2020年10月(南西から撮影)
JR西日本は、2019年3月16日、姫路駅~大阪駅間に有料通勤特急「らくラクはりま」の運行を開始した。
JR西日本の経営方針・再開発に対する考え方を推測してみた。
「姫路~大阪」の通勤特急の特急料金を平均800円とすると、351座席なので、1日1往復で運賃収入は約56万円となる。
平日のみの運行なので年間約250日で約1億4000万円となる。
確かに大きい金額だが、JR西日本の連結売上高は1兆5000億円で、その0.01%でしかない。
なぜJR西日本は有料通勤電車を導入したのか?
近年、鉄道会社の沿線人口が減少しており、鉄道会社は運賃収入以外の売上を増加させようとしている。
例えば、大阪~三ノ宮の運賃は410円だが、三ノ宮駅ビルに高級ホテルを建設すれば、1泊3万円くらいになる。
また、JR西日本は沿線の住宅開発を進めており、JR大久保駅(明石市)南側のJT(日本たばこ)工場跡地をJR西日本など4社共同で購入し、771戸のマンションと17戸の一戸建て合計788戸の住宅開発をする。
1戸当たり4,000万円とすると、788戸で約315億円になる。
神戸市は税金を投入して外資系企業や客船を誘致して、表面上の数字だけ繕っているが、実際は、客船の乗客の9割は大阪と京都に買い物や観光に行って神戸は素通りしている。
もし、三ノ宮駅周辺にオフィス需要があれば、神戸市が税金投入したり、マンション規制をしなくても、自然とオフィスビルが建設されるはずだ。
それがないということは、三宮にはオフィス需要がないということだ。
神戸市のマンション規制により、住宅開発も神戸を素通りして、明石周辺が中心になって行くのかもしれない。
そうなれば、明石駅始発で三ノ宮駅通過という電車も運行されるようになるかもしれない。
神戸は、オフィスもダメ、住宅地としてもダメで、衰退が加速するかもしれない。
旧三宮ターミナルビル
「三宮ターミナルビル」は、2018年3月末に閉鎖された。
JR西日本の中期経営計画では「三ノ宮駅ビル再開発」は2023年以降とされているだけで、新ビルの開発計画の具体案は公表されていない。
個人的な解釈では、中期経営計画の期間が2018年~2023年の5年間であるため、「三ノ宮駅ビル再開発」は次期中期経営計画が始まる2023年以降としたに過ぎないと思う。
通常、更地だと固定資産税が高くなるが「三ノ宮駅舎」自体はあるので、「更地」とは判断されず固定資産税も高くならないかもしれない。
JR西日本にとって、三宮の再開発の優先順位は明石市よりも低いかもしれない。
一方、神戸市は2019年7月に条例を改正し、三ノ宮駅周辺でのマンション建設を禁止した。
鉄道会社としては、鉄道収入が伸び悩む中、ホテル、商業施設、住宅開発で生き残りを図ろうとしているため、三ノ宮の再開発よりも明石市などの再開発を優先するのではないか?
結局、神戸市は、鉄道会社のビジネスの邪魔をしているだけではないか?