出典(阪急阪神不動産)
阪急阪神HDは、「大阪新阪急ホテルの建替」「阪急ターミナルビルの建替」「阪急大阪梅田駅・阪急三番街の全面改修」を一体的に再開発する「芝田1丁目計画」を計画している。
2024年12月28日の産経新聞の記事を要約すると
- 阪急ターミナルビル(高さ76m)を超高層ビルに建替する(JPタワー大阪 高さ188m・大阪マルビル 高さ192mと同様の開発)
- 2030年頃着工し、2030年代半ばの完成を目標としている
- 利用客の動線を確保するため、3つの施設は同時にではなく順番に開発されるだろう
すでに、大阪新阪急ホテルは2025年1月4日の宿泊を持って閉館し、2025年大阪・関西万博の期間中は外国人スタッフの宿泊施設として利用されている。
「大阪新阪急ホテル」(左)・「阪急ターミナルビル」(右)
施設名 | 大阪新阪急ホテル | 阪急ターミナルビル | 阪急大阪梅田駅
阪急三番街 |
用途 | ホテル(961室) | オフィス(低層階は商業施設) | 駅施設
商業施設 |
竣工 | 1964年 | 1972年 | 1969年 |
敷地面積 | 5,729㎡ | 約28,000㎡(当ブログ試算) | |
延床面積 | 34,374㎡(推定) | 34,390㎡ | 81,874㎡(駅施設も含む) |
基準階面積 | 約2,180㎡ | ||
階数 | 地上11階・地下3階 | 地上17階・地下4階 | 地下4階・地上4階 |
高さ | 40m~50m | 76.53m |
大阪新阪急ホテルは1964年開業で築61年、阪急ターミナルビルは1972年開業で築53年、阪急三番街は1969年開業で築56年と老朽化している。
阪急阪神HDとしては、少子化による沿線人口・通勤人口の減少が予想され、鉄道収益の増加が期待できないため、不動産収益に注力している。そのため、大阪駅・梅田周辺に付加価値を創造する経営戦略をとっている。
また、グラングリーン大阪が2024年9月に先行開業するなど、大阪駅の西側の開発により人の流れも変化しており、阪急大阪梅田駅周辺の茶屋町からグラングリーン大阪に店舗が移転している。
したがって「芝田1丁目計画」は、JR大阪駅とJPタワー大阪を合わせたような大規模再開発になると思う。
「芝田1丁目計画」の敷地面積は約34,000㎡(当ブログ試算)で容積率を1,300%とすると延床面積は44万㎡となる。ただし、阪急大阪梅田駅と阪急三番街(延床面積合計約8万㎡)は建替ではなく、全面改修なので、新規に建設する延床面積は約36万㎡と予想される。
JPタワー大阪の規模は、地上39階建・高さ188m・延床面積約23万㎡で、事業費は967億7800万円だった。(土地を含まない)
「芝田1丁目計画」の規模は新築部分だけで、JPタワー大阪の約1.5倍と予想される。
したがって、事業費も1.5倍の1,500億円と予想されるが、近年の建設費の高騰により2,000億円以上と予想される。
これに、阪急大阪梅田駅と阪急三番街(延床面積合計8万㎡)の全面改修(事業費500億円か?)が加わり総事業費は2,500億円以上と予想される。
出典 「⻑期ビジョン-2040年に向けて」阪急阪神HD
当ブログ作成(AI編集)
2024年12月28日の産経新聞の記事を要約すると
- 現在の阪急大阪梅田駅の天井は低くて暗い。明るく開放的な空間を作りたい。
- 阪急大阪梅田駅は、阪急ターミナルビルと事実上一体であるため一部構造の変更を検討する。
- 改札設備も「現在、乗車券はICやクレジットカードなどのほか、指輪型、顔認証なども登場しつつある」とし、最新の非接触決済技術を活用し、コンパクトで乗客が駅内外を行き来しやすい改札にする。
- 阪急電鉄の上村正美専務取締役が率いるチームは阪急電鉄、阪急阪神不動産などグループ各社から約60人で構成。海外主要駅での歴史的構造物と現代的なシステムの融合などの事例について調査を進めるなど、着工に向けた準備を進めている。
阪急大阪梅田駅の屋上の「駐車場」
出典(阪急阪神不動産)
阪急大阪梅田駅の屋上は「阪急大阪梅田駅駐車場」(551台)となっている。
阪急大阪梅田駅の天井を高くし明るくする方向なので、「阪急大阪梅田駅駐車場」は撤去されると思う。
また、再開発チームは海外主要駅での歴史的構造物を調査する計画なので、ヨーロッパの主要駅である「ライプツィヒ中央駅(ドイツ)」「パリ北駅(フランス)」「プラハ中央駅(チェコ)」などを参考にすると思う。
プラハ中央駅(チェコ)写真AC
ライプツィヒ中央駅(ドイツ)写真AC
パリ北駅(フランス)写真AC
阪急電鉄の駅はアーチ構造を多用してきたので、「芝田1丁目計画」でもアーチ構造を採用すると予想される。
駅を明るくするため、天井や壁面の一部にガラスを採用すると予想される。
当ブログが作成した再開発予想図では表現できていないが、駅の全幅が100m以上と巨大になるため、3連アーチ(京都線・宝塚線・神戸線)になるかもしれない。
「大阪新阪急ホテル」(左)・「阪急ターミナルビル」(右)
大阪新阪急ホテルは2025年1月4日の宿泊を持って閉館し、2025年大阪・関西万博の期間中は外国人スタッフの宿泊施設として利用されている。
万博閉幕後の2025年11月以降に解体され、「大阪新阪急ホテルの建替」が先行する可能性があると思う。
駐車場先行移転か?
