大阪重粒子線センター(筆者撮影)
大阪府内の病院では、多くの新型コロナの重症患者をICU(集中治療室)で受け入れているため、新型コロナ患者以外の患者さんの手術を延期することが多い。
そこで、がん治療に大阪重粒子線センターを積極的に利用してはどうか?
重粒子線治療とは放射線治療の1つで、通常の放射線治療はX線などが使われるが、重粒子線治療では加速器で原子核を加速し陽子の12倍の質量の炭素イオンをがん細胞に照射する。
重粒子治療は、X線治療よりも、体の深い部分まで到達し、照射回数も従来の10分の1回と少なくなり患者さんの負担が軽減される。
しかし、重粒子治療は、先進医療となり、本人負担は1回につき300万円~350万円かかる。2018年4月から「前立腺」と「頭頸部」のがんについて、保険適用されることになっているが、それでも一般的には普及してはいない。
名称 | 大阪重粒子線センター |
所在地 | 大阪市中央区大手町3丁目 |
用途 | 病院 |
治療室 | 3室(6ポート) |
年間治療人数 | 1,800人(1室当たり600人) |
敷地面積 | 5,398㎡ |
建築面積 | 3,430㎡ |
延床面積 | 8,849㎡ |
構造 | 鉄骨造(S造) |
階数 | 地上3階・地下1階 |
高さ | 21.6m |
運営 | 大阪国際がん治療財団 |
設計監理 | 日建設計 |
施工 | 鹿島建設 |
着工 | 2015年8月 |
竣工 | 2017年10月 |
開院 | 2018年3月1日(診療所として) |
治療開始 | 2018年10月 |
「大阪重粒子線センター」は、大阪城の近くの大阪市中央区大手町(大阪府庁と大阪府警の間)に立地し、隣接する「大阪国際がんセンター」と連携して、総合的な「がん治療」を行う。
重粒子線は放射線の一種だが、体内の患部をピンポイントで照射できる最先端の治療で、国内では、6ヵ所目となる。
重粒子線は炭素原子から「炭素イオン」を取り出し、それを円形の加速器「シンクロトロン」で、光速の約70%まで加速する。
従来は、この「シンクロトロン」装置の大きさが「120m×65m」と巨大だったため、郊外に建設されることが多く、アクセスに課題があった。
しかし「大阪重粒子線センター」では装置を「直径17m・周囲56.8m」まで小型化することで、大都市の中心部に建設することができた。
出典(大阪府)
「新成人病センター」とあるが計画段階のもので、正式名称は「大阪国際がんセンター」
重粒子線は、がんの病巣を狙って照射することができ、効果が高く、正常な組織への副作用を抑えることができる。
そのため、照射を受ける回数や日数が少なく入院の必要がなく、「大阪重粒子センター」にも入院設備はない。
左側の高い建物は「大阪国際がんセンター」
どういう建物になるのか情報はないが、北側隣接地では解体工事が進んでいる。
出典 大阪府
治療費
重粒子治療は、先進医療となり、本人負担は1回につき300万円~350万円。但し2018年4月から「前立腺」と「頭頸部」のがんについて、保険適用されることになっている。
治療できる「がん」
脳腫瘍/頭蓋底腫瘍/中枢神経腫瘍 |
眼腫瘍 |
鼻、副鼻腔、口、唾液腺などにできるがん |
肺がん |
食道がん |
肝臓がん |
すい臓がん |
子宮がん |
前立腺がん |
直腸がん |
骨・軟部のがん |
アクセス
大阪メトロ谷町線「谷町四丁目」徒歩8分
「谷町四丁目駅」の北側の出口の方が高低差が少ない。
国内の重粒子線センター
名称 | 所在地 | 治療開始 | 治療装置 |
大阪重粒子線センター | 大阪市中央区大手町3丁目 | 2018年10月16日 | 日立製作所 |
兵庫県立粒子線医療センター | 兵庫県たつの市新宮町光都1丁目2-1 | 2004年 | 三菱電機 |
九州国際重粒子線がん治療センター | 佐賀県鳥栖市原古賀町3049番地 | 2013年 | 三菱電機 |
放射線医学総合研究所病院 | 千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号 | 1994年 | 三菱電機・東芝・日立製作所・住友重機機械工業 |
神奈川県立がんセンター | 横浜市旭区中尾2-3-2 | 2015年 | 東芝 |
群馬大学 重粒子線医学研究センター | 群馬県前橋市昭和町三丁目39-22 | 2010年 | 三菱電機 |
山形大学東日本重粒子線センター | 山形県山形市飯田西2-2-2 | 2021年 | 東芝 |
専門家から見れば非現実的な事項かもしれませんが、一般人の提案としてご理解ください。