徳島県の後藤田新知事は、2023年5月25日に開かれた「近畿ブロック知事会議」において、
「四国は一致して岡山ルート。徳島が賛同することによって、四国はまとまりますので、ぜひお願いしたい思います」と発言し、岡山ルート推進に転換する方針を明らかにした。
前徳島県知事の飯泉嘉門氏は、大阪=淡路島=徳島ルートを推進していた。
四国新幹線の時短効果
現状 | 四国新幹線開業後 | |
徳島=新大阪 | 2時間53分 | 1時間35分 |
髙松=新大阪 | 1時間44分 | 1時間15分 |
松山=新大阪 | 3時間30分 | 1時間38分 |
高知=新大阪 | 3時間15分 | 1時間31分 |
しかし、徳島=大阪は淡路島経由の高速バスで約2時間半(約3,000円)で結ばれている。
岡山経由の新幹線の所要時間は1時間35分と時短効果があるものの、運賃は1万円程度になると予想されており、整備効果は小さいと思われる。
一方、松山=新大阪は現状の3時間30分から1時間38分と大幅に時間短縮され、整備効果が高い。
岡山=松山ルートに一本化か?
岡山ルートと言っても、四国中央市(愛媛県)で「松山ルート」と「高知ルート」に分岐する。
しかし、四国中央市と高知市の距離は60kmで、高知市の人口は33万人(高知県全体で68万人)なので新幹線を建設しても採算が取れない可能性がある。
また、徳島県が新幹線ルートを断念したことで、高知県も「高知(分岐)ルート」を断念すれば、「岡山=松山ルート」に一本化され、実現の可能性は高まると思う。
ちなみに、松山市の人口は約50万人、愛媛県の人口は約130万人。
岡山ルートのメリット
瀬戸大橋(岡山=香川)には、在来線の他に「新幹線が通れるスペース」が確保されている。
鳴門大橋(徳島=淡路島)にも「新幹線が通れるスペース」が確保されているが、明石海峡大橋には「新幹線が通れるスペース」はない。
開業は早くて2050年頃か?
整備新幹線は100km(工期10年・建設費1兆円)ずつ開業することが多い。
「岡山=松山ルート」も「岡山=四国中央市(在来線92km)」と「四国中央市=松山市(在来線123km)」の2期に分かれて建設されるのではないか?
2030年頃に着工したとして、2040年に「岡山=四国中央市」が開業し、2050年に「四国中央市=松山市」が開業するのではないか?
将来構想
松山市(愛媛県)から大分市(大分県)へ接続するルート「豊予海峡の海底トンネル」の構想もある。
コメント
徳島と淡路島を結ぶ鳴門海峡大橋には新幹線の線路を敷設する空間があり、今後、自転車道として整備される予定だが、改良すれば在来線鉄道の線路も敷設できると思われる。
したがって、淡路島と和歌山の間に在来線鉄道を建設すれば、徳島まで鉄道で結ばれると思う。
淡路島は近年リゾート地として注目されているが、鉄道アクセスがないことが欠点だ。
淡路島の発展のためにも、淡路島と和歌山の間に在来線鉄道建設は必要だと思う。
個人的には、新大阪=大阪(南部)=淡路島=徳島=髙松=松山=大分の路線に整備新幹線の最高時速260kmではなく、時速350kmの新幹線を建設すべきだと思っている。
以下は過去記事
九州・四国新幹線構想
九州・四国新幹線は、大分市(大分県)~松山市(愛媛県)~高松市(香川県)~徳島市付近(徳島県)~淡路島(兵庫県)を通り大阪市まで約480kmの整備新幹線計画で、整備新幹線のため最高時速260kmとされる。
出典 四国の鉄道高速化検討準備会
区間(紀淡海峡経由) | 距離 | 所要時間 |
新大阪~徳島 | 約135km(当ブログ試算) | 40分 |
新大阪~高松(香川県) | 約200km(当ブログ試算) | 1時間1分 |
新大阪~松山(愛媛県) | 335km | 1時間38分 |
新大阪~大分 | 477km | 2時間16分 |
