総務省の2022年「住民基本台帳人口移動報告」によると、自治体別の転出超過数は兵庫県神戸市(-3,174人)が全国ワースト1だった。
出典 中国新聞 https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/272477
全国の転出超過自治体ワースト5
順位 | 市町村名 | 転出超過数 |
1位 | 神戸市(兵庫県) | -3,174名 |
2位 | 成田市(千葉県) | -2,554名 |
3位 | 広島市(広島県) | -2,522名 |
4位 | 取手市(茨城県) | -2,490名 |
5位 | 北九州市(福岡県) | -2,474名 |
神戸市の2023年2月の推計人口は1,506,516人
出典 神戸市
神戸市の人口は、中国・四国・九州から転入し、東京・大阪へ転出する傾向がある。
転入数よりも転出数が多い「転入超過」が続いていた。
しかし、コロナ渦により、東京や大阪への転出数が減少した。
その結果、2021年、神戸市は転入超過74名となった。
しかし、コロナ渦から通常モードへ移行するようになった2022年は、再び -3,174名の転出超過となった。
近畿の自治体別転入超過数
自治体 | 2022年 | 2021年 |
大阪府 | 6539 | 5622 |
兵庫県 | -5625 | -5344 |
京都府 | -2034 | -3874 |
奈良県 | -1227 | -1316 |
和歌山県 | -2020 | -1952 |
滋賀県 | 1555 | 1034 |
大阪市 | 9103 | 7893 |
神戸市 | -3174 | 74 |
京都市 | -2228 | -2600 |
神戸市の転出超過数は-3174名だが、兵庫県も-5625名の転出超過で近畿全体で最も転出超過が大きい。
三ノ宮の再開発で神戸は復活するか?
出典 JR西日本
名称 | JR三ノ宮新駅ビル(仮称) |
高さ | 160m |
階数 | 地上32階・地下2階・塔屋2階 |
敷地面積 | 8,600㎡ |
延床面積 | 100,000㎡ |
31階 | レストラン |
18階~30階 | ホテル250室(ヴィスキオが有力) |
12階~17階 | オフィス6,000㎡(賃貸面積) |
地下1階~地上11階 | 商業施設19,000㎡(店舗面積) |
着工 | 2023年度 |
開業 | 2029年度 |
事業費 | 500億円 |
本物件の規模は、地上32階・高さ160m・延床面積10万㎡と規模は大きい。
しかし、オフィス賃貸面積は0.6万㎡・商業施設店舗面積は1.9万㎡・ホテルは250室と外観のわりに小規模だ。
結論から言うと、神戸市全体を劇的に活性化することはできないと思う。
神戸空港国際化で神戸は復活するか?
神戸空港(筆者 撮影)
神戸空港は2025年頃に国際チャーター便が就航し、2030年頃に国際定期便が就航する予定だが、神戸は復活するのか?
神戸空港国際化のスケジュール
年 | 内容 | 発着回数(往復)/日 |
2025年まで | サブターミナル建設 | 国内線80回(40往復) |
2025年頃 | 国際チャーター便就航 | 国内線120回(60往復)
国際チャーター便(数便か?) |
2030年頃 | 国際定期便 | 合計160回(80往復)
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空港利用者数予測
神戸市の試算では2030年の空港全体の利用者数は700万人で、国内線は510万人、国際線は190万人となっている。
ちなみに、2019年の神戸空港の利用者数は国内線のみで329万人。
自治体別利用者数 | 2030年国内線利用者数予測 | シェア |
神戸市 | 180万人 | 35% |
神戸以外の兵庫県 | 130万人 | 25% |
大阪北部 | 110万人 | 22% |
京都・滋賀 | 40万人 | 8% |
その他 | 50万人 | 10% |
合計 | 510万人 | 100% |
神戸市の人口は150万人だが、年間利用者数予測では180万人となっている。
一般的に、1年間で飛行機に乗る人の割合は20%~30%、つまり神戸市民で1年間に飛行機に乗る人は30万人~45万人となる。
空港利用者数としては、往復で計算するので2倍の60万人~90万人となる。
一方、神戸市の予測は180万人なので、神戸市民だけではなく、神戸に来る関東などの他県民の数も含まれると思われる。
神戸市民や神戸に来る他県民の合計は180万人で、シェアは35%しかない。
残り65%は神戸に用はない人で、神戸を素通りすると思われる。
したがって、神戸空港の利用者数は増加しても、神戸を素通りする人が65%いるわけで、神戸が復活することにはならないと思う。