神戸市営地下鉄海岸線(延長7.9km)は2001年7月7日に開業し、2021年7月7日で20周年となった。
しかし、開業以来、赤字経営で、地下鉄西神・山手線(延長22.7km)の黒字(+49億円 2019年)で海岸線の赤字(-33億円 2019年)を補填する状態が続いている。
出典 神戸市
地下鉄2路線の合計で+15億円の黒字だったが、2020年度は新型コロナの影響で2路線合計で-55億円の赤字になると予想されている。
つまり、従来の西神・山手線の黒字で海岸線の赤字を補填することができなくなった。
しかも、この2路線赤字は2020年度の単年度だけではなく、2021年度も-41億円の赤字予想、2022年度も-46億円の赤字予想となっている。
2032年度にやっと2路線合計で1億円の黒字になると予想されている。
今後10年間は神戸市営地下鉄の経営が赤字が続き、運賃の値上げとサービスの低下が懸念される。
- 開業 2001年
- 延長 7.9km
- 区間 「三宮・花時計前駅」~「新長田駅」
- 単年度損益 -33億円の赤字(2019年)
- 総事業費 2,350億円(297億円/km)
- 累積赤字 -732億円
- 乗車人員 51,352人/日(敬老福祉パスを含む)
- 敬老福祉パス負担金 1億2000万円
出典 兵庫県
当初の構想では、地下鉄海岸線は新長田と復興住宅のあるHAT神戸を結ぶ計画だったと言われる。そのため、JR「三ノ宮駅」から離れた「神戸市役所」前に駅が設置されたと言われる。
HAT神戸(東部副都心)概要
- 所在地 神戸市中央区東部及び灘区西部
- 面積 120ha
- 計画人口 3万人(1万戸)
- 計画勤務者 4万人
- 着工 1996年
- 供用開始 1998年
- Happy Active Townの略称「HAT」
- 開業 1977年
- 延長 22.7km
- 区間 「新神戸駅」~「西神中央駅」
- 単年度損益 +49億円の黒字(2019年)
- 累積黒字 +302億円
- 乗車人員 260,567人/日(敬老福祉パスを含む)
- 敬老福祉パス負担金 8億2000万円
地下鉄2路線の敬老福祉パス負担金は合計9億4000万円になる。当ブログの解釈では、神戸市が税金で負担していると思われ、実質的に地下鉄への「補助金」ではないか?
2019年6月末撮影
兵庫県と神戸市の「新長田合同庁舎」の建設工事が2019年6月末に竣工した。
兵庫県、神戸市、外郭団体職員の合計約1,050人(兵庫県280人・神戸市770人)が勤務する。
JR新長田駅、神戸市営地下鉄新長田駅から徒歩10分くらい。最寄り駅の神戸市営地下鉄海岸線「駒ヶ林駅」前の立地。
名称 | 新長田合同庁舎 |
所在地 | 神戸市長田区二葉町5丁目 |
敷地面積 | 約3,820㎡ |
建築面積 | 約2,800㎡ |
延床面積 | 約19,500㎡ |
構造 | 鉄骨造 |
階数 | 地上9階(執務室8階+塔屋1階) |
高さ | 約39m |
総事業費 | 約90億円 |
整備主体 | 兵庫県・神戸市・神戸すまいまちづくり公社 |
着工予定 | 2017年11月 |
竣工予定 | 2019年6月末 |
なぜ、JR線からもアクセスできる便利な「新長田駅前」ではなく、地下鉄海岸線で1駅南の「駒ヶ林駅」前に建設したのか?
それは「新長田南地区」の活性化のためと、地下鉄海岸線の利用者を増加させるためだと思われる。
そのために、敢えて不便な場所に90億円もかけて「合同庁舎」を建設したとのではないかと思う。
つまり、兵庫県と神戸市は「合同庁舎」を建設し、「地下鉄海岸線」の利用者を増加させようとしているのではないか?