出典 大阪府(イメージパース 結びの庭)
2023年4月14日、日本政府は大阪府・市が申請した大阪市夢洲のカジノを含む統合型リゾート(IR)を建設するための区域整備計画を正式に認定した。
今後は、 運営事業者「大阪IR株式会社」による免許の申請などを経て、2030年1~6月頃に国内初のカジノ施設が誕生することになる。
当初は2022年秋にも認定される予定だったが、2023年4月の統一地方選の後に先送りされたため、IR開業も半年遅れる。
IRとは、Integrated Resortの頭文字で、日本語では「統合型リゾート」と訳されており、国際会議場や展示場、ホテル、レストラン、ショッピングモール、エンターテイメント施設、カジノなどで構成される。
これらを、民間事業者「大阪IR株式会社」が一体的に設置し、運営する。
運営事業者
「大阪IR株式会社」は、MGMとオリックスが40%ずつ出資し、残り20%は関西電力、大阪ガス、パナソニック、近鉄HD、阪急阪神HD、JR西、NTT西など関西の主要企業が出資する。
規模
大阪府・市の資料によると、初期投資額は約1兆800億円。
- 約5,300億円(MGMなど株主からの出資金)
- 約5,500億円(金融機関からの借入:株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行からのコミットメントレターを取得済 )
年間来場者数は約2,000万人(うちカジノは1,610万人)で、売上高は約5,200億円、当期純利益約750億円を見込んでいる。(開業3年目)
来場者の約7割(1,400万人)は日本国内、約3割は外国人と予想している。
事業期間は、区域整備計画の認定日の35年後までだが、さらに最大30年の延長を申し出ることができる。
崎県のIR
長崎県のIR認定申請については、継続審議となった。
これは、政府は首都圏IRが難航していたため、首都圏IRに有利なようにIR設置条件を引き上げた結果、地方都市では採算が合わない可能性があるとも報道されている。
引用 ロイター「カジノ誘致、地方都市に危機感 政府指針で上がるハードル」
IRスケジュール
2021年9月16日 | 大阪府市はIR事業者として「MGM(アメリカ)・オリックス」を選定 |
2021年10月1日~2022年4月28日 | IR事業者を決定して区域整備計画を策定し、国に申請する |
2023年4月 | 政府が大阪IRを区域認定 |
2030年1~6月頃 | 統合型リゾート(IR)部分開業 |
- 大阪府と大阪市は2021年9月28日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の事業者に、米国のMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスのグループを選定した。
- 同グループの事業提案によると初期投資額は1兆800億円、年間売上5,200億円、15,000人の雇用を創出する。
- 直接・間接効果として近畿圏全体で年1兆1442億円、92,515人の雇用創出を予想。
- 誘発税収額は1,313億円(3年目)。
- 2030年1~6月頃の開業を目指すが、液状化や土壌汚染対策として大阪市が790億円で土地改良をする予定。
- あらゆるものを結ぶ結節点としての大阪IR(結び)
- 水都大阪の伝統・文化・精神を継承(水都)
全体イメージ
夢洲まちづくり基本方針(案)
時期 | 面積 | 内容 |
1期 | 70ha(道路を除くと60ha) | 統合型リゾート(IR)を中心としたまちづくり |
2期 | 60ha | 万博の理念を継承したまちづづくり(万博跡地利用) |
3期 | 40ha | 長期滞在型のまちづくり |
大阪市の案では、夢洲を3段階で整備する。IRは第1期部分で開発面積は当初49haだが、拡張予定地9haと臨港緑地2.6haを合計すると約60haとなる。
大阪IR事業規模(当ブログまとめ)
ウォーターフロント空間
所在地 | 大阪市此花区夢洲中1丁目 | |
面積 | 約49ha(土地は売却せず、35年の貸付期間・年間賃料25億円)
| |
施設 | 延床面積 | 施設構成・規模 |
国際会議場施設 | 37,000㎡ | 最大会議室6,000人超収容 |
展示等施設 | 31,000㎡ | 展示面積20,000㎡(関西イノベーション・ラボ) |
魅力増進施設 | 15,000㎡ | ガーデンシアター・関西ジャパンハウス・三道体験スタジオ・ジャパンフードパビリオン・関西アート&カルチャーミュージアム |
