伊丹空港の通常発着コース(出典 吹田市・当ブログで加筆)
台風による遅延
2023年8月6日、大阪の伊丹空港を離陸する予定だった日本航空(JAL)2機、全日空(ANA)3機が、空港の運用時間の午後9時までに離陸できず、欠航となった。
台風6号の影響で全国的に飛行機が遅れ、伊丹空港への到着機も遅れたため、折り返しの出発便も遅れたことが第一の原因だった。
JALのHPによるとJAL139便(羽田 ⇒ 伊丹)は、21時19分到着になっている。
もし、伊丹出発機をすべて離陸させたならば、21時30分~40分までかかったと予想される。
逆発着(逆ラン・14)による遅延
通常、伊丹空港へは南から着陸し、北へ離陸する。
しかし、東風5m/sで、通常とは逆に北から着陸、南へ離陸する。
この逆コースの着陸では、宝塚市付近まで大きな円を描くように飛行するもので、約10分程度飛行時間が長くなる。
このような要因から、伊丹空港の門限である午後9時に間に合わなかったと推定される。
伊丹空港の逆発着コース(出典 吹田市・当ブログで加筆)実際はもっと大回り
東風5mで、逆発進(逆ラン14)は時代遅れではないか?
当ブログの理解では、ボーイング737型機のような小型機の場合、横風成分約13m/sまで離発着できる。
実際、2023年8月7日、沖縄県の那覇空港では、風速11m/sで通常の離発着を行っている。
また、追い風の場合も風速8m/sまでは離発着できる。
どう考えても「伊丹空港の東風5mで逆発進(逆ラン・14)」は、今の飛行機の性能から言って時代遅れの基準ではないか?
確かに、ボーイング737よりも小さいプロペラ機は、風の影響を受ける。
しかし、全体的に考えると、ボーイング737を基準に伊丹空港の運用方法を見直すべきだと思う。
乗員20人~40人程度のプロペラ機の基準に合わせたために、多くの人が利用するボーイング737・787・777が欠航するならば合理的とは言えない。
安全性
伊丹空港は南側(32L)にしかILS(計器着陸装置)が設置されていない。
つまり、逆ラン(14)は、目視で着陸することになる。
安全性の点からも、逆ラン(14)は危険と言える。
騒音問題
逆ラン(14)コースは、防音工事の対象になっていない地域の上空を飛行するので、騒音被害が大きい。
関空ダイバートを利用すべき
伊丹空港の門限は午後9時であるが、伊丹空港で離陸待ちの飛行機がある場合、例えば8時45分以降の着陸予定の便は、関空に関空にダイバートするようにすればいいのではないか?
2023年3月にJR大阪駅「地下ホーム」が開業し、関空=JR大阪駅の所要時間は「特急はるか」で約48分に短縮された。
伊丹空港=JR大阪駅はバスで約30分なので、関空にダイバートした場合でも18分の遅れにとどまる。
関空ダイバートによる18分の遅れよりも、伊丹空港で離陸できない利用者が発生しない方が全体的には合理的だと思う。
神戸空港の発着枠拡大
神戸空港の発着枠は開港当初の1日60便(30往復)から1日80便(40往復)に拡大されている。
2025年以降に全体の発着枠は1日160便(国内線120便・国際線40便)に拡大される。
伊丹空港の発着枠は1日370便だが、これを1日300便にして余裕のあるスケジュールにすると悪天候時でも門限に間に合わず欠航することも少なくなるのではないか?
東風5m/sで離発着の方向を変える必要はなかった?
2023年8月7日午後19時台、東風6.5m/sだが、逆方向(14)ではなく、通常の南からの着陸、北側への離陸になっている。
つまり、東風5m/sで絶対に逆ラン(14)にしなければならないということはない。
2023年8月7日午後19時台(通常の着陸コース)
2023年8月7日午後19時台(東風6.5m/s)