神戸空港第2ターミナルビル(出典 神戸市)
2025年4月18日、神戸空港に国際チャーター便が就航し、2030年には国際定期便が就航する。
神戸空港の国際化により、神戸に企業が進出すると期待されていた。
しかし、神戸空港の国際化前に、アシックス本社はポートアイランドからすでに移転している。その後2028年には「三宮再開発ビル」に再移転する。
当ブログの分析では、神戸空港の国際化により、ポートライナーがさらに混雑するため、2028年の本移転を待たず、2025年1月に仮移転したと思われる。
神戸空港へのアクセス手段であるポートライナーの輸送力が貧弱であるため、企業は神戸空港に近いポートアイランドから撤退する動きがある。
神戸空港の国際化により、逆に神戸が衰退する可能性がある。
「三宮再開発ビル(雲井通5丁目)」も、オフィスフロアは12フロアで基準階面積1,170.53㎡(354.09坪)から換算するとオフィスの合計延床面積14,046㎡となる。
延床面積約1.4万㎡とは地上15階程度の中規模オフィスと同じで、主要都市の駅前再開発ビル(高さ163m・延床面積10万㎡)としては、オフィス面積が小さすぎる。
そのため、個人的な予想だが、神戸市内に分散して仮移転したアシックス本社がすべて「三宮再開発ビル(雲井通5丁目)」に入居することはないと思う。
駅前に15階建のオフィスビルが1棟できたからといって、その街が発展するとは思えない。
神戸空港国際化
国際線が就航することは神戸にとってメリットであるが、神戸市の人口は149万人しかなく神戸市民の国際線需要は年間60万人程度でしかない。
一方、関西空港の2024年の総利用者数は3,064万人(国際線2,391万人・国内線673万人)で、国際線利用者数は神戸市民の国際線需要年間60万人の40倍に達する。
体感的には国際線利用者数が1,000万人~2,000万人でないとインバウンド消費の経済効果は実感できない。
ちなみに、神戸空港の2024年の総利用者数は国内線のみで358万人だった。
神戸空港国際化スケジュール
年月 | 内容 |
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2025年3月 | 神戸空港の国内線発着枠80回/日から120回/日に増枠 |
2025年4月18日 |
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2030年頃 | 神戸空港国際定期便便就航(40回/日)
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出典 神戸市
施設名 | 神戸三宮ツインタワー1期ビル |
事業名称 | 神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業 |
所在地 | 神戸市中央区雲井通5丁目 |
敷地面積 | 約8,230㎡ |
建築面積 | 約8,040㎡ |
延床面積 | 約99,000㎡ |
構造 | 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造 |
容積率 | 1,050%(現在600%・700%) |
建ぺい率 | 100%(現在 80%) |
階数 | 地上32階・地下3階・塔屋2階 |
高さ | 163m |
設計 | 株式会社大林組
株式会社坂茂建築設計 株式会社東畑建築事務所、 |
特定事業参加者 | 三菱地所株式会社(代表企業)
三菱倉庫株式会社(構成員) TC神鋼不動産株式会社(構成員) |
特定業務代行者 | 株式会社大林組 |
新築着工 | 2023年7月頃 |
竣工 | 2027年12月頃 |
進出企業数 | 50社 |
勤務者 | 約1,500人(オフィス・ホテルなどの合計か?) |
高層部・中層部 |
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低層部 |
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低層部 | 西日本最大級のバスターミナル・待合・店舗(B2・1F~3F) |
一般的なオフィスビルの場合、基準階面積のレンタブル比は80%なので、神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業の1フロアのオフィス面積は約940㎡となる。