送客施設 | 14,000㎡ | 関西ツーリズムセンター・バスターミナル・フェリーターミナル |
宿泊施設(3ホテル) | 289,000㎡ | 2,500室・レストラン・プール・フィットネス・大浴場・バンケット |
エンターテインメント施設 | 13,000㎡ | 夢洲シアター3,500席 |
飲食・物販・サービス | 310,000㎡ | 飲食施設・物販施設・駐車場・エネルギーセンター |
ガジノ施設 | 61,000㎡ | カジノ行為区画は総延床面積の3%以内 |
総延床面積 | 770,000㎡ | |
年間来場者数 | 2,050万人(国内1,400万人、国外650万人) | |
雇用人数 | 15,000人 | |
年間売上高 | 5,200億円(ノンゲーム1,000億円/ゲーミング4,200億円) | |
納付金・入場料(府・市合計) | 1,100億円(納付金770億円/年、入場料330億円/年) | |
インフラ負担 | 大阪メトロ中央線の延伸費用の一部200億円も負担する |
さらに、投資額の一部を負担する関西の鉄道、エネルギーなど主要20社も、今回の計画を承認したもようで、統合型リゾート実現に向け枠組みが固まりつつある。
ホテルは3タイプ
宿泊施設のイメージ(仮称 MGM大阪)
(仮称 MUSUBIホテル)
ホテルタイプ | 客室数合計(ホテル仮称) |
エンタテインメントホテル |
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多世代型アクアリゾートホテル | |
VIP向け最高級ホテル |
ジャパン・フードパビリオン
関西ツーリズムセンター
全景(夜景)
敷地A:39ha / 敷地B:10ha / 敷地C:2.6ha / 敷地D:9ha(拡張予定)
出典 大阪府
IR建設予定地「大阪市夢洲」
「大阪IR株式会社」に出資する企業
MGMとオリックス以外の20社は数億円~100億円を出資する予定
会社名 | 出資金(%) |
MGMリゾーツ・インターナショナル | 約2120億円(40%) |
オリックス | 約2120億円(40%) |
関西電力 | 20社で約1060億円(20%) |
パナソニック | |
近鉄グループHD | |
阪急阪神HD | |
NTT西日本 | |
大和ハウス工業 | |
大阪ガス | |
ダイキン工業 | |
南海電気鉄道 | |
JR西日本 | |
京阪HD | |
JTB | |
竹中工務店 | |
日本通運 | |
丸一鋼管 | |
三菱電機 | |
レンゴー | |
サントリーHD | |
岩谷産業 | |
大成建設 | |
合計 | 5300億円(100%) |

出典 大阪市
大阪市は、2019年10月25日「夢洲まちづくり基本方針(案)」をとりまとめ公表した。
引用 大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/toshikeikaku/0000483605.html
スケジュール
時期 | 面積 | 内容 |
1期 | 70ha(道路を除くと60ha) | 統合型リゾート(IR)を中心としたまちづくり |
2期 | 60ha | 万博の理念を継承したまちづづくり(万博跡地利用) |
3期 | 40ha | 長期滞在型のまちづくり |
大阪市の案では、3段階に夢洲を整備する。
具体的には、2024年に1期エリア(70ha)として統合型リゾート(IR)を開業し、2025年5月~10月に万博を開催し、その後跡地に2期エリア(60ha)を整備し、第3期として長期滞在型のまちづくり(40ha)を整備する。
IR候補地
- IR(統合型リゾート)には「大阪府・市」「和歌山市」「長崎県(佐世保市)」が誘致を目指している。
- 「横浜市」は2021年8月の市長選挙でIR反対派の山中市長が当選し、事実上撤退の方針。
- 各自治体は2022年4月28日までに区域整備計画の認定申請を提出し、2022年後半~2023年頃、政府は最大3カ所を選ぶ方針。
IR候補地 | 場所 | 事業者 |
大阪府・市 | 大阪市湾岸部(夢洲) | MGM(アメリカ)・オリックス |
長崎県 | ハウステンボス(佐世保市) | オーストリア国営企業傘下「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」 |
IR地区は最大3か所となっているが、ホテル3,000室など条件が厳しく、東京圏と大阪圏でしかIRは実現しない可能性がある。