時事通信社によると、SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、大阪府や兵庫県を中心にスマートシティーを誕生させ、国際金融センターに発展させる必要性を強調し、すでに吉村洋文大阪府知事からも賛同を得ていると発言した。
引用・参照 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090200330&g=eco
- 外国人の労働ビザ(査証)取得を簡単にする
- 現在の日本の最高税率(所得税45%+住民税10%)を香港並み(所得税15%)に引き下げる
- ブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤としたデジタル証券の取引所を大阪・神戸地区に設立。フィンテック企業を誘致する。(引用 日経新聞)
SBIの北尾吉孝社長は、兵庫県出身で、野村証券に入社している金融のプロだが、東京ではなく、なぜ大阪・関西を国際金融センターにするのか?
日本が国際金融センターとして発展するには、所得税率を香港やシンガポール並みの15%~20%に引き下げる必要がある。そのためには「国際金融特区」を創設するしかなく、それが一番やりやすい地方自治体が「大阪」ということだろう。
兵庫県は「国際金融特区」設置に賛同するかどうかは不明だし、神戸市は六甲山に「スマートシティ」を作ろうとしているので、現実的には「兵庫県」という選択肢はないと思われる。
国際金融センターと言っても、香港のファンドが投資するのは「証券化された不動産」と思われるが、神戸市は中心市街地にタワーマンションを事実上建設できない条例を制定しているので、「不動産投資」という側面からも神戸市には魅力がない。
SBI北尾社長は2020年9月2日付けで「大阪に戦略特区創設」と発言している。
当ブログでは、1日前の「2020年9月1日付け記事」で「国際金融特区」が必要とし、六甲アイランド(595ha)、大阪湾の舞洲(完成すれば395ha)、伊丹空港(周辺も含め400ha)を候補地に挙げていた。
日本の上場企業社員は、A国は個人所得税が高いから進出を止めて、個人所得税の低いB国に進出すべきという発想はないと思う。社員の立場よりも会社にとって最適な進出国を選択すると思う。
しかし、海外企業の経営者や幹部は、会社の都合よりも自分にとって有利な個人所得税の安い国に進出することもある。
国際金融センターって、日本人が思うよりも「生々しく利益を追求する場所」だ。
国際金融センターは「戦略特区(最高所得税率20%)」が前提だと思う。そうなれば、外国人は数十億円の所得があっても税率20%で、日本人の最高税率55%(所得税45%+住民税10%)ということになる。
また、シンガポールには相続税も贈与税もなく、土地売買益、株式売買益(キャピタルゲイン)も非課税だ。もしかしたら「戦略特区」ではそれらも非課税になるかもしれない。
ブロックチェーンを利用したデジタル取引所とは「暗号資産」のことだと思うが、現在の日本の税法では「雑所得」となり、累進課税が適用される。
このままでは、国際金融センターにならないので、少なくとも株式の売買益のように「分離課税」にしないといけない。
つまり、「国際金融センター」とは、地方自治体が「戦略特区」を創設しないと始まらない話だ。
SBIの北尾社長が「大阪」に目を付けたのは「大阪なら、簡単に戦略特区」を創設するだろうという思いかもしれない。
金融業界のプロであるSBI北尾社長と対等に渡り合える人材が大阪府や大阪市にいるだろうか?
簡単に北尾社長の言う通りに「戦略特区」を創設してしまうと、とんでもないことになる可能性もあるのではないか?