
政府は「地域未来戦略」を2026年6月に策定する予定です。以下の3つの計画・プランが盛り込まれる見通しです。
- 戦略産業クラスター計画
- 地域産業クラスター計画
- 地場産業成長プラン
このうち、「戦略産業クラスター計画」が中核ととされます。地域ごとに成長分野の企業を集積するため、全国を10ブロックに分け、関連する企業や研究機関、自治体などを集めて投資を促し、地域経済の活性化を目指します。
| 地域 | 主な産業集積分野 |
|---|---|
| 北海道 | AI・半導体、宇宙、GX・洋上風力、食・観光 |
| 東北 | 半導体、モビリティ、GX・洋上風力 |
| 関東 | 航空、GX、半導体、食 |
| 中部 | 航空・宇宙・防衛、半導体、水素・アンモニア |
| 近畿 | 空モビリティ、宇宙、バイオ・ライフサイエンス、GX |
| 北陸 | AI・半導体、部素材・サーキュラーエコノミー |
| 中国 | 半導体、GX、コンテンツ、造船、ものづくり |
| 四国 | 造船、GX、食・観光・防災 |
| 九州 | AI・半導体、エネルギー・GX・資源循環、造船・防衛・航空宇宙、防災・減災・国土強靭化・港湾ロジスティクス、食・観光・ヘルスケア |
| 沖縄 | 医療・バイオ、情報通信・DX、エネルギー |
(注)GX(グリーントランスフォーメーション)は、化石燃料から太陽光・風力などのクリーンエネルギーへ転換し、脱炭素と経済成長を同時に実現する社会変革です。
「戦略産業クラスター」は、熊本のTSMCや北海道のラピダスを支えるクラスターのように、17の戦略分野に関する検討が主導する形で、企業の大規模投資を中心に形成されるものです。
近畿の重点産業として、空飛ぶクルマに代表される「空モビリティ」が挙げられています。しかし、2040年頃の市場規模は約4,000億円とされており、産業規模としては限定的です。
一方で、「半導体」の日本の市場規模は2025年時点で約6兆円、2034年には10兆円規模に達すると予想されています。それにもかかわらず、近畿は重点分野から外されています。
また、岩谷産業(大阪市)が水素関連の研修施設を神戸市に建設するなど、近畿では「水素産業」の集積が進みつつあります。しかし、この分野も重点産業として位置づけられていません。
さらに、神戸市は、日本で唯一、潜水艦を建造している地域であり、防衛産業の重要拠点でもあります。それにもかかわらず、「防衛産業」も重点分野から外されています。
加えて、近畿はインバウンド観光の中心地であり、京都・大阪・神戸・奈良を抱える国内最大級の観光集積地です。和食や発酵食品、日本酒など「食」のブランド力も高いにもかかわらず、「食」や「観光」も重点産業から外されています。
近畿には、
- 半導体
- 水素
- 防衛
- 食
- 観光
といった、既に産業基盤や実績を持つ巨大市場分野が存在しています。
そのため、将来性はあるものの市場規模が比較的小さい「空モビリティ」に重点を集中させるよりも、既存の強みを持つ産業を含めた、より現実的で多層的な産業戦略が必要だと思われます。
すくなくとも、「空モビリティ」に関連してもっと市場規模の大きい「自動運転」も近畿の計画に入れるべきだと思います。
