出典 JR東日本
2023年4月4日、JR東日本は「羽田空港アクセス線(仮称)」の計画中3ルートのうち、「東山手ルート」と3ルートが合流する羽田空港付近の「アクセス新線」の起工式を2023年6月に行い、本格的な工事に着手すると発表した。
概算工事費は約2800億円で2031年度の開業を目指す。
羽田空港アクセス線(仮称)の3ルート
- 西山手ルート(新宿駅経由)池袋方面
- 東山手ルート(東京駅経由)宇都宮・高崎方面
- 臨海部ルート(東京テレポート駅「お台場」経由)房総方面
工事区間位置図(出典 JR東日本)
「東山手ルート(東京駅経由)」と「アクセス新線」を整備することで宇都宮線・高崎線・常磐線方面からのアクセスが改善され、東京駅からは乗り換えなく約18分(現在は鉄道で30分程度)で羽田空港に到着する。
運行概要(出典 JR東日本)
ルート名称 | 「東山手ルート(東京駅経由)」と「アクセス新線」 |
工事区間 | 起点:港区芝浦一丁目、終点:大田区羽田空港三丁目 |
工事延長 | 約12.4㎞ |
構造形式 | トンネル(シールドトンネル、開削トンネル)、高架橋、地平、擁壁(掘割) |
対象駅(停車駅) | 羽田空港新駅(仮称) [駅構造:複線地下式 島式プラットホーム1面2線] |
概算工事費 | 約2,800億円(うち、JR東日本に関係するトンネル本体などの工事費は約700億円) |
開業予定 | 2031年度 |
羽田空港新駅(仮称)概要
出典 JR東日本
名称 | 羽田空港新駅(仮称) |
位置 | 第 1 旅客ターミナルと第 2 旅客ターミナルの間の空港構内道路下 |
最大幅員 | 約 12m |
延長 | 約 310m |
ホーム | 島式 1 面 2 線(地下駅) |
開業 | 2031年度 |
以下は過去記事で変更になっている場合がある
羽田空港アクセス線 概要
整備区間 | 東京貨物ターミナル~羽田空港新駅(仮称) |
距離 | 約5.0km |
整備駅数 | 1駅(羽田空港新駅(仮称)) |
事業費 | 3,000億円(車両費を除く) |
開業 | 2031年度 |
運行車両 | 15両編成 |
運行計画 | (片道)72本/日・4本/h |
ルート概要
ルート | 各ルート終点 | 線路長 | 所要時間 | 開通時期 |
東山手ルート | 東京駅 |
|
18分 | 2031年度 |
西山手ルート | 新宿駅 |
|
23分 | |
臨海部ルート | 新木場駅 |
|
20分 | |
線路長 | 合計約12.4km(5km新設+7.4km休止貨物線を改良) | |||
運行車両 | 15編成(毎時8本~毎時16本) |
東山手ルート(東京駅)
「羽田空港新駅(仮称)」から「東京貨物ターミナル」までの5kmを新設する。「東京貨物ターミナル」~山手線「田町駅」(7.4km)は休止中の「東海道貨物線(大汐線)」を改良する。さらに山手線「田町駅」の東側で「東海道線」に合流し東京駅に入線する。その後、東京駅を経由し茨城、栃木、群馬方面へ接続する。
西山手ルート(新宿駅)
「羽田空港新駅(仮称)」から「東京貨物ターミナル」までの5kmを共用し「りんかい線」に合流するための「短絡線」を建設する。「りんかい線」に乗り入れた後、「大崎駅」から埼京線に乗り入れ「渋谷駅」「新宿駅」に至る。さらに新宿駅では、中央線に乗り入れ、山梨、長野方面に接続する計画もある。
臨海部ルート(新木場駅)
「羽田空港新駅(仮称)」から「東京貨物ターミナル」までの5kmを共用し、その後「増線」した路線を使用して「りんかい線」に乗り入れ「新木場駅」を経て舞浜駅(京葉線)に至る直通路線「臨海部ルート」も整備する方針。
計画では羽田空港新駅~新木場駅は約20分で、現在新木場駅~舞浜駅は約5分なので、開通すれば「羽田空港新駅~舞浜駅」の所要時間は約25分となると見られる。
JR東日本の目的
羽田空港が便利になると新幹線の利用客が減少する可能性がある。
しかし、東京駅~新大阪駅(東海道新幹線)はJR東海の路線なのでJR東日本への影響はない。
「新幹線と飛行機」を比較すると、所要時間が4時間以内の場合は新幹線が有利、4時間以上は飛行機が有利と言われる。
JR東日本の東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線はほとんど4時間以内なので羽田空港の利便性が向上してもJR東日本の新幹線への影響は軽微と予想される。
一方、鉄道会社の運賃収入は伸び悩んでいるので、不動産収入の比率を高める傾向にある。
JR東日本も、羽田空港からJR東京駅などのアクセスを向上させることでJR東日本が保有する不動産の価値を向上させ、不動産収入を高める狙いがあると思われる。