神戸空港(筆者 撮影)
2020年春に関西3空港懇談会が開催され「神戸空港の2025年頃の国際線就航」と「関西国際空港の発着枠増加」が議論とされる。
2019年の関西3空港懇談会では、神戸空港の発着枠の増加と運用時間の1時間延長で合意した。
呉越同舟
関西の国際線を分散することになるので、神戸空港の「国際定期便」就航には反対だが「国際チャーター便」であれば1日2往復くらいは認めてもいいと思う。
関空の発着枠年間23万回に対して、2019年実績は19万回で4万回の余裕があるように見える。しかし、朝夕のラッシュ時には1時間の発着枠45回(出発32回・到着25回)に対して40回を超える日もあり早急に発着枠を30万回まで増加させなければ関西経済の成長が止まってしまう。
したがって、この問題を解決するため「関空の発着枠の増加」と「神戸空港の国際チャーター便解禁」をディールするのもしかたないと思う。
関西3空港懇談会の取りまとめ(2019年5月11日)
項目 | 2019年7月末以前 | 2019年8月以降 |
発着枠 | 60回(30往復)/日 | 80回(40往復)/日 |
運用時間 | 午前7時~午後10時(15時間) | 午前7時~午後11時(16時間) |
神戸空港国際化
神戸空港については、2025年の大阪・関西万博開催までに国際線就航を検討することになっている。
但し、関西経済連合会の松本正義会長は、神戸空港の国際化について「ターミナルの拡張」と「道路・ポートライナーの空港アクセスの強化」を条件としている。
また、関西3空港を運営する「関西エアポート」の山谷住之社長も「国際チャーター便なら今のターミナルでもできるが(中略)20~30便飛ばさないと国際空港としての運営は難しい」としている。
これに対して、神戸市は神戸空港島とポートアイランドを結ぶ「神戸スカイブリッジ(1,187m)」を現在の片道1車線(上下2車線)から片道2車線(上下4車線)に拡張、さらに新神戸駅までの「生田川右岸線(約1,500m)」の拡幅を行うとしている。
神戸空港国際化条件と費用
神戸空港国際化の条件 | 関経連松本会長 | 神戸市 | 建設費(予想) |
道路の強化 | 〇 | 〇 | 200億円 |
ポートライナー強化 | 〇 | △(未定) | 800億円(8両化) |
空港ターミナル拡張 | 〇 | △(未定) | 200億円 |
合計 | 1,200億円 |
コメント
2019年に関経連松本会長が提示した「神戸空港の国際化の条件」について、神戸市は道路の拡張についてのみ決定しただけなので、このままであれば2020年春の「関西3空港懇談会」で2025年神戸空港国際定期便就航は難しいと思う。
ポートライナー「三宮駅」のホームを東へ20m~30m拡張し、先発列車に乗れない客のためのスペースを作る予定だが根本的な解決策にはなっていない。
また、ラッシュ時にバスを5分間隔で運行する計画だが、ポートライナーなら3分間隔なのでバスの利便性は悪く代替交通機関にはならない。
結局、神戸市は神戸空港の増枠、国際化を要求しているが「交通アクセス強化」や「空港ターミナル拡張」など根本的な解決策を提示していない。したがって、神戸空港への「国際定期便」就航を認めるわけにはいかない。
しかし、旅行会社が飛行機をチャーターし一般から旅行客を募集する「国際チャーター便」ならば認めざる負えないと思う。
神戸市の情報公開
神戸市のHPには「神戸空港を作るのにどれだけお金がかかっているのでしょうか?」の質問に対して「(神戸)空港本体の滑走路・誘導路などの空港の整備事業に584億円かかっています。」と記載している。
https://www.city.kobe.lg.jp/a11380/kurashi/access/airport/kuko/index.html
これって空港島の埋め立て費用は含まれていないだろうし、ポートライナー延伸費用、アクセス道路の整備費、高度処理水費用なども含まれていない。
当ブログ予想では神戸空港の建設費は周辺整備も含め7,000億円~8,000億円だ。神戸空港を建設するためには空港島の埋め立てが絶対に必要だが、その埋め立て費用を含まない滑走路と誘導路だけの建設費584億円を記載するのはいかがなものか?