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「県民所得」は豊かさを正しく表していない ― 実態を映す指標は「1人当たり県民雇用者報酬」令和4年度(2022年度)

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「〇〇県は県民所得が高い」「△△県は豊かだ」

こうしたランキング記事や行政資料を目にすることは多いですが、県民所得という指標は、私たちが感じる生活実感を必ずしも反映していません。

むしろ、地域の“実態”を表しているのは「1人当たり県民雇用者報酬」ではないでしょうか。

 

県民所得とは

県民所得には、主に以下が含まれます。

  • 雇用者報酬(給与・賞与)
  • 企業所得(法人の利益、個人事業主の営業利益)
  • 財産所得(利子・配当・不動産収入など)

つまり、サラリーマンの給料だけでなく、企業の儲けも含まれている指標です。

ここに、大きな“歪み”が生まれます。

 

工場の立地で数値は簡単に膨らむ

製造業の大規模工場が立地する県では、

  • 生産額が大きい
  • 法人所得(企業収益)が膨らむ

結果として、県民所得は押し上げられます。

しかし、

  • 現地雇用は非正規や下請け中心
  • 肉体労働の男性ばかりで、若い女性が県外に流出する

というケースも少なくありません。

 

本社が多い県

さらに顕著なのが「本社立地」です。

  • 大企業の本社が集中する県
  • 金融・商社・持株会社が集まる県

これらの県では、企業収益が県内に計上されるため、県民所得が非常に大きくなります。

しかし、その利益の多くは

  • 株主配当
  • 内部留保

であり、そこに住む県民一人ひとりに還元されることはありません。まさに「絵に描いた餅」と言えるでしょう。

 

1人当たり県民雇用者報酬

一方で、「1人当たり県民雇用者報酬」は、

  • 実際に働く人が受け取っている給与・賞与
  • 生活の原資となる収入

を直接示す指標です。

つまり、生活実感に最も近い数値だと言えます。

 

なぜ議論では「県民所得」ばかり使われるのか

それでも行政や一部メディアが「県民所得」を好む理由は明確です。

  • 企業誘致や政策成果をアピールしやすい

特に、工場誘致や大企業立地を進めた自治体ほど、県民所得を使った“成功ストーリー”を描きがちです。

しかし、その裏で

  • 住民の賃金は伸びない
  • 若者が流出する
  • 生活満足度は上がらない

という矛盾が生じます。

「県民所得」という指標を用いて行政が成果をアピールするのは、「企業だけが利益を上げ、住民の多くは派遣労働などで生活水準がほとんど向上していない」という実態を覆い隠すためのミスリードだと言えるでしょう。

さらに、県庁記者クラブも行政からの情報提供に依存する立場にあるため、県の意向に沿って「県民所得」という数字をそのまま用い、結果として行政のミスリードを補強する役割を果たしている側面もあります。

 

1人当たり県民雇用者報酬(千円)令和4年度(2022年度)
順位 都道府県 1人当たり県民雇用者報酬(千円)
1 東京都  6,082
2 愛知県  5,181
3 千葉県  5,118
4 広島県  5,096
5 神奈川県  5,074
6 大阪府  5,033
7 山梨県  5,016
全国平均  4,876
8 兵庫県  4,827
9 京都府  4,770
10 福岡県  4,762
11 大分県  4,753
12 埼玉県  4,720
13 栃木県  4,710
14 茨城県  4,702
15 徳島県  4,683
16 福井県  4,664
17 石川県  4,660
18 宮城県  4,642
19 滋賀県  4,630
20 岡山県  4,617
21 三重県  4,602
22 香川県  4,599
23 長野県  4,597
24 岐阜県  4,597
25 静岡県  4,561
26 奈良県  4,551
27 北海道  4,545
28 福島県  4,541
29 群馬県  4,507
30 富山県  4,485
31 山口県  4,458
32 新潟県  4,368
33 山形県  4,359
34 愛媛県  4,356
35 和歌山県  4,351
36 長崎県  4,306
37 熊本県  4,240
38 岩手県  4,191
39 宮崎県  4,046
40 島根県  4,023
41 佐賀県  4,019
42 秋田県  4,011
43 鹿児島県  3,968
44 青森県  3,960
45 沖縄県  3,947
46 高知県  3,880
47 鳥取県  3,678

1位の東京都は608万円で、2位の愛知県(518万円)よりも約90万円高い水準です。
しかし、これは一部の富裕層が平均値を大きく押し上げているに過ぎません。

例えば、2人以上世帯の平均貯蓄額は1,563万円ですが、中央値は450万円にとどまっています。
東京都の雇用者報酬が高く見えるのも、これと同じ構図だといえるでしょう。

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