関西3空港懇談会 開催【2022年9月18日】
関西の自治体、民間空港会社、商工会議所、国土交通省などが「関西空港・大阪空港・神戸空港」の役割を話し合う「関西3空港懇談会」が2022年9月18日に、大阪市内で開催される予定。
今回の懇談会の検討課題は以下の通り
- 関空の年間発着枠23万回を30万回に引き上げる
- 神戸空港の国際化
2022年9月18日参加機関(予想)
- 国土交通省航空局、国土交通省大阪航空局
- 京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、大阪市、神戸市、堺市
- 大阪商工会議所、神戸商工会議所、関西エアポート株式会社、新関西国際空港株式会社、公益社団法人関西経済連合会
関西3空港懇談会とは
2006年の神戸空港開港を控え、関西経済連合会の秋山会長(当時)の提唱により平成15年(2003年)から開催されることとなった会議で、地元経済界及び自治体とで関西3空港の在り方について議論することを目的としたもの。
「メンバーは、関経連会長、大阪府知事、大阪市長、兵庫県知事、神戸市長」で、国土交通省も毎回出席する。
関西3空港概要
空港名 | 関西国際空港 | 伊丹空港 | 神戸空港 |
滑走路 | 4000m×60m・1本 3500m×60m・1本 | 3000m×60m・1本 1828m×45m・1本 | 2500m×60m・1本 |
運用時間 | 24時間 | 14時間(7時~21時) | 16時間(7時~23時) |
年間発着枠 | 23万回 | 13.5万回(1日370回) | 2.9万回(1日80回) |
年間旅客数(2019年度) | 2877万人 (国内線670万人) (国際線2206万人) | 1576万人(国内線) | 329万人(国内線) |
開港 | 1994年9月 | 1951年民間航空機就航(1970年3000m化) | 2006年2月16日 |
関空旅客数・発着回数
年 | 関空旅客数 | 関空発着回数 | ||||
合計 | 国際線 | 国内線 | 合計 | 国際線 | 国内線 | |
2021年度 | 363万人 | 27万人 | 336万人 | 7.2万回 | 3.6万回 | 3.5万回 |
2020年度 | 225万人 | 20万人 | 205万人 | 5.8万回 | 3.1万回 | 2.7万回 |
2019年度 | 2877万人 | 2206万人 | 670万人 | 19.6万回 | 14.7万回 | 4.9万回 |
コメント
関空の年間発着回数は、2019年に約19.6万回となり、上限の23万回に近づきつつある。
2025年の大阪・関西万博で国際線利用者が増加する可能性があり、発着枠の上限を30万回に引き上げる。
ちなみに、貨物専用便は年間1.4万回なので、旅客便は約18.2万回となる。1便当たり乗客数は158人。
少ないように思うが、関空は国際線が主体で、例えば、ANAの国際線用ボーイング777-300の座席数は212席~250席だが、国内線は514席と、同じ機材でも国際線の方が座席が少ない。
もし、年間発着枠が30万回に引き上げられ、貨物便2万回、旅客便28万回と想定すると年間利用者は約4,424万人になる。
ちなみに、現行の上限23万回でうち旅客便21.5万回だと3,400万人が上限となる。
2026年秋に関空T1の改修が完成すると、T1とT2の合計で国際線年間4,000万人まで対応できる。これに国内線670万人(2019年度実績)を足すと4,670万人になる。
実は、2019年度実績には2020年1月~3月の月次実績が含まれ、新型コロナの影響で実際よりも少ない数字になっている。(2019年暦年の関空の年間発着回数は206,777回)
最終的には、国際線4,000万人+国内線1,000万人=5,000万人程度の規模まで対応しておく必要があると思う。
10年後を見据えると、関空2期島にはLCC専用ターミナルT2しかないので、2期島に本格的ターミナルを建設すべきではないか?
現在、工事中の関空T1の改修は2026年秋に終了するので、そこからすぐに2期島ターミナルの建設に着工すれば2031年の「なにわ筋線」の全線開通に間に合うのではないか?
神戸空港の国際化について
神戸空港は発着枠を1日80回に増枠しており、国際化のためにはさらに20回~30回の増枠が必要と思われる。
しかし、増枠については話題になっておらず、したがって、もし2025年の大阪・関西万博に合わせて国際便を就航させるならば、国内線60回+国際線20回になるのではないか?