JRタワー大阪の新築着工の前に、敷地内にあった「大阪ステーションシティ西梅田駐車場」を移転するため「大阪ステーションシティ駐車場」を増築した。
当ブログの予想では、阪急大阪梅田駅の屋上の「阪急大阪梅田駅駐車場」(551台)を移転するため、大阪新阪急ホテルを「駐車場付きの再開発ビル」に先行して建替すると思う。
大阪新阪急ホテルの敷地は変形敷地であり、隣接地の買収も難しいため、地上15階・高さ60m程度の規模になると思う。
イメージとしては、ヨドバシ梅田の低層棟のようなビルになるのではないか?
- 低層階は商業施設・バスターミナル・劇場ホール(2,000席)
- 中層階は駐車場
- 高層階はビジネスホテル「REMM+(レムプラス)」
阪急三番街の阪急バスターミナルは手狭であるので、新阪急ホテル側の関空リムジンバス乗り場を一体化し拡張すると思う。また、阪急大阪梅田駅から乗り換えしやすい動線になると思う。
2031年春に、なにわ筋線が開業しJR大阪駅のうめきた地下ホームに発着するが、阪急側からは約600m(徒歩7分)と距離がある。
阪急としては、大型キャリーケースを利用するインバウンド客に便利なように関空リムジンバスの乗り場を整備すると思う。
また、阪急の計画には記載されていないが、大阪梅田駅周辺には2,000席の音楽ホールがないので、駅直結の音楽ホールを作れば集客力が高まり、長距離バス利用者、ホテル利用者も増加する。
大阪梅田付近は、ウォルドルフ・アストリアなど高級ホテルが開業した結果、国内出張で使えるような「ビジネスホテル」が不足してきた。
阪急系のビジネスホテル「REMM+(レムプラス)」400室が入居する可能性がある。
阪急ターミナルビルの建替では、高層階に別の高級ホテル(高級賃貸)が入居すると思う。
阪急電鉄が大阪新阪急ホテルの資産を取得
2023年10月、阪急阪神HDは、株式会社阪急阪神ホテルズの事業スキーム(資産保有とホテル運営を一体的に経営する方式)を見直し、「資産保有」と「ホテル運営」を分離することにした。
この結果、株式会社阪急阪神ホテルズは「資産」を保有せず、「ホテル運営」に特化した会社となる。
具体的には、株式会社阪急阪神ホテルズが保有する大阪新阪急ホテルの資産を阪急電鉄株式会社に移管する。
コメント
大阪新阪急ホテルの資産を阪急電鉄株式会社に移管することは、「大阪新阪急ホテルの建替」と「阪急ターミナルビルの建替」を阪急電鉄株式会社が主導して一体的に開発するためと思われる。
当ブログの予想では、総延床面積32万㎡~40万㎡・高さ180m・地上38階~40階の巨大再開発の可能性があると思う。
但し、大規模改装する「阪急三番街」(駅施設とバスターミナルを含む)の延床面積は約8万㎡なので、再開発ビル自体の合計延床面積は24万㎡~32万㎡となるかもしれない。
当ブログの予想
「阪急ターミナルビル(建替)」「大阪新阪急ホテル(建替)」「阪急三番街(改修)」合計
階数 | 高さ | 総延床面積 | 内容(予想延床面積) |
38階~40階 | 182m | 32万㎡~40万㎡
(うち改修部分8万㎡) |
オフィス(10万㎡) |
大学(2万㎡) | |||
ホテル(3万㎡) | |||
商業施設(10万㎡) | |||
駅舎(5万㎡) | |||
バスターミナル(2万㎡) |
(右)「大阪梅田ツインタワーズ・ノース」(41階建・高さ187m・延床面積25万㎡)
出典(阪急阪神ビルマネジメント)当ブログで加工
当ブログの予想では、現在の「阪急ターミナルビル(地上17階建・高さ76m)」は高さ180mの超高層ビルに建替されると思う。
低層階は商業施設、中層階はオフィス、高層階は高級賃貸マンション(または長期滞在用ホテル)になると思う。
大阪新阪急ホテルの建替には、ビジネスホテルが入居する可能性があるが、住み分けはできると思う。
また、「大阪新阪急ホテル(跡地)」に、例えば「阪急メンズ館」が入居すれば、JR大阪駅からのアクセスもよく、中国・四国地方から広範囲に集客するのに適していると思う。
高級賃貸マンション
2023年1月13日、阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長(73)は共同通信の取材に応じ「阪急電鉄大阪梅田駅周辺の大規模な再開発で建設予定のビルについて、高級賃貸マンションとしての活用を検討する」と明らかにした。
大学も誘致か?
