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阪急「伊丹空港線」検討 曽根駅分岐予想ルート、梅田~大阪空港直通電車

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モノレール「大阪空港駅」

阪急電鉄は阪急宝塚線「曽根駅」から分岐し、約3.5kmの地下路線を新設し伊丹空港まで延伸する計画を発表した。

建設費用は1,000億円とされ、近畿運輸局は40年以内の黒字化は困難としている。

赤字予想の路線建設は、国などからの補助金事業の対象外となり、そうなると阪急電鉄が全額負担しなければならないので事業化はかなり難しい。

具体的ルートなどは未発表なので、当ブログでルート、運賃、利用者数など予想してみた。

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路線予想1案

 

具体的なルートを考えると、

・阪急曽根駅と阪急岡町駅の中間地点で地下線路に入る

阪急電車「曽根駅」と「岡町駅」の間は、複々線計画があり、スペース的に余裕がある。

  • 地下路線のまま阪急岡町駅を越えて、豊中市立克明小学校近辺で地下のまま左折する

豊中市立克明小学校周辺(北方向を撮影)

正面の高架が途切れている部分は豊中駅の留置線で、その右側に上下2線路の阪急宝塚本線(高架線)が別にある。写真左側は豊中市立克明小学校。

  • 交差点を左折し、府道99号線に沿って走井交差点まで道なりに進む

府道99号線

  • 走井交差点で北上、阪神高速11号池田線の下を通って伊丹空港へ至る

 

捕捉説明

阪急曽根駅はホーム2面、線路4線あるので、分岐はできるが、高架になっており、地下線路までの高低差は20m以上になる。

一般的に鉄道の勾配は20パーミル(1,000mで20m下る)なので、地下線に入るまでに1,000mの線路長が必要になる。

市街地で1,000mの線路を建設する土地を買収するのは困難と思われる。

しかし、阪急曽根駅~阪急豊中駅は、かつて複々線計画があり、複々線用の敷地が確保されているので、新に土地を買収する必要はないと思われる。

 

予想停車駅と所要時間

  • 阪急梅田駅ー十三駅ー曽根駅ー途中新駅(1駅または2駅)-伊丹空港駅
  • 所要時間は梅田駅~伊丹空港駅で約15分。

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路線予想2案

阪急服部天神駅~曽根駅の間で地上線路から高架線路になるので、高架の手前で地下に分岐した方が簡単だ。

しかも、服部天神駅から曽根駅の沿線には豊島公園があり、線路を建設する余地がある。

さらに、幅員の広い道路を経由して阪神高速の下まで行ける。

阪神高速の下なら用地買収の必要もなく地下線路を比較的に簡単に建設できる。

しかし、線路長が1案と比較して約1km長くなることから建設費が300億円増加する。

また、曽根駅手前で分岐することで曽根駅の利用者は利用できない。主として空港利用者のみの利用では採算性が悪い。

 

路線予想3案

阪急曽根駅~阪急豊中駅に地下線路を平行して建設し、豊中地下駅から大阪空港地下駅に至る路線の可能性もある。

阪急豊中駅は利用者も多いので採算的には一番いい。

しかし、阪急豊中駅から伊丹空港へのルートは地下路線を建設できるような直線的で幅員の広い道路がなく建設は難しい。

大深度地下を利用する方法もあるが、地下40mに建設する必要があり、手続きに時間がかかり、建設費が高くなる可能性がある。あえてこのルートを採用する可能性は少ない。

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伊丹空港

予想利用者数

伊丹空港の勤務者数を5,000人とすると、1日往復2回利用なので1日1万人(年間365万人)となる。また伊丹空港の年間利用者数は年間1,500万人となっている。

空港利用者と勤務者の延べ利用人数は年間1,865万人となる。

1日当たり延利用者数 年間利用者数
空港利用者 4万1000人 1,500万人
空港勤務者 1万人 365万人
合計 5万1000人 1,865万人

ちなみに、大阪モノレールの大阪空港駅の乗車人数は1日7,400人(平成28年度)で、下車人数も含めると1日14,800人(年間540万人)となっている。

空港利用者と勤務者の全員が阪急伊丹空港線を利用することはないので、実際には年間1,000万人程度になると思われる。

 

現在の運賃と予想運賃

阪急梅田駅~阪急蛍池駅(現在) 運賃220円(現在)
モノレール蛍池駅~大阪空港駅(現在) 運賃200円(現在)
阪急梅田駅~阪急大阪空港駅(予想) 運賃450円(予想)
阪急曽根駅~阪急大阪空港駅(予想) 運賃250円(予想)

年間利用者を1,000万人とし、曽根駅~大阪空港駅間の運賃を1人250円とすると、年間25億円の増収となる。

建設費1,000億円として、元本の回収は40年で十分建設は可能。利息を1%とすると当初は10億円の利息がかかるが、行政が半分程度負担するなら建設は可能と思われる。

 

