新大阪阪急ビル(筆者撮影)
日経新聞によると、阪急電鉄は「新大阪連絡線」「なにわ筋連絡線」事業化を大阪府・市・JR西日本・南海電鉄と協議することで調整していると言う。
引用・参照 日経新聞
阪急電鉄が計画する「なにわ筋連絡線」と「新大阪連絡線」の新規2路線について、阪急とJR西日本、南海電気鉄道が近く大阪府・市と協議に入る方向で調整していることが明らかになりました。
https://t.co/aZQxSlY5dT— 日経関西 (@nikkeikansai) 2019年10月23日
阪急電鉄「新大阪連絡線」「なにわ筋連絡線」の概要
阪急電鉄は、十三駅から新大阪駅まで地下新線「阪急新大阪連絡線」の建設と、十三駅からJR北梅田駅までの新線「なにわ筋連絡線」の建設を計画している。
阪急電車の既存路線は標準軌(1,435mm)だが、新路線は狭軌(1,067mm)で敷設され南海電鉄が「新大阪~関空」特急で乗り入れする可能性もある。
阪急新路線の建設費
路線 | 区間 | 建設費 | 距離 |
阪急新大阪連絡線 | 阪急十三~新大阪 | 590億円 | 2.1km |
なにわ筋連絡線 | 阪急十三~JR北梅田駅 | 870億円 | 2.5km |
2路線の建設費は別々に整備した場合は合計で1,460億円となるが、同時に整備すると150億円費用を抑制でき1,310億円になるという。
路線図 出典 大阪市(当ブログで一部加筆)
新大阪での「なにわ筋線」乗換予想
「阪急新大阪線」は、現在の新大阪阪急ビルの地下に(仮称)阪急新大阪駅が建設される計画で、新幹線からの乗り換えに時間がかかる。
一方、新幹線から「JRなにわ筋線」に乗り換える場合、新幹線乗り換え口に最も近い「在来線1番のりば」となるので圧倒的に「JRなにわ筋線」の方が便利だ。
また、利用者にとっても関空特急が「JR線ホーム」と「阪急の新大阪地下駅」と分かれるのは不便だ。
さらに、JR新大阪~JR大阪駅は線路長3.4kmで途中駅がなく現在でも4分で運行している。
しかし、阪急新大阪駅~JR北梅田駅の線路長は4.6kmで阪急十三駅に停車するので、所要時間はJR線の方が速い。
特急電車の大半がJRおおさか東線経由となると、阪急新線が得る線路使用料が少なくなる可能性もある。
阪急京都線の利用者
阪急京都線から阪急淡路駅で「おおさか東線」に乗り換えると2駅で新大阪駅に行ける。しかも、新幹線乗り換え口に最も近いホームを利用できるので、阪急の新大阪連絡線はメリットは少ない。
阪急宝塚線の利用者
阪急新大阪連絡線は十三駅の地下ホームになると思われるので乗り換えに時間がかかるし、新大阪も地下駅から高架の新幹線ホームまで行く必要がある。
現在のJR大阪駅乗り換えで新大阪に行く場合と比較して劇的に便利という訳でもない。
また、阪急宝塚線(梅田行)利用者は十三駅で下車したホームと同じホームで阪急京都線に乗り換ることができる。その後、阪急淡路駅で「おおさか東線」に乗り換えて新大阪に行ける。
阪急神戸線の利用者
そもそも、阪急神戸線はJR神戸線の数百m北側を平行して敷設されている。そのためこのエリアの利用者は阪急線とJR線の2路線を利用することができ、新大阪に行く場合、JR神戸線を利用すれば新大阪駅まで直通で行ける。
したがって、「阪急新大阪連絡線」のメリットは少ない。
まとめ
新大阪~大阪間の線路長はJR線が3.4km、阪急線が4.6kmとJR線の方が速達性の面で有利だ。
そのため、阪急連絡線は、特急ではなく「急行+普通」が主体になる可能性もある。
また、利用者の立場から言うと「おおさか東線」が予想外に使い勝手がいいので「阪急新大阪連絡線」のメリットは少ない。
むしろ、阪急電鉄は淡路駅を西宮北口駅に匹敵するターミナル駅として開発する方がいいのではないか?
もし、阪急新大阪連絡線と建設するのであれば、大阪メトロ四つ橋線と接続する方がいい。
しかし、四つ橋線と接続するには阪神電鉄梅田駅と干渉するので簡単ではない。第1段階としてJR大阪駅の北側まで阪急線を整備し、その後、大阪メトロ四つ橋線と接続すればいいのではないか?
大阪メトロとしても「なにわ筋線」が整備されれば、大阪メトロ御堂筋線の利用者が17%減少し、年間100億円の減収になると予想される。そこで阪急線と直通運転することで「四つ橋線」の利用者を増加させることができるのではないか?
四つ橋線沿線から新大阪駅へ乗り換えなしで行けることになるので、全体的に考えるとこちらの方がメリットが大きいと思う。