NTT西日本新本社ビル(2021年10月撮影)
NTTは東京・大手町の本社機能を群馬県高崎市と京都市に分散する方針を固めた。
東京の本社機能を分散するとなれば、NTT西日本の本社がある大阪市が候補になると思ったが、京都市と群馬県高崎市に分散するのはなぜだろうか?
NTTとしては、首都直下地震を分散に理由としているが、やはり「南海トラフ地震」も想定していると思う。
また、1707年の宝永地震の49日後には富士山が噴火(宝永噴火)しているので、富士山噴火も想定しているのかもしれない。
大阪府の試算では「南海トラフ」を震源域とするマグニチュード9.1Mの最大級の地震が発生した場合、JR大阪駅(梅田)周辺は2m浸水するとされる。
津波の最短到達時間は大阪市此花区で113分後、JR大阪駅(梅田)には約2時間で津波が到達するとされる。
JR大阪駅(梅田)地区の地下街には午後6時で約2万1000人がいると予想され、全員が周辺ビルの2階、3階に避難するのに約30分かかるとされる。
NTTスマートコネクト(大阪市)は、大阪市北区に「曽根崎データセンター」を2022年4月に開設すした。
- 建物の規模:地上12階建・高さ76m・延床面積18,644㎡
- 設計 :NTTファシリティーズ
- 施工 :大林組
建物は免震構造で、1階部分の柱の上部に柱頭免震装置が設置、また、重要設備は建物2階以上に設置しており、南海トラフ地震による津波や洪水でも継続運用可能。
このように、大阪市内にあるNTTの施設の一部は地震対策をしており、継続運用は可能だが、大阪市内全域の交通インフラが停止すれば、従業員が出勤できないなど、NTTだけでは解決困難な事象が発生する懸念がある。
また、上記ビルには非常用発電装置(ディーゼルエンジン)が設置されており72時間連続無給油運転が可能だが、3日以上の停電が発生すると機能停止する可能性もある。
そのため、内陸にある京都市と群馬県高崎市に分散すると思われる。
NTTの本社機能分散概要
- 場所 京都市(NTTコムウェア)/群馬県高崎市(NTT東日本の施設)
- 分散対象 東京都千代田区の持ち株会社NTTの約200人
- 平時 経営企画や総務などの部門の社員が平時から業務の拠点として活用する
- 災害時 復旧の司令塔を担う
- 時期 2022年10月から試行
- 今後 NTTグループ会社にも本社機能の地方分散を促す
イメージとして、平時は経営企画や総務の業務を行い、災害時には東京や全国に勤務するNTT社員が集結して、災害対応に当たるのではないか?
当ブログの予想では、NTTコムウェア京都西九条ビルが京都の拠点になると思われる。
北陸新幹線の重要性
京都市と群馬県高崎市は距離があると思うが、実は北陸新幹線(2022年現在は金沢駅まで開通)を利用して往来できる。
南海トラフ地震が発生すると太平洋側にある東海道新幹線は数ヶ月間、不通になる可能性がある。そのバックアップとして北陸新幹線を利用する計画ではないか?
北陸新幹線とは?
北陸新幹線は、東京ー大阪間(約716km)を結ぶ整備新幹線(最高速度260km/h)で、現在、東京ー金沢間が開通している。
2024年春には金沢ー敦賀間(約125km)が開業予定、2046年に敦賀ー新大阪駅(約140km)が開業する予定。
北陸新幹線開業の所要時間(時短効果)
区間 | 2022年現在 | 2024年春敦賀開業時 | 2046年全線開業時 |
新大阪~東京(北陸新幹線経由) | 約5時間 | 約4時間30分 | 3時間30分 |
- 2022年現在、北陸新幹線経由の新大阪~東京の所要時間は5時間だが、2024年には4時間30分、2046年には3時間30分となる。
- 東海道新幹線の2時間30分と比較すると1時間長いが、非常時には十分利用できる代替ルートになる。
コメント
NTT本社の機能分散ということで、大きなニュースのように思える。しかし、実態は平時に全社員18万人のうち約200人が勤務する程度で、非常時に全国からNTT社員が集結するような拠点だと思う。
ただ、NTTが本社機能の分散に踏み切ったことで、NTT関連会社や他の大企業も分散する可能性がある。
その場合、平時の運用を考慮すると東京や大阪から交通アクセスがいい場所が候補になると思う。具体的には東京や大阪から30分~1時間程度の内陸部に拠点を設置する可能性があるのではないか?
関西でいうと、かつて首都機能移転候補地とされた「けいはんな学研都市」が有力ではないか?
けいはんな学研都市概要
- 正式名称 関西文化学術研究都市
- 所在地 京都・大阪・奈良の3府県にまたがる京阪奈丘陵地
- 京都府(京田辺市・木津川市・精華町)
- 大阪府(枚方市・四條畷市・交野市)
- 奈良県(奈良市・生駒市)
- 大阪都心・京都都心から約30km圏
- 面積 15,000ha(150㎢)/うち文化学術研究地区(12カ所)3,600ha
- 計画人口 41万人/うち文化学術研究地区(12カ所)21万人
- アクセス 近鉄「新祝園駅」・近鉄けいはんな線「学研奈良登美ヶ丘駅」・JR「祝園駅」などからバス・タクシー
出典(公益財団法人 関西文化学術研究都市推進機構)