国土交通省は、官民連携で整備した新宿南口バスターミナル(バスタ新宿)をモデルに、駅周辺に点在する高速バスやタクシーの乗降場などを集約し、交通結節拠点化する「バスタプロジェクト」の全国展開を目指している。
ちなみに、「バスタ新宿」の名称は、国土交通省の商標として登録されており、今後は他地域のターミナルにも「バスタ」の名称が使用される可能性がある。
高速バス需要の増加
1989年に年間4400万人だった高速バス輸送人員は、27年後の2016年には1億1600万人に増えた。
バスタ新宿
新宿駅周辺19カ所に点在していた高速バス乗降場を集約した日本最大のバスターミナルで、2016年4月にオープンした。
高速バス運行会社118社が乗り入れ、発着便数は1日平均1494便、利用者は1日平均約2万9000人に上る。タクシーの乗降場を備えるほか、鉄道駅とも直結する交通結節拠点となっている。
(仮称)バスタ三ノ宮
国交省と神戸市は2018年8月、国道2号等神戸三宮駅前空間の整備方針を公表した。
三ノ宮駅と神戸三宮駅の周辺の再整備に合わせ、駅周辺の6カ所に点在する高速バスの乗降場(1日約1,400便)を集約して高速バスターミナルを設置する。
「バスタプロジェクト」全国展開
2019年の国土交通省の審議会の資料では、神戸三ノ宮駅のほか、札幌駅、仙台駅、新潟駅、呉駅、大宮駅、長崎駅でも地域による公共交通ターミナル整備の検討が行われている。
国交省は、事業スキームを見直すとともに、直轄の道路事務所が地域と一緒に検討を進め、全国でバスタプロジェクトを実現させる方向で動いている。
2024年現在、バスタプロジェクトの候補地はさらに拡大している。
コメント
高速バスの需要は増加しているが、安い運賃を求める利用者が多く「バスタ」の経済効果は不透明。
出典 神戸市
施設名 | 神戸三宮ツインタワー1期ビル |
事業名称 | 神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業 |
所在地 | 神戸市中央区雲井通5丁目 |
区域面積(開発面積) | 約13,000㎡ |
敷地面積 | 約8,230㎡ |
建築面積 | 約8,040㎡ |
延床面積 | 約99,000㎡ |
構造 | 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造 |
容積率 | 1,050%(現在600%・700%) |
建ぺい率 | 100%(現在 80%) |
階数 | 地上32階・地下3階・塔屋2階 |
高さ | 163m |
竣工 | 2027年12月頃 |
低層部 | 西日本最大級のバスターミナル・待合・店舗(B2・1F~3F) |
神戸三ノ宮駅の「雲井通5丁目再開発ビル」にも大規模バスターミナルが設置される。
しかし、同じビルの高層階には1泊3万円から20万円の高級ホテル「EVOL HOTEL(仮称)」が入居する予定で、バス利用者と顧客層が違う。
神戸市は「兵庫県内、中国・四国方面といった西日本の主要都市を結ぶ西日本最大級の中・長距離バスターミナルが、関西におけるバスネットワークのハブ機能を担い、神戸・三宮がバス移動の新たな拠点となることで、人の移動のみならず情報や文化交流等を受発信する新たな玄関口を創出する。」としてる。
しかし、神戸=大阪間のバスの所要時間は恒常的な渋滞により1時間かかる場合もあり、JR三ノ宮駅で鉄道に乗り換える利用者も多い。
バス利用者が神戸を素通りして大阪や京都に行くならば、神戸市内の経済効果は少ない。