従業員1名につきオフィス面積は10㎡なので、1フロアで94名(約100名)が勤務できる。
アシックスは11Fの半部~14Fまでの3.5フロアで合計オフィス面積3,290㎡(報道では4,000㎡だが基準階面積の合計か?)なので社員数としては350名くらいが上限と推定される。
一方、報道によるとアシックス本社の従業員数は650名なので計算が合わない。
もしかしたら、2028年以降もアシックスの本社機能は神戸市内の複数のビルに分散したままになるかもしれない。
神戸市は50社・勤務者1500人を誘致する計画で、1社当たりオフィス面積は約225㎡(1社当たり20人)となる。
神戸市は大企業本社の入居を想定していなかったと思う。
しかし、アシックス本社が全部移転するとオフィス12フロアのうち、6フロアを必要とする。
残り6フロアに49社が入居することになり、会社目標の50社を達成できない可能性がある。また、三ノ宮駅周辺以外の神戸市内の他のオフィスビルが空洞化する懸念がある。
そこで、アシックスの入居フロアが少なくなった可能性がある。
個人的には、誘致企業数50社や神戸市内の他のオフィスビル空洞化懸念にこだわらず、アシックス本社が6フロアに入居する方がいいと思う。
シスメックス株式会社の移転
血液検査機器大手のシスメックスも2028年春に「雲井通5丁目ビル」の15階~17階(3フロア)に本社を移転する。移転対象は200人強とされる。
3フロアで200人強ということは、1フロア当たり70人程度と予想される。
シスメックスが「新・神戸文化ホール」の命名権取得
シスメックス株式会社は、2028年に開業予定の新・神戸文化ホールのネーミングライツ(施設命名権)契約を神戸市と締結し、本施設の愛称は「シスメックス神戸文化ホール」となる。
ネーミングライツ契約の概要
施設愛称 | シスメックス神戸文化ホール |
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施設名 | 新・神戸文化ホール |
所在地 | 神戸市中央区雲井通5丁目(大ホール・小ホール)2028年(予定)
神戸市中央区雲井通6丁目(中ホール)2030年度以降(時期未定) |
契約期間 | 2028年4月~2078年3月(50年) |
取得金額 | 総額50億円 |
神戸の再開発の不安感
主要都市の再開発ビルの1フロア当たりの貸室面積は4,000㎡(社員数400人)となっている。1フロア当たりのオフィス面積が大きいほど階の移動が少なく効率的に働けるからだ。
しかし、神戸「雲井通5丁目ビル」の基準階面積は約1,170㎡(354坪)で、主要都市のオフィスビルの4分の1しかない。(貸室面積はもっと小さい)
これでは、主要都市から大手企業を誘致することはできない。
大手企業になると1部署だけで200人~400人が勤務するが、神戸「雲井通5丁目ビル」に入居する場合、1部署だけで3~4フロアに分かれて効率が悪くなる。
したかって、神戸市以外から大企業を誘致するならば、1フロア当たりの貸室面積を4,000㎡(400人)にすべきだった。
デザイン都市神戸の失敗
神戸市が本気で他都市から大企業を誘致するならば、ビルの高さを100mにして、1フロア当たりのオフィス面積を広くすべきだった。
しかし、神戸市は「デザイン都市神戸」という施策で「外観」を重視しており、高さ163mと高いが1フロア当たりの延床面積の小さい使い勝手の悪いビルを設計してしまった。
まとめ
神戸市の再開発は「国際チャーター便就航」「高さ163m・延床面積約10万㎡の再開発ビル」と一見成功しそうな感じがする。
しかし、詳細に分析すると、ポートライナーの混雑が酷くなり、延床面積約10万㎡の再開発ビルもオフィス部分は12フロア(基準階面積合計1.4万㎡)しかない。
基準階面積合計1.4万㎡とは、15階建てのオフィスビルと同規模だ。つまり経済効果としては三ノ宮駅前に15階建ての中規模ビルを建設するのに等しい。
したがって、神戸の再開発は三宮駅周辺が賑わうだけで、神戸市全体を見ると、神戸経済が上向くとは思えない。
実際、アシックスのポートアイランド本社や、シスメックスの旧本社跡地の利用は未定になっている。
これでは、神戸市内でオフィスが移転しただけで、神戸市全体で見ればゼロサムになってしまう。