グラングリーン大阪は、JR大阪駅直結の「複合再開発ビル」だが、一般的な「直結の複合再開発ビル」とどこが違うのか?
一般的な「駅直結の複合再開発ビル」の場合、駅から直接「ビル」に入って、商業施設をぐるぐると回って、好みの店に入る。
しかし、グラングリーン大阪の場合は、駅から直接「ビル」に入るのではない。
駅から一度、4万5000㎡(南公園と北公園合計)の都市公園エリアに行く。
もちろん、全員が都市公園に座って時間を過ごすわけではないが、歩行者デッキから1分くらい公園を見てビルに入ったりするのを含めての話だ。
公園からシームレスにつながった「グラングリーン大阪」や「うめきたグリーンプレイス」などの商業施設・オフィスに行くことになる。
この、一回、公園エリアに入る(見る)ってことが、非常に心地いい。
全階層対応の施設

「グラングリーン大阪(南公園・北館)」と「グランフロント大阪」
「グラングリーン大阪」(南館)にはランチ5,000円~10,000円の高級レストランもあるが、1,000円台のデザートカフェもある。比較的値段は高いが、それでも中間層でも十分楽しめる施設だ。
また、「うめきたグリーンプレイス」のフードコートには、吉野家、丸亀製麺、ケンタッキー、ミスタードーナッツなどの庶民的なお店もあるし、コンビニで気軽にテイクアウトして公園で食べることもできる。
つまり、全階層が楽しめるエリアになっている。
三菱地所など9社がおよそ6000億円を投じて再開発したエリアなのに、庶民的なお店もあるというのがすごい。
富裕層も、たまにはファーストフードを食べたくなるようだ。実際、ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツもマクドナルドによく行くそうだ。
コメント
駅直結の都市公園が出来ただけと思うかもしれない。
しかし、6,000億円の巨大再開発プロジェクトで、敷地面積9haのうち、中心部分4.5haを公園にするということは、簡単にできることではない。
6,000億円も投資して、中心部分の4.5haを1円も利益を生まない「公園」することは通常では考えられない計画だ。
しかし、1円も利益を生まない「公園」があることで、周辺の商業施設・オフィス・住宅の資産価値が大幅に上昇している。
個人的な感想だが「公園」があることで「うめきたエリア」に行きやすい。というか、自然と「うめきたエリア」に行ってしまう。
そして、公園とシームレスにつながった商業施設に行きやすい。
普段なら5,000円以上のランチってあまり行く気がないが、「グラングリーン大阪」ならちょっと興味がわいてきた。
そういう「気分」が、他の駅直結の複合ビルと全く違う。
この感覚は、実際に行ってみないとわからないと思う。
将来性
個人的な予想だが、「グラングリーン大阪」は大成功すると思う。
2024年9月の北街区の先行開業から半年で1000万人が来訪しており、2025年3月に開業した「南館」も1日で15万人が来訪している。
また、オフィスも85%が入居決定している。
具体的には、「クボタ」「塩野義製薬」「ホンダ」「電通」などの入居が発表され、これらの会社の時価総額は5兆円を超えており、日本有数のビジネス拠点になりつつある。
特に「ホンダ」は、ソフトウェア開発拠点を入居させる。
また、「グラングリーン大阪」に入居することで、人材獲得という点でも大きな効果があると思う。
仕事終わりに、世界に10店舗しかない「タイムアウトマーケット」で、おしゃれに食事したり飲んだりできるのは今の若者のライフスタイルに合っている。
また、関西空港へは「特急はるか」で最短48分で行けるので、外資系企業の入居も期待できる。
2031年に「なにわ筋線」が開業すると、「JR・南海の特急」で最短38分まで時間短縮される可能性がある。
1円も利益を生まない「公園」が、周辺の商業施設・オフィス・住宅に大きな経済効果をもたらすことを「実証」した点がすごい。
今後、「グラングリーン大阪」と同じような再開発するには1兆円が必要になると思うので、「グラングリーン大阪」と同じような再開発を実現することは非常に困難だと思う。
「中野サンプラザ」の再開発
東京都中野区の複合施設「中野サンプラザ」の再開発は、当初計画では1,810億円だったが、3,500億円に建設費が高騰したため、再開発計画が頓挫している。
中野サンプラザの再開発は、7000人を収容できるホール、住宅とオフィスなどが入る地上61階、高さ262mの超高層ビルを建設する計画だった。
中野サンプラザと中野区役所の部分の敷地面積は合計約2.3ha、これに中野駅前広場も含めると敷地面積は5.2haとなる。
グラングリーン大阪を見習って、敷地の中心を「2haの公園」とし、周囲に高さ200mのビルを2棟~3棟を建設し、3,000名のホールにすればいいと思う。
ビルの高さでは集客できなくなっている。これからは「都市公園」が集客の要になってくる。そういう意味で都市再開発のゲームチェンジャーが「グラングリーン大阪」だと思う。