JR大阪駅前(2021年3月)
1987年、旧国鉄は分割民営化されたが、JR3島会社(JR北海道・JR九州・JR四国)は当時から営業赤字予想で鉄道収入だけでは企業存続できずない状態だった。
それなのに、なぜJR3島会社も分割民営化したのか?
JR3島会社(JR北海道・JR九州・JR四国)は、当初から営業赤字予想なので経営安定化基金(合計1.3兆円)が付与され、その運用益(当時の10年国債利回り7.3%だと年間949億円)で鉄道事業の赤字を補填する計画だった。
経営安定化基金を付与するとしても、鉄道収入だけで1人立ちできない企業を独立させたことは極めて不可解だ。
会社 | JR大阪(合計) | (JR西日本) | (JR東海) | (JR九州) | (JR四国) |
売上高 | 3兆8343億円 | 1兆5082億円 | 1兆8446億円 | 4,326億円 | 489億円 |
会社 | JR東京(合計) | (JR東日本) | (JR北海道) | ||
売上高 | 3兆1138億円 | 2兆9466億円 | 1,672億円 |
これが、旧国鉄が東西2社に分割されなかった原因と思われる。
つまり、JR東京がJR大阪に負けるということは、東京人としては認められなかったのだろう。
その結果、JR北海道やJR四国は分割当初から赤字予想なのに無理やり分割され、現在も赤字経営を強いられている。
そもそも、東京以北の100万人都市は仙台市と札幌市しかない。しかし、東京以西には、横浜市を除いても、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市と100万人都市が多く、鉄道利用者も多い。
そのため、旧国鉄を東西2社に分割すると、JR大阪がJR東京よりも売上高が多くなるのは当然だ。
そもそも、東京道新幹線は、電力の周波数60Hzで運行されており、JR西日本と同じなのだから、本来はJR大阪が保有すべき路線だ。
しかし、(JR西日本)と(JR東海)の2社の売上高を合計すると3兆3528億円となり、(JR東日本)の2兆9466億円を大きく上回る。
「東海道新幹線」の収益をJR西日本に渡さないために「JR東海」という鉄道収入としてはほとんど新幹線の売上しかない不自然な会社を作ったのだろう。
会社 | JR西 | JR東海 | JR東 |
運輸収入 | 8,651億円 | 1兆3656億円 | 1兆7672億円 |
うち新幹線収入 | 4,412億円 | 1兆2613億円 | 5,655億円 |
うち在来線収入 | 4,239億円 | 1,043億円 | 1兆2017億円 |
東京人としては、JR西、JR東海、JR東の3分割でよかったはずだ。しかし、この3分割案だとJR東海のエリアが極端に狭くなって不自然過ぎる。
そのため、JR九州、JR四国、JR北海道も分割して、面積的にバランスが取れているように見せたのだろう。
つまり、旧国鉄分割は、東京に本社のあるJR東をJR西よりも大きくすることが絶対条件であり、そのために単独では赤字で経営できないと予想されたJR九州、JR四国、JR北海道が無理やり分割され、今も経営状態は悪く廃線危機の状態にある。
1987年3月31日まで | 1987年4月1日以降 | 長期債務 | 経営安定化基金 |
国鉄 | JR東日本 | 4.2兆円(+2.6兆円) | |
JR東海 | 0.5兆円(+5.1兆円) | ||
JR西日本 | 1.1兆円(+0.9兆円) | ||
JR北海道 | 0.7兆円 | ||
JR四国 | 0.2兆円 | ||
JR九州 | 0.4兆円 | ||
JR貨物 | 0.1兆円 | ||
合計 | 5.9兆円(8.6兆円) | 1.3兆円 |
長期債務の1991年新幹線売却追加負担分、JR東(2.6兆円)、JR東海(5.1兆円)、JR西(+0.9兆円)
JR東海の営業エリア
当ブログ試算によると東海道新幹線全長551kmのうち、JR東海エリアは約62%の340kmしかなく、JR西日本やJR東日本エリアに100km以上食い込んでおり、エリア分けが不自然だ。
社名 | JR西日本 | JR東海 | JR東日本 |
区間(在来線エリア) | 新大阪駅~米原駅 | 米原駅~熱海駅 | 熱海駅~東京駅 |
距離 | 約107km | 約340km | 約105km |
% | 約19% | 約62% | 約19% |
合計 | 約551km |
東海道新幹線を線路長で分割するなら、JR東海の新幹線売上は1兆2000億円から7,400億円へ約38%減少する。