北大阪急行の2.5km延伸事業の建設費600億円の負担割合

北大阪急行 110億円
245億円=(建設費600億円-110億円)/2
大阪府 100億円=(建設費600億円の1/6)
箕面市 145億円

箕面市が145億円の負担をしている。

 

阪急伊丹空港線の負担割合(予想)

建設費1,000億円で、豊中市や伊丹市が負担するかどうかは不透明だが、北大阪急行延伸事業を参考に予想してみた。

阪急電鉄 300億円
350億円
大阪府 150億円
豊中市と伊丹市の合計 200億円

建設費の負担についてはかなり、難航すると思われる。

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まとめ1

現在のモノレール伊丹空港駅の利用者は1日14,800人で、阪急伊丹空港線が完成しても1日の利用者は3万人程度(年間1,000万人)と予想される。

1日3万人(年間1,000万人)というのは、郊外の住宅地駅の利用者数と同じ規模だ。

したがって、利用者数から考えて住宅地駅並みなので、1,000億円の建設費で新路線を建設するのはやや疑問が残る。

 

なぜ、伊丹空港線計画が浮上したのか?

建設費1,000億円はともかく、線路を3km延伸するだけで伊丹空港に接続できるのになぜ、今まで建設されなかったのか?

それは、2000年頃までは鉄道利用者が増加していて、これ以上利用者が増加すると混雑が悪化し、鉄道輸送能力が足りないと予想されていたためだ。

しかし、現在は団塊世代の大量退職により、鉄道利用者が減少してきた。

そこで、新幹線や空港と接続し、利用者を増加させようとしていると思われる。

阪急電鉄は新大阪駅から十三地下駅経由で「うめきた新駅」までの路線を計画しているのもその方針に沿ったものと考えられる。

 

伊丹空港廃港?

阪急伊丹空港線利用者は1日3万人程度(予想)なので、1,000億円をかけて新線建設するのはやはり不自然だ。

また、阪急電鉄は新大阪駅に新大阪阪急ビルを建設しており、阪急新大阪連絡線で連絡すれば、鉄道と不動産で利益を上げることができる。

しかし、伊丹空港には阪急系列の不動産はなく、多額の資金で新路線を建設しても不動産で利益を上げることができない。

可能性は低いが、伊丹空港が将来的に廃港され、神戸ポートアイランドに匹敵する大規模再開発になることを想定して今から直通路線を計画したのかもしれない。

伊丹空港が廃港されなくても、空港利用者がいるので採算的に大きな赤字とはならない。

もし伊丹空港が廃港されれば、利用者の増加が見込めるので阪急電鉄にとってはどちらに転んでも大丈夫な計画なのかもしれない。

 

阪急伊丹駅まで延伸?

阪急空港線利用者数は1日3万人程度(予想)と少ない。そこで、JR伊丹駅経由で阪急伊丹駅まで延伸することも考えられる。

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まとめ2

民有地を買収しなくても地下路線を建設できるルートであり、技術的にも実現可能性は高い。

しかし、採算的には、年間利用者1,000万人を見込めるものの、建設費が1,000億円と高額のため運賃次第では赤字の可能性もある。

開業40年で黒字化しない新線には、国などの補助金が出ないことになっており、事業化はかなり難しい。

大阪府は、箕面市が伊丹空港廃港に賛成することを条件に北大阪急行の延伸を認めた。

それから数年たって、民間会社が空港運営するなど、環境は変化しているのでなんとも言えないが、伊丹空港廃港・副首都建設と引き換えに大阪府が資金負担する可能性はありえる。

かつて大阪維新の会は「伊丹空港廃港」を主張していた。大阪府としても、うめきた2期、万博、IR、に次ぐ再開発事業として2030年以降に伊丹空港廃港・副首都建設を考えている可能性もある。

 

空港運営権

伊丹空港と関西空港を運営する関西エアポートは2018年4月に神戸空港の運営権を取得する見通しだ。

関西エアポート的には、伊丹空港を廃港して、関西空港と神戸空港で利用者を確保できるならデメリットは少ない。

伊丹空港が廃港になれば、伊丹空港の空域を神戸空港が使うことができ、神戸空港の発着枠が増加する可能性もある。

伊丹市民にとっても、阪急伊丹空港線がJR伊丹駅、阪急伊丹駅まで延伸されれば、利便性はよくなる。

また豊中市にとっても伊丹空港廃港で、空港周辺の高さ制限がなくなり、駅前タワーマンションを中心とする再開発が可能になり、沿線人口が増加する可能性がある。

そもそも、中央リニア新幹線開通後は、伊丹空港利用者は激減すると予想されるので、2030年代には伊丹空港を廃港するかどうがか議論になってくる。

阪急伊丹空港線は計画が実現しても完成するのは2030年以降と予想される。

伊丹空港廃港を予想して、跡地の不動産開発を念頭に阪急伊丹空港線を建設するのであれば納得いく計画と言える。

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