神戸市役所
2019年7月1日、神戸市議会は、「神戸市中心部でタワーマンションなど大規模住宅の建築を規制する条例改正案」を可決した。
2020年7月の施行後は、三宮の中心部において住宅建設は禁止され、さらにJR新神戸から、三宮駅、元町駅、JR神戸駅までの広範囲で超高層タワーマンションを事実上建設できなくなった。
規制内容
規制エリア名 | 都心機能高度集積地区 | 都心機能活性化地区 |
規制エリア場所 | JR三ノ宮の南側約350m | 新神戸駅~神戸駅 |
規制エリア面積 | 約22.6ha | 約292ha |
規制内容 | 住宅建設禁止 | 住宅の容積率を400% |
JR三ノ宮、阪急神戸三宮駅、阪神神戸三宮駅の南側約350m以内の約22.6haには住宅を建設することができなくなった。
さらに、JR新神戸駅~JR神戸駅までの約292haの広大なエリアで住宅を建設する場合の容積率は最大900%から400%となった。
例えば、敷地の半分にマンションを建設する場合、8階建以下になる。したがって、20階のマンションも建設するのは困難となる。
神戸市は人口が減少しているのに、なぜ規制をするのか?
区 | 対前年比増減(平成30年) |
東灘区 | -26人 |
灘区 | -295人 |
中央区 | +1,576人 |
兵庫区 | +146人 |
北区 | -2,183人 |
長田区 | -749人 |
須磨区 | -1,002人 |
垂水区 | -1,095人 |
西区 | -1,554人 |
全市 | -5,052人 |
神戸市全体では人口が減少しているが、中央区と兵庫区は人口が増加している。
したがって、中央区でタワーマンション規制をするのは、ある程度、理解できる。
神戸市長の「ベッドタウン」発言の背景
久元神戸市長は「神戸を大阪のベッドタウンにしない」とし、神戸市中心部でタワーマンション規制を実施する方針。
市長の発言を言い換えると
「神戸にタワーマンションが建設されても、購入するのは大阪人だけで、神戸人は購入できないから、タワーマンションを規制する」
と言えるかもしれない。
神戸市の考え
神戸市は都心でタワーマンションを規制する一方、北神急行を阪急電鉄から198億円で購入し、現在540円の運賃(三宮ー谷上)を280円に値下げする。
既存の住民は運賃が高いことを前提として、車でショッピングセンターに買物に行くなどの生活スタイルを確立しており、運賃が値下げされても劇的にメリットがあるわけではない。
神戸市としては、北神急行沿線に新規で住民が引っ越してくることを期待しているのだろう。
つまり、神戸の郊外から、三宮周辺に通勤する人を増加させたいのだろう。
元町・三宮の個店
神戸市営地下鉄海岸線の「みなと元町駅」「旧居留地・大丸前駅」が建設されたように、元町・三宮の個店の影響力は大きい。
JR三ノ宮駅に巨大なビルができれば、元町・三宮の個店の売上減少するから、反対しているのかもしれない。
元町・三宮にタワーマンションが建設されれば、商店街の連続性が途切れ、また地上げにより一時的に駐車場になったりする。そうなると、個店の売上が減少するのでタワーマンションに反対しているのかもしれない。
三ノ宮駅から税関前やメリケンパークなどに直接行く「バス(BRT)」があれば観光客に便利だが、元町・三宮の個店スルーされるから、実現しないのかもしれない。
神戸市の新港突堤開発に関して、国道43号線の歩道橋整備を実施しようとしている。つまり、観光客に三ノ宮駅から歩いて新港突堤まで行かせようとしているのではないか?
その場合、その途中にある個店の売上が増加するかもしれない。
まとめ
神戸市の施策は神戸全体のことを考えていると思っていた。しかし、それでは、神戸市の計画は説明できない部分がある。
ある特定の人や地域のメリットを考えると、神戸市の施策が理解できる。