また、神戸空港は1日80回でもターミナルが混雑しており、朝夕は長蛇の行列になることもある。
したがって搭乗手続きに時間のかかる国際線を就航させるためには、新国際線ターミナルビルが必要だと思うが、2025年の大阪・関西万博には間に合いそうにない。
当ブログ予想では、2025年の大阪・関西万博の期間中に1日数便の国際チャーター便が就航する可能性があるが、本格的な国際線就航は2025年の大阪・関西万博閉幕後と思われる。
具体的には、2026年以降に国際線ターミナルの建設に着工し、完成は2030年頃ではないか?
関経連の松本会長は神戸空港の国際化の条件として「空港アクセスの強化」「新国際線ターミナルの建設」を求めておいる。
「空港アクセスの強化」の一例として、ポートライナーの8両化が考えられるが、費用が800億円かかる。また新国際線ターミナル建設も最低100億円かかる。
結局、神戸空港の国際化のためには1,000億円程度の費用がかかると思わる。そ
こまでやっても、神戸空港のキャパシティーから考えて年間400万人(国内線350万人+国際線50万人)程度ではないか?
しかも、国際線の利用者の大半は大阪府民で、海外客も大半が大阪・京都に行き、神戸は素通りされる可能性もある。
参照
神戸港に寄港した客船客の9割が大阪や京都に観光に行くなど「海外からのクルーズ客は神戸港に到着した後、そのまま大阪や京都に移動してしまうことも多い。」
引用 日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLASJB13H8A_T10C17A3LKA000
以下は【2022年1月13日関西3空港懇談会】の情報
関西3空港懇談会 開催
関西の自治体、民間空港会社、商工会議所、国土交通省などが「関西空港・大阪空港・神戸空港」の役割を話し合う「関西3空港懇談会」が2022年1月13日、大阪市内で開催された。
松本会長は「万博もあり、関西の活性化もあり、次回(の懇談会)にも神戸空港の国際化をどうするかということは真剣に話し合う必要があり、空港へのアクセスも含めて神戸市から話があると思っている」と神戸市への期待を述べた。一方で「国際空港だからターミナルを作る必要もあるし、西の方のカスタマーのポテンシャル(可能性)を大きくするため」の施策などが必要と指摘。「神戸市も重要なポイントをクリアしないといけない」と強調した。 引用 神戸経済ニュース https://news.kobekeizai.jp/blog-entry-10266.html
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関空第1ターミナルの主要部分の改修工事を2025(令和7)年大阪・関西万博までに完了させることを確認した。神戸空港の国際化は議論を継続する。次回までに3空港を運営する関西エアポートと神戸市が空港のあり方を協議し、報告することで合意した。 引用 産経新聞 https://www.sankei.com/article/20220113-F26A4G24Z5NDND5SPTMZTDUMHI/ |
以前から検討課題とされてきた「関空の発着枠拡大」や「神戸空港の国際化」の方向性を改めて確認したのみだった。神戸空港の国際化については、次回の懇談会から具体的な議論に入ることをめざすという。次回の日程は未定。 引用 朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASQ1F6S04Q1FPLFA00K.html |
コメント
今回の関西3空港懇談会では、関西空港の機能強化(発着枠年間23万回の上限引き上げ)や神戸空港の国際化の議論を継続することを確認した。
ただ、神戸空港の国際化を正式に決定できなかったことから、2025年の大阪・関西万博に合わせて神戸空港に新国際線ターミナルビルを建設することは日程的に困難になったと思われる。
当ブログ予想では、神戸空港の国際化が正式決定されるのは、2025年の大阪・関西万博閉幕後で、そこから新国際線ターミナルを建設するには4年~6年かかり完成は2030年以降になるのではないか?
関経連の松本会長は神戸空港の国際化の条件として「空港アクセスの強化」「新国際線ターミナルの建設」を求めており、神戸市の具体的な提案を待っている状態と思われる。
「空港アクセスの強化」の一例として、ポートライナーの8両化が考えられるが、費用が800億円かかる。また新国際線ターミナル建設も最低100億円かかる。結局、神戸空港の国際化のためには1000億円程度の費用がかかると思われ、神戸市が負担するかどうかにかかっているのではないか?
