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2030年、神戸空港国際化で、大阪のインバウンド消費1,000億円増加か?

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神戸空港(筆者撮影)

神戸空港は、2025年に国際チャーター便が就航、2030年に国際定期便が就航する予定。

神戸市の試算では2030年の神戸空港全体の利用者数は700万人で、国内線は510万人、国際線は190万人となっている。

神戸市民が関空ではなく神戸空港を利用することで、空いた国際線枠を外国人(インバウンド客)で埋めることができれば、インバウンド客95万人(飛行機の搭乗回数としては190万回)増加することになる。

大阪府内のインバウンド消費額は1人当たり約11万円(2019年予測)なので、95万人×11万円=1,045億円の増加になる。

 

インバウンド消費額(大阪)

出典 大阪市

出典 大阪市

 

神戸空港2030年国際化概要

  • 利用者数700万人(国内線は510万人・国際線は190万人)
  • 発着回数160回(国内線120回・国際線40回)

 

関西空港2030年の利用者予測

関空利用者数(2019年暦年)

  • 全体3,191万人
  • うち国際線2,493万人(外国人1,677万人・日本人794万人)
  • うち国内線698万人

(国際線の合計数字が22万人合わないが、関西エアポートの資料のまま記載)

 

関空国際線(2030年予想)

  • 基本4,000万人
  • 中位4,500万人
  • 上位5,000万人

神戸空港国際線利用者予測は190万人なので、神戸市民が関空でなく、神戸空港を利用するようになっても、関空の外国人(インバウンド客)4,000万人以上という予測なので十分埋められる。

 

富裕層は関空を利用すると予測

2023年3月18日にJR大阪駅地下ホームが開業し、関空特急「はるか」がJR大阪駅に乗り入れすることになった。

これによりJR大阪駅から関空の所要時間は最速48分に短縮された。

運賃は約2,000円だが1泊5万円~10万円の高級ホテルに宿泊する富裕層にとっては問題ない金額だと思う。

さらに、2031年、なにわ筋線が開業すると南海ラピートがJR大阪駅に乗り入れし、最速38分で関空まで行けるようになる。

これに対して、JR大阪駅から神戸空港へは、JR大阪駅=JR三ノ宮駅(23分)+(乗換5分)+ポートライナー18分=46分かかる。

ポートライナーを8両化しないならば、ラッシュ時は、50分以上かかることになり、神戸空港は大阪や京都からは不便な空港になってしまう可能性もある。

 

神戸空港サブターミナルはLCC用か?

出典 神戸市(イメージ)

神戸空港サブターミナルは2025年完成し、国際チャーター便が就航する予定。

しかし、ターミナルの仕様はLCC用のように思える。

  • ポートライナー神戸空港駅からバス移動
  • 搭乗橋(ボーディグブリッジ)なし
  • 原則2階建

 

出典 神戸市PDF

神戸空港サブターミナルの施設整備概要

名称 神戸空港サブターミナル
所在地 神戸市中央区神戸空港1
延床面積(資料では建築面積) 約17,000㎡

  • ロビー(約4,000㎡)
  • 国内線エリア(約2,500㎡)
  • 国際線エリア(約3,000㎡)
  • CIQ等(約7,500㎡)
階数 原則2階建(一部、平屋もしくは3階建も可)
事業費 約90億円
搭乗ゲート数 国内線4ゲート以上、国際線2ゲート以上
搭乗方法 バスハンドリング(ボーディングブリッジなし)
着工 2023年度
供用開始 2025年3月末
アクセス ポートライナー神戸空港駅から無料巡回バス

市街地からサブターミナルへリムジンバスや路線バスの運行を検討

 

まとめ

神戸空港は国際化しても、大阪や京都への直通有料特急はなく、サブターミナルもLCC用と予想されるので、富裕層は引き続き関空を利用すると予想される。

 

神戸市民と外国人の国際線利用の経済効果の違い

空港の収入には着陸料などの航空系収入と免税店などの非航空系収入がある。

2019年度の関西エアポートの決算によると全体の売上高は2,204億円で航空系収入は902億円(40%)、非航空系収入は1,301億円(59%)と非航空系収入の方が多い。

また、免税店の国籍別の売上では中国人が72%、日本人が12%と外国人の方が免税店売上が多い。

つまり、神戸市民よりも外国人(インバウンド客)の方が免税店売上額が多く、神戸市民が関空を利用しなくなった方が、免税店の全体の売上高は増加する。

 

関西エアポートとしてのメリット

関空の2030年の国際線利用者予想は4,000万人~5,000万人なので、免税店売上の低い神戸市民よりも外国人の利用を多くした方が関西エアポートとして売上高が多くなる。

さらに、神戸空港国際化費用(253億円~283億円)は神戸市が負担するので、関西エアポートとしては、費用を負担する必要がない。

神戸空港国際化費用(神戸市試算)

項目 費用
駐機スペースの舗装、航空灯火など 143億円
駐車場や構内道路などの付帯工事費 50億円
新たなターミナル整備費 60億円~90億円
既存ターミナル整備費 未定・関西エアポート神戸(株)と調整中
合計 253億円~283億円

 

神戸空港国際化による出国手数料収入

2030年に神戸空港は国際化され、年間190万人が利用する。

出国者は95万人で、出国手数料「旅客サービス施設使用料(PSFC)+旅客保安サービス料(PSSC)」が関西エアポートの収入になる。

関空ではT1で3,100円、T2で1,570円となっているので、神戸空港の場合、関空T2と同じ1,500円で試算すると年間約14億円の収入になる。

 

神戸空港国内線も旅客サービス施設使用料(PSFC)導入か?

関空国内線の施設使用料(PSFC)はT1が到着・出発とも440円、T2が到着370円、出発420円かかる。

伊丹空港は到着・出発とも340円かかる。

しかし、神戸空港は、旅客サービス施設使用料(PSFC)を徴収していない。

出典 神戸空港

神戸空港に国際線が就航するようになれば、旅客サービス施設使用料(PSFC)導入すると予想され、国内線についても同時に導入する可能性があると思う。

2030年の予想で国内線利用者数510万人なので1名当たり300円として約15億円の収入になる。

2030年以降、関西エアポート神戸は旅客サービス施設使用料(PSFC)を国際線14億円、国内線15億円の合計29億円の収入増加になるかもしれない。

 

まとめ

2030年の神戸空港国際化は、関空や大阪にとって不利と思われた。

しかし、経済効果の高い「インバウンド客」で穴埋めできれば、関空にとっても免税店売上高の増加、大阪にとってもインバウンド消費(1,045億円)の増加という大きな経済的メリットがある。

関空や大阪府市は2030年までに、インバウンド客(特に富裕層)を取り込むよう努力する必要があると思う。

 

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