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太陽の塔が汚れている? ― 光触媒を塗布できないのかという提案(大阪府吹田市万博記念公園)

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筆者撮影

大阪・万博記念公園にそびえ立つ「太陽の塔」。

1970年の大阪万博の象徴として、今なお圧倒的な存在感を放つこの建造物は、大阪の誇りであり、日本の戦後文化を体現する“生きた文化財”とも言える存在です。

しかし近年、公園を訪れた人の間でしばしば聞かれるのが、

「太陽の塔、ちょっと汚れてきてないか?」

という率直な声です。

 

経年劣化としての「汚れ」

太陽の塔は完成から半世紀以上が経過しています。

屋外に常設された巨大な彫刻である以上、雨風・排気ガス・黄砂・花粉・排ガス由来の微粒子などによる汚れは避けられません。

もちろん、これらは「劣化」ではなく「時間の積み重ね」とも言えます。

岡本太郎の作品に刻まれた時間そのもの、と捉えることもできるでしょう。

一方で、白い外装が持つ本来のエネルギー感や、太陽の塔が放つ“生命の強さ”が、汚れによってやや弱まって見えるのも事実です。

 

光触媒という選択肢はないのか?

そこで浮かぶのが、「光触媒」の活用です。

光触媒(代表例:酸化チタン)は、太陽光(紫外線)を受けることで、

  • 表面の有機物汚れを分解
  • 雨水によって汚れを洗い流す(セルフクリーニング効果)
  • 抗菌・防カビ効果

といった特性を発揮します。

すでに日本では、

  • 高層ビルの外壁
  • 橋梁
  • トンネル内装
  • 公共施設

などで実用化されており、「景観維持×維持コスト削減」の技術として確立されています。

 

文化財に塗布できるのかという課題

もちろん、太陽の塔は単なる建築物ではありません。

  • 国の重要文化財(2025年指定)
  • 岡本太郎という芸術家の思想が込められた作品
  • 表面の質感・色味・素材そのものが作品の一部

という事情から、安易な施工は不可能です。

光触媒塗布を検討する場合でも、

  • 既存素材との化学反応の有無
  • 表面の質感・光沢が変化しないか
  • 将来、完全に除去できる可逆性があるか
  • 岡本太郎作品としての“表情”を損なわないか

といった、極めて慎重な検証が必要になります

 

それでも検討する価値はある

それでもなお、光触媒の検討には意味があると感じます。

なぜならこれは単なる「掃除」ではなく、

  • 文化財を未来にどう残すか
  • 大阪の象徴をどう次世代へ引き継ぐか
  • 日本の技術力を文化財保全にどう活かすか

という問いそのものだからです。

大阪万博(1970年)が「人類の進歩と調和」を掲げたように、
現代の大阪が、文化と最先端技術をどう調和させるかを示す象徴的な取り組みになり得ます。

 

太陽の塔は「生き続ける象徴」であってほしい

太陽の塔は、完成された“過去の遺物”ではありません。
見るたびに新しい感情を呼び起こし、世代を超えて語り継がれる存在です。

だからこそ、

  • ただ元に戻すのではなく
  • 過剰に新しくするのでもなく
  • 時代に合った最善の保全を探る

その一つの選択肢として、光触媒という日本発の技術を検討する議論があってもいいのではないでしょうか。

太陽の塔が、これからも大阪の空の下で、「未来」を睨み続ける存在であるために。

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