(神戸の)都心商業地の通行量は、(中略)漸減傾向にあります。
この通行量の漸減傾向とともに来街者の高齢化の傾向が顕著にみられます。
出典 神戸市
神戸・三宮駅前の「そごう神戸店」は、かつて売上高1,500億円を誇った老舗デパートだが、今では売上468億円(2016年2月期)まで減少している。
老朽化した建物の建替えが課題となっているが、どうなるのか?
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実際に「そごう神戸店」に行ってみると、地下1階の食料品売場は人も多く盛況だった。
しかし、衣料品売場は客も少なく閑散としていた。
大阪の旧「阪神百貨店梅田本店」と同じような感じだった。
売上高を比較すると
- 阪神梅田本店 558億円(2017年3月期)
- そごう神戸店 468億円(2016年2月期)
阪神梅田本店は建替中で売場面積が約半分になっているので正確な比較はできないが、どちらもデパ地下の食料品が好調で売上高も468億円(そごう神戸店)と558億円(阪神梅田本店)と同規模だ。
「神戸阪急」屋号変更 (2019年10月)
H2Oリテイリングは、2019年10月1日に、現在の「そごう神戸店」の屋号を「神戸阪急」に変更すう。
阪急梅田本店のようになるのか?
そこで、H2Oリテイリング傘下の「阪急百貨店」と「阪神百貨店」の方向性を調べてみた。
店名 | 特徴・方向性 |
阪急百貨店うめだ本店 | 非日常 |
ラグジュアリー | |
生活のエンターテインメント | |
阪神百貨店梅田本店 | 食 |
日常の中の豊かさ |
「そごう神戸店」の現状は、阪神百貨店梅田本店に近い。しかし、三宮は大阪梅田よりも商圏が小さく2店体制はとれない。
したがって、「そごう神戸店」の屋号は「神戸阪急」となるが、「阪神百貨店の食・日常の中の豊かさ」に、「阪急百貨店の非日常・ラグジュアリー」を加えた形になるのではないか?
また、2018年6月1日に部分開業した「阪神百貨店梅田本店」は地下1階と地上1階を食料品売場にした。
これが成功しており、同じ「H2Oグループ」である「そごう神戸店」(神戸阪急)も同様に地上1階を食料品売場とするリニューアルを実施する可能性もある。
三宮周辺の商業施設の建替
- 神戸阪急ビル東館 (2021年竣工)
- JR三宮駅ビル (2023年以降開発)
2018年2月にJR三宮駅ビルの商業施設「OPA」が閉店し、2018年3月に「神戸マルイ」の紳士服売場も撤退し、ライバル施設が閉店・縮小している。
したがって、当面、「そごう神戸店」を建替する緊急性はないかもしれない。
神戸の高齢化の影響
神戸市は若者が流出し、人口減少と高齢化が同時に進行している。高齢者は衣料品の消費が減少し、食料品・飲食の消費が多くなる。
三宮駅から元町の「大丸神戸店」は徒歩で10分程度だが、高齢者なら徒歩15分くらいかかるかもしれない。
高齢者は食料品を多く購入するので、「大丸神戸店」よりも「そごう神戸店」の利用頻度が多くなる可能性もある。
コメント
「そごう神戸店」(神戸阪急)の現状の業績は、意外にも底堅く、あと数年はこのまま建替せず、部分的なリニューアルだけで営業を続ける可能性がある。
というのは、現在の状況で建替えすると容積率は600%となると思われ、超高層ビルを建設するは困難だ。
また、JR三宮駅ビルより先に容積率600%で建替えし、その後、JR三宮駅ビルが容積率の緩和を受けて1,600%で建替えすると、「そごう神戸店」(神戸阪急)は圧倒的に不利になる。
したがって、JR三宮駅ビルの2023年以降の建替計画が判明してから、「そごう神戸店」(神戸阪急)の建替をするのではないか?