大学や研究機関を呼び込むほか、商業・飲食やエンターテインメント施設間の連携を強化することで面的なにぎわいを創出する。
これらの再開発により、ターミナル駅としての機能を強化しながら、大阪梅田エリアの玄関口にふさわしい複合機能拠点を目指す。
完成時期は?
大阪新阪急ホテル(961室・延床面積3.4万㎡)の建替えが先行し、次に「阪急大阪梅田駅・阪急三番街」を全面改修し、最後に「阪急ターミナルビル」の建替をすると思う。
完成は早くて2035年頃で、2040年の可能性もある。
(仮称)梅田コネクトロード(出典 阪急阪神HD)
阪急阪神HDは、今まで「阪急・大阪梅田駅」周辺に自社施設を建設し、いわゆる「阪急村」を開発してきた。
しかし、JR大阪駅・梅田周辺の重心が、西側の「グラングリーン大阪(うめきた2期)」に移動しつつあることから、JR大阪駅を360度全方位から囲むように開発範囲を拡大する方針と思われる。
具体的には、阪急阪神HDの「芝田1丁目計画」と「JR大阪駅周辺」や「グラングリーン大阪(うめきた2期)」を「ペデストリアンデッキ(空中歩道)合計約1.5km」で結び、梅田エリアに点在する阪急阪神HDの各施設の回遊性を高める方針と思われる。
「大阪梅田2030プロジェクトチーム」
「大阪梅田2030プロジェクトチーム」は、阪急電鉄、阪急阪神不動産を中心に約60名体制で「芝田1丁目計画」の事業主体である阪急電鉄に設置する。
正式には、再開発の規模は公表されていない
これは、現行600%の容積率を行政がいくらまで緩和するか決定していないため、具体的な規模や完成予想図を発表できないのだと思う
また、新阪急ホテル北側の道路(阪急大阪梅田駅の高架下道路)を拡張する構想があり、その調整に時間がかかっているのかもしれない。
出典 阪急阪神HD
主な検討課題 | 内容 |
建設・技術 | 建替や改修工事における技術面でのブラッシュアップ |
駅周辺整備 | 周辺エリアの都市機能と整合性のある計画の立案 |
駅機能 | 将来を見据えた新しい駅サービスのあり方の提案 |
ソフト企画・コンテンツ | 魅力ある用途構成や事業メニューの具体化
オフィス・商業 交流・「滞在」・MICE・文化・教育、エンタテインメント |
まちづくりの情報発信 | 「梅田ビジョン」とも連動した、本計画の魅力や進捗状況等に関する情報発信 |
「梅田ビジョン」の概要
「梅田ビジョン」とは、大阪梅田を「国際交流拠点」にすることで、6つの基本方針を設定している。
- 共創により新しい価値が生まれる街づくり
- 出会いと交流を促進する街づくり
- 多様な人々を企画が集う活力ある街づくり
- 最先端の技術等を活用して新しい価値を提案する街づくり
- 持続可能な街づくり
- 世界に向けた戦略的な情報発信
本物件の東側の茶屋町地区では、東西道路を幅員12m(道路延長約150m)に拡張する計画があり、新阪急ホテル北側の道路(阪急大阪梅田駅の高架下道路)の幅員も拡張する可能性がある。