神戸空港(筆者撮影)
2025年4月、神戸空港に国際チャーター便が就航する。
しかし、神戸市の人口は増加しないと思う。
神戸市の人口は2011年の154万人をピークに減少に転じ、2023年10月に150万人割れし、2025年2月現在、149万人を下回っている。
神戸空港利用者数と人口
2024年1月~12月の神戸空港利用者数は、3,576,111人と過去最高を記録した。
しかし、神戸市の人口は2025年2月には149万人を割り込んだ。
神戸空港の利用者数が増加しても神戸市の人口は毎年8,000人ずつ減少し続けている。
年 | 神戸空港利用者数(年度) | 神戸市の人口(各年10月1日現在) |
---|---|---|
2006年 | 2,738,143人 | 1,529,817人 |
2011年 | 2,565,405人 | 1,544,970人 |
2019年 | 3,226,217人 | 1,529,756人 |
2020年 | 1,189,481人 | 1,525,152人 |
2021年 | 1,719,375人 | 1,517,073人 |
2022年 | 3,049,321人 | 1,510,171人 |
2023年 | 3,375,785人 | 1,499,887人 |
2024年 | 3,576,111人(2024年1月~12月) | 1,492,282人 |
参考:2025年2月1日現在、神戸市の人口は「1,489,183人」
8割は神戸市を素通り?
神戸空港の利用者数のうち、神戸市民の利用者は少ない。
当ブログの推定では、神戸市民149万人が5年に1回し飛行機に乗ると、年間30万人×2回(往路と復路)=60万人となる。
これに、神戸市に観光・ビジネスで来る利用者数年間25万人(推定20万人~30万人の平均値)を加えると85万人になる。
つまり、神戸空港の利用者数357万人のうち、神戸に関係ある利用者は85万人で利用者全体の約24%にすぎない。
つまり、残りの76%は神戸市を素通りしているのだ。
したがって、神戸空港の利用者数がいくら増加しても、神戸市の経済効果は少なく、神戸市の人口も増加しない。
2024年の年間の日本人出国者数(推計値)は約1300万人で、約10%に過ぎない。
神戸市の人口149万人に当てはめると毎年15万人が出国することになり、往復で30万人が国際線を利用するに過ぎない。
もちろん、神戸空港の国際化で海外に行きやすくなることを考慮して出国者数が2倍になったとしても60万人でしかない。
60万人とは関空の国際線利用者数約2400万人の2.5%に過ぎない。これでは、神戸空港が国際化しても、経済効果は見込めない。
関空の国際線利用者数約2400万人だから、神戸空港が着陸料などを安くすれば、関西全体の国際線需要のうち、100万人~200万人を取り込むことはできる。
しかし、神戸空港の国際線利用者の8割は神戸市を素通りするので、神戸市の経済効果はない。
2024年1月~12月の空港利用者数ランキング
順位 | 空港名 | 合計(万人) | 国内線(万人) | 国際線(万人) |
1位 | 羽田空港 | 8,496万人 | 6,287万人 | 2,209万人 |
2位 | 成田空港 | 3,856万人 | 760万人 | 3,095万人 |
3位 | 関西空港 | 3,057万人 | 673万人 | 2,384万人 |
4位 | 福岡空港 | 2,675万人 | 1,843万人 | 832万人 |
5位 | 新千歳空港 | 2,396万人 | 2,043万人 | 353万人 |
6位 | 那覇空港 | 2,111万人 | 1,820万人 | 291万人 |
7位 | 大阪空港(伊丹) | 1,515万人 | 1,515万人 | 0万人 |
8位 | 中部空港 | 1,061万人 | 602万人 | 459万人 |
9位 | 鹿児島空港 | 563万人 | 548万人 | 15万人 |
10位 | 仙台空港 | 372万人 | 325万人 | 47万人 |
11位 | 神戸空港 | 357万人 | 357万人 | 0万人 |
12位 | 熊本空港 | 354万人 | 314万人 | 39万人 |
13位 | 宮崎空港 | 315万人 | 310万人 | 5万人 |
14位 | 松山空港 | 300万人 | 272万人 | 27万人 |
15位 | 長崎空港 | 298万人 | 295万人 | 2万人 |
16位 | 広島空港 | 284万人 | 250万人 | 34万人 |
17位 | 石垣空港 | 264万人 | 264万人 | 0万人 |
18位 | 高松空港 | 204万人 | 162万人 | 41万人 |
19位 | 宮古空港 | 185万人 | 185万人 | 0万人 |
20位 | 大分空港 | 185万人 | 175万人 | 10万人 |
中部空港の利用者数は1,061万人(国内602万人・国際459万人)だが、空港の経済効果はそれほどでもない。
実際、「1人負け”との指摘も…インバウンドの回復伸び悩む中部国際空港」との記事もある。
空港利用者数で2,000万人以上の、羽田、成田、関空、福岡、新千歳、那覇の各空港は経済効果があると思う。
神戸市の試算では2030年の空港全体の利用者数は700万人で、国内線は510万人、国際線は190万人となっている。
国内線 | 国際線 | |
2019年 | 329万人 | 0人 |
2030年 | 510万人 | 190万人 |
神戸市 | 180万人 | |
神戸以外の兵庫県 | 130万人 | |
大阪北部 | 110万人 | |
京都・滋賀 | 40万人 | |
その他 | 50万人 | |
東アジア | 150万人 | |
東南アジア | 40万人 |
出典 神戸市
コメント
神戸市の試算通り、2030年に神戸空港の利用者数は700万人(国内線:510万人、国際線:190万人)となっても、中部空港の1,061万人(国内線:602万人、国際線459万人)に及ばない。
中部空港は国際線459万人で「インバウンド一人負け」と報道されていることを考えると、神戸空港の国際線予想190万人ではインバウンドの経済効果は期待できない。
しかも、神戸空港の利用者の8割が神戸市を素通りしていることを考慮すると、神戸空港の本当の国際線の経済効果は190万人×20%=38万人でしかない。