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神戸空港国際線利用者「7割が神戸市内宿泊」は本当か?調査指標を読み解く(2025年5月~7月調査)

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(2025年4月から)国際チャーター便が就航した神戸空港を利用した出国者の7割以上(73%)が神戸市内で宿泊したことが、神戸観光局の調査で分かった。(2025年12月4日朝日新聞)

 

当ブログの分析

神戸観光局は2025年5月1日〜7月25日に、神戸空港から出国する観光客を対象にウェブアンケートを実施し、499件の有効回答を得た。

「神戸のみ」または「神戸+1都市」に宿泊し、神戸を含む2~3都市を周遊する旅行者が多かったと記載されていることから、神戸市内の“宿泊率73%”は「神戸市内で1泊以上した外国人観光客の割合」と推定される。

つまり、神戸・大阪・京都にそれぞれ1泊ずつするような周遊型の旅行者も、「神戸に1泊以上した」という理由で宿泊率73%に含まれると考えられる。

例えば、100人の観光客が3泊(延べ300泊)するケースを考える。仮に神戸での延べ宿泊日数が100泊だったとしても、「神戸で1泊以上宿泊した人の割合」を指標とするなら、宿泊率は100%になってしまう。

このように、延宿泊日数と「宿泊率」は全く別の指標であり、混同しない注意が必要だ。

 

実際の神戸の宿泊数を推定
全員が平均3泊(神戸に1泊した人が73%)と仮定する。
  • 全体の延べ宿泊日数(499人×3泊=1,497泊)
  • 神戸の延べ宿泊日数(499泊×0.73=364泊)
  • 神戸の延べ宿泊日数の割合(364泊/1,497泊=24%)

つまり、実際の神戸での宿泊“日数シェア”は24%しかなくても、
「1泊でも神戸に泊まった人の割合」は73%になる。
人数ベースの“宿泊率”と、延べ宿泊日数ベースの“宿泊シェア”は全く異なる指標であることが分かる。

 

外国人延べ宿泊者数は、前年比 145%
外国人宿泊者数は実質的には前年比「約45%増」のはずだが、発表ではあえて「前年比145%」という表現を使い、数字をより大きく見せている印象を受ける。
また、ここで示されている「外国人延べ宿泊者数」は、神戸空港の国際線利用者だけを対象としているとは明記されておらず、実際には関西国際空港を経由して入国・出国した観光客も含まれていると考えるのが自然だ。
当ブログの推定

前提

  • 2024 年の神戸市「外国人延べ宿泊者数」= 94.5 万人(年間)
  • 2025 年 4 月以降は前年比 145%(=1.45倍)で推移
  • 月別データがないため、2024 年の延べ宿泊者数が「各月ほぼ均等」と仮定して計算

2024年の外国人宿泊数は、1か月平均で約7.9万人。単純計算で3か月では約24万人となります。
これを2025年5月〜7月の外国人宿泊数として、前年比+45%で試算すると、約34万人になる計算です。

一方、神戸空港の国際線は1か月の利用者が約5万人で、そのうち外国人は約4万人。3か月なら外国人利用者は延べ12万人になります。ただし、この数字は「入国+出国」で2回カウントされるため、実際の外国人旅行者数は半分の約6万人に過ぎません。

つまり、3か月間で神戸空港国際線を利用した外国人は6万人しかいないのに、神戸市内の外国人延べ宿泊数は34万人ということになります。これを整合させるには、神戸空港を利用した外国人旅行者全員が神戸市内に「平均6泊」したことになり、現実的とは言えません。

仮に外国人観光客が神戸市内に1泊しかしていないとすれば、3か月で宿泊者は6万人となり、残りの約28万人は神戸空港以外――主に関空経由の訪日客が占めているという計算になります。

 

万博の影響か?
2025年4月~10月の万博期間中は大阪市内のホテルがほぼ満室となり、客室面積わずか11㎡のビジネスホテルでも1泊2万~3万円という異常な高騰が続いていました。
その影響で、外国人観光客が大阪市内の宿泊を避け、比較的料金の落ち着いていた神戸に流れた可能性も十分考えられます。
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