神戸空港は、第2ターミナルが「2025年4月18日」に開業し、国際チャーター便が就航しました。
また、2025年春ダイヤから国内線発着枠を2006年の開港時の「1日60回(30往復)」から1日120回(60往復)へと2倍に増枠されました。
- 2006年(開港):1日60回(30往復)
- 2019年8月 :1日80回(40往復)
- 2025年春ダイヤ:1日120回(60往復)
しかし、2025年7月の神戸空港の国内線旅客便の発着回数は月間2,376回で1日当たり約76回(38往復)にとどまっています。
つまり、120回(60往復)のうち、44回(22往復)と、約37%もの枠が余っているのが現状です。
背後人口の規模
神戸空港の強みは三宮からポートライナーで約18分という利便性ですが、空港利用を支える背後人口の規模は限られています。
大阪・京都に比べると市場規模が小さく、「神戸市民や兵庫県民中心」の需要にとどまりがちです。京阪神圏全体を見れば、伊丹や関西空港の存在感が圧倒的に大きく、神戸が「第1の選択肢」になる場面は少ないのです。
伊丹・関空との競合
関西3空港は距離的に近接しており、路線の棲み分けが難しい状況です。
- 伊丹空港は羽田便を中心に高頻度運航を維持。
- 関西空港は国際線とLCCの拠点。
その結果、神戸空港は「羽田・札幌・那覇など一部路線」に限られ、需要の広がりを欠いています。
航空会社の消極姿勢
発着枠が増えても、航空会社が路線を設定しなければ意味がありません。LCCは関空を拠点にしており、ANA・JALも伊丹を優先。神戸はあくまで補完的な位置づけに留まっています。
神戸空港を拠点とするスカイマークは、円安とインフレの影響で運航コストが高くなり、運賃ではANAやJALと差が縮小しており、神戸空港で増便する可能性は低い。
発着枠が「使われないまま残っている」という現実は、神戸空港の限界を物語ります。
- 神戸市内からの利便性は高くても、需要の総量が小さいため新規路線を投入しても採算がとれない。
- 関西圏全体の空港需要の中心が大阪であり、神戸が伸びる余地が限られる。
つまり、「潜在的な需要が掘り起こされていない」のではなく、そもそも需要が存在しない可能性が高いのです。
国際チャーター便の導入や、伊丹の発着制限強化といった要因で神戸空港の役割が拡大する可能性はあります。しかし、それも「周辺空港の事情に依存する二次的な成長」にとどまるでしょう。
神戸空港が抱える最大の課題は、需要そのものの頭打ちです。発着枠を倍増させても利用が伴わない以上、「伸び悩みの空港」という評価を避けることは難しい状況です。
神戸空港は発着枠120回に拡大されながら、実際には76回しか使われていません。その原因は、伊丹・関空との競合以上に、需要の限界にあります。
「利便性は高いが市場は小さい」─神戸空港の伸び悩みは、この構造的な問題に起因しており、単なる政策や運用の工夫だけで解決できる課題ではありません。
2025年以降、国際化や空港機能再編が議論される中でも、神戸空港の未来は「需要という現実」と常に向き合うことを避けられないでしょう。
神戸空港(筆者撮影)
施設名 | 神戸空港「第2ターミナルビル」 |
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所在地 | 神⼾市中央区神⼾空港1 |
延床面積 | 18,700㎡(当初17,000㎡) |
階数 | 2階建 |
運用 | 国内線(40回/日)と国際線チャーター便に対応 |
建設費 | 150億円(全体283億円) |
供用開始 | 2025年4月18日 |
ロビー機能 | ロビーでは、搭乗手続きのスムーズ化、送迎者の待機場所の確保、総合案内機能、両替所などのサービス機能を配置するとともに、山・海を望む賑わい施設を配置 |
国内線エリア機能 | 搭乗者のスムーズな保安検査、空の旅の始まりを心地よく過ごせる搭乗待合室、商業施設、手荷物受取所などを配置 |
国際線エリア機能 | 国内線エリアの機能に加えて、スムーズな出国審査、入国審査を行うことができる施設を配置 |
その他機能 | 国際線に必要となる出国・入国審査のためのCIQ事務所、運航する各航空会社の事務所、建物に必要な機械室等を配置 |
ちなみに、2025年3月30日にトキアエアが「神戸=新潟」に就航したが、既存の「第1ターミナルビル」を利用する。
神戸空港の発着回数は、37往復(74回)から42往復(84回)に増加したが、60往復(120回)には届いていない。
2025年3月30日に「第2ターミナルビル」を開業しても利用する国内線がないので、開業する意味がない。