四国新幹線整備促進期成会の計画
四国新幹線整備促進期成会は、四国新幹線として2ルートを整備する計画のようだ。
- 南北軸として「(松江ー)岡山ー香川ー高知」ルート
- 東西軸として「徳島ー高松(香川)ー松山(愛媛県)」ルート
豊予海峡トンネル路線図
九州の大分市は四国と九州の間にある「豊予海峡」に新幹線用海底トンネルを敷設する調査結果を公表した。
開発構想 | 区間 | 距離 | 費用 |
新幹線 単線 | 大分市~松山市 | 144.9km | 6,860億円 |
新幹線 複線 | 大分市~松山市 | 144.9km | 9,630億円 |
豊予海峡トンネル
区間 | 大分側陸上ルート | トンネル | 松山側陸上ルート |
距離 | 25.2km | 21.2km | 98.5km |
豊予海峡は、最も狭い部分で海峡幅は14km、最大深部は水深195m。
計画のトンネルは陸上から海底への傾斜部分も含め21.2kmとなる。
イメージとして、10kmで250m下がるので、1km当たり25m下がる「25パーミル(‰)」と予想される。
九州新幹線には35パーミル区間もあるので、25パーミルならば新幹線を敷設できる。
建設費
規模 | 建設費 |
高速道路2車線 | 6,900億円 |
高速道路4車線 | 1兆590億円 |
高速道路2車線+新幹線複線 | 1兆6,530億円 |
高速道路4車線+新幹線複線 | 2兆220億円 |
まとめ
四国というと人口が少ないイメージだが、四国4県合計で382万人、大分県も含めると約508万人、さらに宮崎県も含めると622万人になる。
県名 | 人口 | 合計(小計) |
愛媛県 | 138万人 | |
高知県 | 72万人 | |
香川県徳島県 | 97万人 | |
徳島県 | 75万人 | |
四国合計 | 389万人 | |
大分県 | 119万人 | |
宮秋健 | 114万人 | |
合計 | 622万人 |
四国4県+大分県+宮崎県の沿線人口622万人で、これは兵庫県の557万人、京都府の259万人よりも多い。
沿線人口622万人に大阪府の人口886万人を加えると1,488万人となる。
明石海峡は海峡幅3.6kmで最大深度110mで、海底トンネルを敷設した場合、2kmの距離で高低差が150mとなる。
勾配でいうと75パーミルという急勾配で新幹線は走行できない。
そのため、明石海峡の海底トンネル案は断念された。
四国新幹線整備促進期成会は、四国新幹線として四国4県を結ぶ2ルートを整備する計画のようだが、実現は不可能と思われる。
例えば、単に徳島市と松山市(愛媛県)を結ぶだけでは、利用者が少なく路線を維持できない可能性がある。
さらに、南北軸「(松江ー)岡山ー香川ー高知ルート」と東西軸「徳島ー高松(香川)ー松山(愛媛県)ルート」の2ルートを整備するのは費用が掛かり過ぎる。
したがって、日本全体の国土軸を考えて「山陽新幹線(新大阪ー博多(福岡県)」の代替となるような「大阪ー和歌山ー淡路島ー徳島ー高松(香川県)ー松山(愛媛県)」ルートの方が実現可能性が高い。
ただ、このルートでは高知県が外れることになる。しかし、新幹線の駅が設置されると予想される四国中央市(愛媛県)ー高知市の距離は約60kmであり、時速120kmの在来線を新設すれば所要時間30分で接続できる。
また、距離的に100km~150km程度の四国内の移動については、新幹線よりも「運賃の安い高速バス」の需要が多いと思われる。
実際、「大阪ー徳島」「大阪ー高松(香川)」は運賃の安い高速バス(所要時間2時間30分)が1日数十本運行している。
結局、四国内の移動だけを考えたのでは数兆円の建設費がかかる新幹線を2ルートも作ることは不可能だ。
大阪や九州など多くの沿線(日本の国土軸)にとってメリットのあるルートでなければ実現しない。
四国側はルートを1本化すべきだ。