2023年10月の大阪府を訪れた外国人客数は2019年10月を上回り、単月で新型コロナウイルス禍前の水準を初めて超えた。
大阪観光局の溝畑宏理事は「2023年通年の来阪者数は1,000万人は確実に超え、24年はコロナ禍前を大幅に上回る」としている。
参照 日経新聞
来阪外国人観光客の推移
年 | インバウンド客数(大阪) | インバウンド消費額 |
2030年 | 2,000人(目標) | 3兆円(目標) |
2023年 | 1,000万人(予想) | 1兆5,000億円(予想) |
2022年 | 150万人 | 1,909億円 |
2021年 | 9万人 | 115億円 |
2020年 | 159万人 | 2,024億円 |
2019年 | 1,231万人 | 1兆 5,665億円 |
2018年 | 1,142 万人 | 1兆2,356億円 |
2017年 | 1,110万人 | 1兆1,852億円 |
2016年 | 940万人 | 8,633億円 |
2015年 | 716万人 | 5,784 億円 |
2014年 | 376万人 | 2,661億円 |
2023年の大阪を訪日した外国人客数は1,000万人、客単価15万円として、インバウンド消費額は大阪府だけで1兆5000億円と予想される。
2019年のインバウンド消費額の1兆5,665億円をほぼ回復すると見られる。
課題
大阪は高級ホテルの数が20軒程度でまだまだ少なく、外国人富裕層の取り込みが十分ではない。
富裕層は大阪・京都・奈良の高級ホテルを宿泊することが多いので、3都市の高級ホテルの連携が必要だと思う。
中には大阪のホテルに荷物を置いたまま、京都や奈良に1泊~2泊する富裕層もいる。
高級ホテルではバトラーが「パッキングサービス」を実施しているホテルもあると思うがまだまだ一般的ではない。
自転車問題
御堂筋線の歩道が拡張されたり、「なんば広場」がオープンしたりして、歩行者空間が広がったが、自転車のマナーが悪く、落ち着いて買い物できる環境ではないときもある。
自転車のマナーをなんとかしないと、2030年に3,000万人という目標は達成できないかもしれない。
地下鉄駅エスカレーターがない問題
大阪市内は地下鉄が8路線ある。地下鉄で市内とほとんど移動できるのは日本では東京と大阪しかない。
しかし、大阪の地下鉄の駅のエスカレーターは少ないと思う。
例えば、大阪城の最寄り駅「谷町四丁目駅」も大阪城方向の出口にはエスカレーターが設置されていない。
コメント
大阪のインバウンド客は順調に増加しているので、奇をてらったことをする必要はない。
観光客の小さい不便・不満を着実に解決することが必要だと思う。
以下は過去記事
外国人は大阪のどこに行く?
順位 | 観光地 | 所在地・エリア |
1位 | 道頓堀(心斎橋なんば) | 大阪市中央区 |
2位 | 大阪城 | 大阪市 |
3位 | USJ | 大阪市 |
4位 | 梅田スカイビル | 大阪市 |
5位 | 観覧車(HEP FIVE / 天保山) | 大阪市 |
6位 | 通天閣 | 大阪市 |
7位 | 海遊館 | 大阪市 |
8位 | 四天王寺 | 大阪市 |
9位 | 天王寺動物園 | 大阪市 |
10位 | グランフロント大阪 | 大阪市北区 |
11位 | 大阪くらしの今昔館 | 大阪市(天六) |
12位 | あべのハルカス | 大阪市 |
13位 | 遊覧船(八軒浜、大川) | 大阪市 |
14位 | 住吉大社 | 大阪市 |
15位 | エキスポシティ | 吹田市 |
16位 | 箕面の滝 | 箕面市 |
17位 | 泉佐野・犬鳴山温泉 | 泉佐野市 |
18位 | 百舌鳥・古市古墳群 | 堺市 |
1位から10位まで、大阪の人気観光地がランクインしている。
11位の「大阪くらしの今昔館」は天六にあり大阪の歴史を体感できる施設で、地下鉄谷町線・堺筋線・阪急電鉄「天神橋筋六丁目駅」と直結して、交通アクセスがいい。
ただ、「箕面の滝」は16位に入っているが、それよりも都心に近い「服部緑地公園」はランク外となっている。
大阪には外国人に知られていない観光資源がまだまだあるが、整備もアピールもされていない。
どこに宿泊するか?
訪日外国人の大阪府内での平均宿泊日数は3.6日で、日本全体では7.1日となっている。
つまり、7泊の日本旅行のうち、大阪府内に3泊~4泊していることになる。
訪日外国人の65%がホテル・旅館・コンドミアムに宿泊しており、19%は民泊を利用している。
経済効果
訪日外国人(大阪)1,100万人×3.6日=3,960万人となり、年間延3,960万人の外国人が大阪府内に宿泊していることになる。
これは、1日当たり10万8500人で、訪日外国人も含めると大阪府の人口は約11万人増加したと言える。
大阪府の人口は2010年⇒2015年で約2万6000人減少したが、インバウンドがそれを補っているとも言える。
SNSで情報収集
ガイドブックを見て観光するのは古い。現在の外国人観光客はSNSで情報を得ることが多い。
したがって、インバウンド観光客の利便性のために、無料WI-FIを整備しないといけない。
「OSAKA FREE Wi-Fi」は、現在4,000ヵ所で利用できる。
コメント
インバウンド観光客は、夜に街歩きする傾向がある。京都の寺院は午後4時に閉門し、店舗も早く閉店する。
したがって、外国人観光客は大阪に宿泊し、電車などで日帰りで京都に行くことが多い。
今後は、数百億円もかけて、新に観光施設を作るのではなく、今ある観光施設をブラッシュアップすべきだ。
例えば、最寄り駅から地下道で直接アクセスできるようにするなど、まだまだ、改善余地はある。
また、天王寺動物園は9位にランクインしているが、その隣の「大阪市立美術館」はランク外となっているなど、もう一歩、観光客を呼び込む工夫がされていない施設もある。
百舌鳥・古市古墳群は18位となっているが、周辺整備は遅れており観光客を「がっかり」させる可能性がある。
大阪へのインバウンド観光客1,100万人と浮かれている場合ではなく、早急に改善すべきことも多い。
インバウンド効果として、近年、大阪はホテルや商業施設が建設されており、西日本から20代~30代女性の転入が増加している。
つまり、観光資源を整備することにより、国内の観光客や移住者も増加するという効果がある。