大阪市経済戦略局は、国際見本市会場(インテックス大阪)の改修方針等の検討業務(その2)で公募型プロポーザルを実施し、三菱総合研究所を受注予定事業者に選定した。
出典 大阪市
インテックス大阪(展示面積7万㎡・延床面積約13.5万㎡)が立地している咲洲に隣接する埋立地である夢洲では、現在IR-MICE の整備計画が進められている。
IR事業者(MGM大阪)は、2030年のIR開業時に2万㎡の展示施設を整備し、その後は開業後 15 年以内(2045 年)に6万㎡、事業期間 35 年以内(2058 年)に 10万㎡へと段階的な拡張を計画している。
したがって、インテックス大阪との役割分担、住み分けが課題となっている。
特に、4・5号館を建替するか改修するかが課題となっている。

インテックス大阪(筆者撮影)
インテックス大阪 改修方針等検討(その2)
発注者:大阪市経済戦略局
受託予定者:三菱総合研究所
期限:2025年12月
インテックス大阪 改修の背景と目的
項目 | 内容 |
---|---|
開業年 | 1985年(今年で40年) |
現状 | 建物・設備の老朽化、機能の陳腐化 |
課題 | 他都市との競争力低下、新施設との差 |
機会 | 隣接地「夢洲」にてIR-MICE整備(2030年開業予定) |
検討の全体像
区分 | 内容 |
---|---|
① | 現状課題と主催者ニーズの整理 |
② | 府内展示会の将来見通し(2050年まで) |
③ | IR-MICEと公的施設の違いの分析 |
④ | IR-MICE開業後のインテックス収支予測 |
⑤ | 必要展示面積の再評価 |
⑥ | 改修方法の比較(4・5号館中心) |
⑦ | 最適な事業方式の検討 |
分類別に2050年までの開催件数を予測
種別 | 内容 |
---|---|
BtoB | 業界向け展示会 |
BtoBC | 一部一般参加型の見本市 |
BtoC | 消費者向けイベント・販売会など |
→ 国・府市のMICE戦略と市場動向を加味
IR-MICEとの比較ポイント(例:海外事例)
項目 | 公的施設(例:インテックス大阪) | IR-MICE |
---|---|---|
主催者 | 公的・業界団体中心 | 民間・国際企業主体 |
分野 | 産業系中心 | 娯楽・エンタメ系も含む |
展示面積 | 既存:7万㎡弱 | 2030年:2万㎡
2045年:6万㎡ 2050年:10万㎡ |
開業予定 | 改修(建替)予定 | 2030年、2045年、2050年と段階的に拡張 |
IR-MICE開業後のイベント数・インテックス大阪の収支影響分析
想定展示面積拡張に応じて来場・収益変動を試算
年 | IR-MICE展示面積 | インテックス影響 |
---|---|---|
2030年 | 2万㎡ | 利用分散リスク |
2045年 | 6万㎡ | 本格競合化 |
2050年 | 10万㎡ | 規模で劣後の懸念 |
対象:4・5号館
複数案を比較・評価
案 | 内容 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
改修案 | 現施設の改良 | 費用抑制 | 限界あり |
建替案 | 新棟に置換 | 機能刷新 | 期間・費用大 |
複合案 | 一部改修+一部建替 | 柔軟性 | 調整手間 |
事業方式の比較(⑦)
方式 | 特徴 | 国内例 |
---|---|---|
直営(現行) | 定期建物賃貸借 | インテックス大阪 |
指定管理者制度 | 民間に運営委託 | 東京ビッグサイトなど |
DBO方式 | 設計・施工・運営一括 | 横浜北仲ホール等 |
PFI/コンセッション | 民間資金活用・運営権設定 | 万博会場・空港等 |
まとめ
インテックス大阪は再整備が必須のタイミングだが、2030年のIR-MICE開業に向け、役割分担と差別化が重要となる。
したがって、中長期的な需要予測に基づき、最適な規模・方法・運営形態を再設計する必要がある。
公募型プロポーザルにより、三菱総合研究所が2025年12月までに改修方針をまとめることになった。