訪日外国人の消費で大阪と東京で明暗が分かれた。東京では免税品の売上が伸びないが、大阪では免税品の売上が増加している。
2017年1月~12月 東京と大阪 百貨店売上高(年間)
都市名 | 2017年 | 2016年 | 前年比(増減額) | 前年比(増加率) |
東京 | 1兆6087億円 | 1兆6013億円 | +74億円 | +0.5% |
大阪 | 8,097億円 | 7,594億円 | +503億円 | +6.6% |
出典 日本百貨店協会
東京の百貨店売上は前年比+0.5%と伸び悩んでいるが、大阪の百貨店売上は前年比+6.6%と大幅に増加している。
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大阪のインバウド消費が好調な理由として、「関空にLCCが多数就航」、「大阪は京都や奈良に近い」、「大阪は東京よりも物価が安い」などとされている。
しかし、そもそも、大阪への旅行需要がなければLCCは就航しないし、成田空港だってLCCは就航しているので、それだけでは説明がつかない。
一番の理由は「大阪が旅行に適している」ということ
具体的に言うと、関空に到着して、電車1本で「難波」に行ける。
「難波」周辺のホテルに宿泊すれば、あとは、歩いて「心斎橋」の高級ブランド店、「道頓堀」や「黒門市場」にも徒歩で行ける。
東京の場合、羽田空港から京急で品川に行ってホテルに宿泊しても、品川にはデパートもないし、家電量販店もない。
高級ブランド品は銀座、家電量販店は秋葉原(有楽町・新宿)と外国人にとっては微妙に不便だ。
大阪なら「難波」のホテルに宿泊さえすれば、あとは、街歩きしていれば、高級ブランド品でも家電量販店でも飲食店でもどこでも行ける。
まさに、外国人にとってはすごく便利な街なのだ。
これは、「キタ」(梅田)についても言える。
JR大阪駅周辺には、「阪急百貨店」「阪神百貨店」「大丸」「ルクア+ルクアイーレ」「グランフロント大阪」「NU茶屋町」「阪急三番街」「ヒルトンプラザ」「ハービス」「ブリーゼブリーゼ」「ロフト」「HEP FIVE」があり、これらの商業施設はすべて徒歩10分~20分で行ける。
これだけの商業施設が徒歩圏に集積しているのは、おそらく世界で大阪だけだろう。
もちろん、商業売上高は新宿の方が多い。しかし、新宿は東西に分断されていて、東西を行き来するのは慣れない外国人にとっては難易度が高い。
まとめ
全国各地ではインバウド消費を増やすために、大型観光施設を建設してるが、それだけでは不十分だ。
「歩いてどこでも行ける街」「歩いて楽しい街」そういう視点が最も重要だ。
「御堂筋の完全歩道化」の計画も、現在、「難波」に集中しているインバウンド消費を「難波」から周辺に拡大させる意図があるのではないか?
東京駅周辺に宿泊しても、歩いて銀座まで行くのは不便だし、新宿まで歩く人は少ないだろう。しかし、大阪では梅田から難波まで4kmを、カフェなど休憩しながら歩くことができる。
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コメント
住んでいる人の感覚だと、JRや地下鉄で1駅~2駅乗った方が便利と思う。
しかし、外国人旅行者にとって、切符を買うこと自体が面倒なことだし、街歩きすると、ガイドブックに載っていない「自分だけの発見」がある。
旅行者にとっては、その発見が楽しいのだ。
ただ、御堂筋は電線が地中化されているが、1本路地に入れば、電線だらけのところも多い。また御堂筋の歩道を自転車が頻繁に通行していて、歩行者はゆっくりできない。
大阪はもっと「歩いて楽しい街」にしなければならない。
人口減少すると経済規模が縮小すると考えられてきた。しかし、訪日外国人が年間1,200万人で平均3泊すると累計で3,600万泊となり、1日当たり約10万人の外国人が常時滞在していることになる。
つまり、人口が10万人増加したとのと同じ経済効果がある。もっと言えば、観光客なので居住者よりも1日当たりの消費額は大きく、居住者15万人~20万人分の経済効果があるのではないか?
東京圏の人口は3,600万人だが、アジアの人口は44億人だ。そのアジアに近い「大阪」の立地は「東京」よりも圧倒的に有利なのだ。
東京は過密のため投資効率が悪化
例えば
(首都高)中央環状道路の場合、10km当たり1兆円といコスト
引用 経団連 https://www.keidanren.or.jp/japanese////journal/CLIP/clip0078/cli010.html
東京は地下も過密になっており、高速道路を1km建設するのに1,000億円かかる。投資効率が悪くなっている。
2030年頃には、東京の成長は限界に来るかもしれない。その頃、大阪は「うめきた2期」「なにわ筋線開業」し基本的なインフラは完成している。
トレンドとして、東京は下降、大阪は上昇となっているかもしれない。