
(2022年6月筆者撮影)
百貨店の店舗別売上ランキングは、メディアなどで頻繁に取り上げられます。しかし、実際には「単純な数字比較」だけでは実態を正確に把握できない場合があります。
その大きな理由の一つが、「外商売上」の扱いです。
百貨店業界では、富裕層や法人向けに専属担当者が商品提案を行う「外商」が重要な収益源となっています。特に大都市圏の旗艦店では、売上高の30%~50%前後を外商が占めるケースもあるとされています。
しかし、この外商売上の計上方法は百貨店各社で異なります。
例えば、伊勢丹新宿本店の売上高には、日本橋三越本店の外商売上高が含まれていると思われますす。(当ブログ分析)
そのため、単純に「店舗売上高○○億円」という数字だけを比較しても、実際の集客力や収益力、富裕層顧客の強さを正確に比較できるとは限りません。
| 店舗名 | 大丸神戸店(2026年2月期) | 神戸阪急(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,017億円(前年984億円)
|
431億円(前年430億円)
前年比+1億円 |
| 売場面積 | 50,656㎡ | 45,470㎡ |
| 外商売上高 | 300億円(神戸店に計上)予想 | 200億円(うめだ本店に計上)予想 |
| 外商売上高を含む売上高 | 1,017億円 | 631億円(予想) |
大丸神戸店の売上高1,017億円には、外商売上高が含まれていると予想されます。
一方、神戸阪急の売上高431億円には外商売上高は含まれておらず、「阪急うめだ本店」の売上高に計上されている可能性が高いと考えられます。
つまり、神戸阪急の売上高が431億円で前期比+1億円と増加率が低い背景には、「外商売上高」が含まれていないことが影響していると予想されます。
逆に、大丸神戸店の売上高が1,017億円で前期比+33億円と増加した背景には、外商売上高の拡大があったとみられます。特に、宝飾品、美術品、高級時計など高額商品の販売伸長が大きく寄与したようです。
当ブログの分析では、外商売上高は大丸神戸店が約300億円、神戸阪急が約200億円程度と予想しています。
両店を「外商売上高込み」のベースで比較すると、大丸神戸店は1,017億円、神戸阪急は631億円程度となり、神戸阪急の規模は大丸神戸店の約62%になると推定されます。
一方、各社の公表されている売上高を単純比較すると、神戸阪急の売上高は大丸神戸店の約42%にとどまります。
つまり、外商売上高を含めるかどうかで、「62%」と「42%」という大きな差になるのです。
2025年12月末の日経平均株価は5万0339円となり、2024年12月末比で+1万0444円(+26%)と大幅に上昇しました。
外商顧客の多くは富裕層であり、株式投資による資産増加の恩恵を受けたことで、高額品の購入につながったと予想されます。
実際、大丸神戸店では宝飾品、美術品、高級時計など高額商品の販売が伸びたとみられます。
一方で、外商売上高を含まない神戸阪急の売上高は前期比+1億円にとどまっています。この点を踏まえると、現在の百貨店売上を押し上げているのは主に「高級品」であり、中価格帯の商品は伸び悩んでいる可能性が高いと考えられます。
百貨店売上高の30%~50%は外商売上高であり、店舗によって公表されている売上高に含まれていたり、含まれていなかったりします。
したがって、公表されている売上高だけを単純比較しても、実態は見えてきません。
神戸の百貨店売上の傾向を見ると、中価格帯商品の販売はほとんど増加しておらず、株高を背景に高額品の販売が伸びている状況です。
また、外商顧客には芦屋市や西宮市など阪神間の富裕層も多く、売上増加が必ずしも神戸経済全体の改善を示しているとは言えない状況だと思います。
特に2025年は万博の影響で大阪市内が混雑しており、芦屋市や西宮市など阪神間の富裕層が、神戸で買い物をした可能性もあります。
したがって、2026年については通常モードに戻り、再び大阪市内で買い物をする人が増える可能性があります。そのため、神戸の百貨店売上高が減少する可能性すらあります。
