京阪ホールディングスの石丸新社長は、京阪中之島線の(大阪メトロ中央線)九条駅までの延伸について、2025年の大阪・関西万博開催までの実現を目指す意向を示していた。
しかし、統合型リゾート施設(IR)の計画が遅れているため、2025年の大阪・関西万博までの実現は困難との見通しを示した。(2018年12月)
引用 産経新聞 https://www.sankeibiz.jp/business/news/181214/bsd1812140103012-n1.htm
万博の開催期間は半年であり、そのために路線延伸費用1,000億円を投資しても採算が合わないためと思われる。
一方、IRの土地の賃貸期間は35年であり、採算が取れると判断したと思われる。
京阪中之島線延伸スケジュールと車両
建設期間 | 着工から完成まで4年~5年 |
着手時期 | IRの大阪誘致が決定した後に着手 |
延伸距離 | 2km |
新型車両 | 大阪メトロ中央線に乗継なしで走行できる車両の開発を検討 |
京阪中之島線延伸計画概要
- 第一段階 京阪中之島線「中之島駅」から大阪メトロ中央線「九条駅」まで延伸する。
- 第二段階 その後、西九条駅「JR環状線・JRゆめ咲線(JR桜島線)・阪神なんば線」まで延伸する計画もある。
区間 | 距離 | 整備費用 | 建設期間 | 完成予定 |
中之島駅~九条駅 | 2km | 1,000億円 | 4年~5年 | 2026年以後 |
九条駅~西九条駅 | 1.3km | (700億円?) | (4年~5年?) | (2030年以後?) |
合計 | 3.3km | (1,700億円?) | (8年~10年?) | (2030年以後?) |
従来の計画では、京阪中之島線を直接、JR大阪環状線「西九条駅」まで延伸し、関空特急「はるか」に接続する予定だった。
しかし、「なにわ筋線」が2031年春に開業する予定となり、中之島駅で「なにわ筋線」と接続することになった。
そのため、JR「西九条駅」で関空特急「はるか」と接続する必要性が低下し、むしろ、大阪メトロ中央線「九条駅」と接続した方が費用的・利便性からも有利と判断したようだ。
軌道幅は「京阪中之島線」「大阪メトロ中央線」「阪神なんば線」はすべて1,435mmだが、集電方式に違いがあり、相互乗り入れするには新型車両の開発が必要になる。
近鉄も大阪メトロ中央線に相互の乗り入れする計画で技術的には可能と思われる。
ただし、大阪メトロ中央線「九条駅」は高架駅なので、地下路線である京阪電車中之島線を乗り入れさせるにはかなりの高低差がある。
JR「西九条駅」までの延伸事業
京阪中之島線を大阪メトロ中央線に乗り入れするということは「西九条駅までの延伸事業」の優先度が低くなった可能性がある。
それは、もし「西九条駅」まで延伸したとしても、JR西九条駅から万博会場の「夢洲」まではJR桜島線(ゆめ咲線)をさらに延伸する必要があるからだ。
このJR桜島線の延伸事業が完成するのは早くて2030年頃なので2025年の大阪万博に間に合わない。
したがって、京阪が「西九条」まで延伸するかどうかは、JR桜島線(ゆめ咲線)の延伸事業の進捗状況次第と思われる。
JR桜島線(ゆめ咲線)の舞洲延伸事業
- 延伸距離 6km
- 事業費 1,700億円
- 大阪駅ー夢洲 所要時間22分
- JRユニバーサルシティ駅から地下路線を新設
- 完成予定 2030年頃
- IRの大阪誘致が決定した後に正式発表
2018年の情報
出典 大阪府
京阪電気鉄道の加藤好文会長は京阪中之島線(天満橋~中之島)を大阪メトロ中央線「九条駅」までの延伸し、さらに西九条駅まで延ばす構想を明らかにした。
西九条駅でJR環状線、JRゆめ咲線(桜島線)、阪神なんば線に接続する。
これにより、大阪湾岸の夢洲に建設予定の統合型リゾート(IR)から京都まで京阪電車経由でのアクセスが便利になる。
夢洲への鉄道アクセス案
路線 | 距離 | 費用 | 開通 |
大阪メトロ中央線 | 3km | 540億円 | 2024年末 |
JR桜島線(ゆめ咲線) | 6km | 1,700億円 | 2030年以降 |
京阪中之島延伸(西九条経由) | 11km | 3,500億円 | 2030年以降 |
コメント
京阪中之島線の西九条駅延伸計画は、かなり考えられたものだ。
現在、夢洲IRへのアクセスは「地下鉄中央線の夢洲IR延伸」と「JRゆめ咲線(JR桜島線)の夢洲IR延伸」の2路線が計画されている。
費用的には「地下鉄中央線九条駅まで延伸」の方が540億円と少なく、先行して開業すると予想される。
そのため、京阪としては、とりあえず、九条駅で地下鉄中央線と接続させると思われる。
その後、JRゆめ咲線(JR桜島線)が夢洲まで延伸されると、JR大阪駅から夢洲IRへは、はJRゆめ咲線(桜島線)の方がアクセス時間が速くなる。
そこで、京阪電車は、西九条まで延伸することで、JRゆめ咲線(JR桜島線)に接続すると思われる。
最終的に京阪電車自体が3,500億円の費用で夢洲IRに直接乗り入れする計画もあり、そのためにも西九条まで延伸することは大きな意味がある。
結局、西九条駅まで延伸することで、夢洲IRアクセスのみならず、USJから京都へのアクセスも改善される。
また、「阪神なんば線」とも接続することで、神戸と京都のアクセスも改善されるという「1石3鳥」の意欲的な計画と言える。