
橿原神宮(第一鳥居)筆者撮影
奈良県橿原市に鎮座する橿原神宮(かしはらじんぐう)は、初代天皇・神武天皇を祀る神宮として知られています。
しかし、歴史そのものは意外と新しく、1890年(明治23年)に創建された神社です。
創建当初から、明治政府によって国家最高位の神社格である「官幣大社(かんぺいたいしゃ)」に指定されていました。

橿原神宮(南神門)筆者撮影
官幣大社とは
明治政府が定めた近代社格制度において 「国家が奉幣する特別に重要な神社」 と位置づけられた神社で、格式の高さは別格です。
神武天皇を祀る橿原神宮は、国家の象徴として創建された経緯から、創建と同時に最上位の官幣大社となりました。
日本最初の都
神武天皇(初代天皇)は宮崎県の高千穂宮を出発し、東へ向かう「東征」を開始しました。旅の途中では、各地で都(宮)を移しながら進軍を続け、最終的に紀元前660年(神武元年)、橿原宮(かしはらのみや)で即位したと伝えられています。
このため橿原宮は、しばしば「日本で最初の都」として位置付けられています。
ところが、この橿原宮は現存しておらず、考古学的にも宮殿跡と断定できる遺構は確認されていません。伝承に登場する橿原宮は、畝傍山(うねびやま)の東南麓──すなわち現在の橿原神宮周辺にあったとされますが、あくまで『古事記』『日本書紀』に基づく推定にとどまります。
そのため「日本のはじまり」を象徴する場所でありながら、そこに神武天皇を祀る橿原神宮が創建されたのは明治時代、わずか130年ほど前のことです。
創建の背景には、近代国家としての体制を整えていく中で求められた、新たな国家の象徴としての“神宮”という、明治期ならではの理念と時代精神がありました。
現代の意味
激動する21世紀の現在、国家のあり方や社会の価値観が大きく揺れ動くなかで、私たちはあらためて「日本という国をどのように捉えるのか」という根本的な問いに向き合う必要があります。
そう考えると、明治という近代国家の出発点で創建された橿原神宮の意味を、いま一度問い直すべき時期に来ているのではないでしょうか。
建国神話を象徴するこの地が、現代においてどのような役割を果たし得るのか――それは、21世紀の日本の国家像を考える上でも避けて通れないテーマと言えます。
所在地 : 奈良県橿原市久米町934
アクセス :近鉄「橿原神宮前駅」徒歩10分
地図

橿原神宮(外拝殿)筆者撮影
明治政府は近代国家の形成を進める中で「建国神話の舞台を整備し、国家の精神的基盤を象徴したい」という方針を持ち、橿原の地に神武天皇を祀る神宮を明治23年(1890年)、創建しました。
- 明治政府が主導し“国家的シンボル”として整備
- 神武天皇即位の地という伝承に基づいて建立
- 社殿は上賀茂神社などを手がけた北小路随光らが設計
- 創建当初から広大な境内を持つ格式ある“神宮”としてスタート
歴史の古さではなく、「国家の黎明を象徴する神宮としてつくられた」という点が特徴的です。
橿原神宮に訪れるとまず驚くのが、南神門へまっすぐ伸びる大参道の壮大さ。
明治期の設計らしく、視界が開け、一直線に本殿へ導く凛とした構造になっています。
ちなみに、現在の敷地面積は約53haです。
境内の見どころ
- 大鳥居
- 広大な外拝殿
- 深い杜に囲まれた本殿
- 神橋・深田池などの自然景観
- 神武天皇陵(皇陵)への参道
自然と建築が溶け合う静謐な空間で、「明治神宮よりも静かで荘厳」と語る参拝者も多い神宮です。

初詣は“決意を宣言する”儀式――一年のスタートに自分を整える
新しい一年が始まると、多くの人が初詣へと足を運びます。神社で手を合わせる数十秒ほどの時間。しかしその短い瞬間には、日々の生活では持ちにくい“節目の意識”が宿ります。
初詣は単なるイベントではなく、「新しい自分を宣言する場」ともいえるのです。
■ 初詣は一年の抱負を神前で誓う時間
初詣の本質は、神さまに願いごとをするだけではありません。
むしろ大切なのは、今年をどう生きたいのか、自分自身と向き合い、その決意を言葉にして心の中で誓うこと。
- 健康を守りたい
- 新しい挑戦をしたい
- 仕事で結果を出したい
- 人間関係を大切にしたい
こうした目標は、日々の忙しさの中で意外と忘れてしまいがちです。しかし初詣は、静かな空気の中で立ち止まり、未来の自分をイメージする絶好のタイミングです。
■ 決意を「宣言」することで変わること
人は、言葉にした瞬間に行動が変わり始めます。
初詣での祈りは、神さまに願いごとを託すだけでなく、自分の意思を明確にする“宣言”の儀式です。
- 「今年は健康のために生活を整えよう」
- 「毎日コツコツ積み重ねよう」
- 「人に優しく、ていねいに向き合おう」
こうした言葉を胸に刻むことで、日々の判断や行動が自然とその方向に傾いていきます。
初詣で決意を宣言する相手は、神さまでもありますが、最も重要なのは自分自身です。
「今年はこう生きる」という覚悟を心の中で輪郭のある形にすること。それこそが、初詣の持つ本当の価値です。

(ラストオーダー:フードメニュー15:00 デザート&ドリンクメニュー16:30)
