賃収入(160円で試算)
5万人/日29億2000万円
10万人/日58億4000万円

2018年通年平均の阪急「大阪梅田駅」の乗降人員は508,862人(1日)なので、このうち7万~8万人が「十三駅~JR大阪(地下)駅」路線に移り、新規利用者は2万人~3万人程度か?

既存の「阪急大阪梅田駅」の利用者は7万人~8万人減少すると思われるが、既存の阪急全路線で黒字を維持できれば阪急的には許容できるのではないか?

関空の国際線利用者(2019年)は年間約2,500万人でうち日本人は約800万人、関空国内線は約700万人なので、日本人の関空利用者は年間約1,500万人となっている。このうち、6割が鉄道を利用すると年間約900万人となる。

阪急沿線からの関空行の鉄道利用者は年間900万人のうち、年間400万人くらいと仮定すると、1日当たり1万1000人(/日)になる。

そうなると、関空行の需要(関空特急)だけでは新路線の採算はとれないので、阪急沿線から「中之島」や「なんば」への利用者を取り込むため「南海空港(急行)」の運行が必須となる。

したがって、15分に1本の南海空港急行では、採算性がそれほど良くない。

 

新大阪での「なにわ筋線」乗換予想

「阪急新大阪線」は、現在の新大阪阪急ビルの地下に(仮称)阪急新大阪駅が建設される計画だが、新幹線からの乗り換えに時間がかかる。

一方、新幹線から「JRなにわ筋線」に乗り換える場合、新幹線乗り換え口に最も近い「在来線1番乗り場」となるので圧倒的に「JRなにわ筋線」の方が便利だ。

また、新幹線からJR特急に乗り継ぐと「特急料金が半額」になるので、新幹線利用者は「JRの関空特急」を利用すると思われる。

さらに、JR新大阪~JR大阪駅は線路長3.4kmで途中駅がなく現在でも所要時間4分で運行している。一方、阪急新大阪駅~JR大阪駅(地下ホーム)の線路長は4.6kmと長く、また阪急十三駅に停車するので、所要時間はJR線よりも長くなる。

したがって、JRの車両は阪急新大阪駅には乗り入れせず、すべてJR新大阪駅に乗り入れすると予想される。

 

阪急線利用者のメリット阪急京都線の利用者

阪急京都線の「南方駅」で大阪メトロ御堂筋線に乗換え新大阪に行ける。また阪急淡路駅で「おおさか東線」に乗換えても新大阪駅に行ける。したがって、阪急京都線の利用者にとっては阪急の新大阪連絡線のメリットは少ない。

 

阪急宝塚線の利用者

阪急新大阪連絡線は十三駅の地下ホームになると思われるので乗り換えに時間がかかるし、新大阪も阪急地下駅から高架のJR新幹線ホームまで行く必要がある。

現在のJR大阪駅乗り換えで新大阪に行く場合と比較して劇的に便利という訳でもない。

また、阪急宝塚線(梅田行)利用者は十三駅で下車したホームと同じホームで阪急京都線に乗り換ることができる。その後、阪急淡路駅で「おおさか東線」に乗り換えて新大阪に行ける。

南海空港急行のみが乗り入れる場合、15分間隔の運転になるので使い勝手が悪い。

 

阪急神戸線の利用者

そもそも、阪急神戸線はJR神戸線の数百m北側を平行して敷設されている。そのためこのエリアの利用者の多くは阪急線とJR線の2路線を利用することができ、新大阪に行く場合、JR神戸線を利用すれば新大阪駅まで直通で行ける。

したがって、「阪急新大阪連絡線」のメリットは少ない。

 

まとめ

「阪急新大阪連絡線」は路線自体は便利だが、現在の予想では、特急料金不要な電車は南海急行のみで15分に1本の運行となる。

阪急は特急料金不要の電車を5分に1本を運行しているので、15分に1本では利便性が悪すぎる。

最低限、10分に1本は運行する見込みが立たないと建設は無理なのような気がする。

運行本数が少ないという問題が解決しないのであれば、阪急が単独で十三駅~新大阪駅の新路線を建設する可能性もあると思う。

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