2022年1月13日参加機関(予定)
- 国土交通省航空局、国土交通省大阪航空局
- 京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、大阪市、神戸市、堺市
- 大阪商工会議所、神戸商工会議所、関西エアポート株式会社、新関西国際空港株式会社、公益社団法人関西経済連合会
関空について
現在、関西エアポートは、2025年の大阪・関西万博に向けて1,000億円(防災費用を含む)をかけて関空第1ターミナルの改修工事を実施しているが、新型コロナウイルスの影響で空港利用者が約90%減少しており、国に対して財政支援を求めることで合意した。
また、関西空港の就業者17,000人の雇用維持の必要性を確認し、関西空港の現在の年間発着枠23万回を30万回に増枠することを引き続き検討することで合意した。
ちなみに、2019年暦年の関空の年間発着回数は206,777回で上限の23万回に達する勢いだった。
神戸空港について
2019年5月の前回懇談会では「神戸空港の運用時間を1時間延長(1日16時間(午前7時~午後11時)と1日の発着回数の上限を60回(30往復)から80回(40往復)へ増枠すること」を決定した。
しかし、今回の懇談会では、神戸空港の国際化を正式合意することはなく、2025年の大阪・関西万博に向けて引き続き検討することになった。
- 神戸経済ニュース https://news.kobekeizai.jp/blog-entry-7076.html によると、神戸市久元市長は、神戸空港国際線就航に向け空港アクセス改善について説明した。
具体的には、新神戸からのアクセスとなる生田川右岸線を2023年完成を目指し拡幅工事を実施し、新神戸~神戸空港間の連絡バスを大幅に拡充する。また、現在2車線の空港連絡橋を4車線に拡幅する設計に入ったとした。
神戸商工会議所の家次恒会頭は「懇談会ではもう、神戸の国際化について誰も反対しなくなった」、今後は国際線ターミナルなど「ハードウエアをもう少し拡充して(国際線就航に)対応できるという既成事実をまず作るべきかなと思っている」との見解を明らかした。
これに対して、久元神戸市長は「ターミナルビルについては大規模な投資になるので、関西エアポートと相談をして検討をしていかなくては」と発言し、神戸空港国際線のために空港ターミナルの拡張が必要であるとの認識を示した。
当ブログのコメント
2025年までに「神戸空港国際線ターミナル」を新築するのは、スケジュール的に難しいと思われる。したがって、2025年は「1日数便程度の国際チャーター便」を就航させ、本格的な国際線は「新国際ターミナル」の完成後になるのではないか?
来年2021年の関西3空港懇談会で神戸空港国際化を正式合意しても、国際線ターミナルが開業するのは2026年~2028年頃ではないか?
神戸空港の発着枠について、兵庫県は午前6時~深夜0時までの18時間運用で120回にすることを提案しており、1時間あたり約6.7回が限界かもしれない。
現在の午前7時~午後11時までの16時間運用ならば1日107回となる。
イメージとしては1日の総発着枠100回~120回程度が上限で、うち80回は国内線なので国際線は1日20回~40回(10往復~20往復)と予想される。
1便当たりの利用者数を150人とすると、1日の国際線利用者は3,000人~6,000人で、年間約110万人~220万人程度になるかもしれない。
ポートライナー8両化については、700億円~800億円の費用がかかることや、三宮駅などのホームの拡張が必要だが、2025年の大阪・関西万博までには間に合わない。そこで短期的にはバスによる輸送力増強で対応すると思われる。
国際線ターミナル建設費試算
現在の神戸空港ターミナルの延床面積は15,200㎡で、新国際線ターミナルの延床面積は10,000㎡~20,000㎡と予想される。
2014年に那覇空港国際線ターミナルが開業しており、そこから建設費を予想してみると、約100億円程度と思われる。
その他に空港アクセス改善費用100億円~200億円が必要で、結局のところ神戸空港国際化には少なくとも200億円~300億円かかるのではないか?
また、ポートライナー8両化は2025年には間に合わないので、バス便で対応すると予想される。
しかし、ポートライナーの所要時間18分よりも遅くなり、乗り場も遠くになるので利便性は悪化する。少なくとも神戸空港発でバス便を利用する人者は少ないと思われ、毎年赤字額を神戸市民が負担することになる。
国土交通省や関西の自治体などに対して「神戸空港の国際化の前提としてバス便で対応する」と説明したならば、赤字でも廃止できないことになる。
神戸空港国際化の前提として「将来的なポートライナー8両化」を公約したならば、さらに700億円~800億円の費用を神戸市民が負担しないといけない。
那覇空港国際線ターミナル
名称 | 那覇空港国際線ターミナル |
延床面積 | 23,000㎡ |
階数 | 4階 |
待合室 | 約500席 |
店舗 | 8店舗 |
開業 | 2014年 |
国際線利用者数 | 384万人(2018年) |
事業費 | 80億円 |