【大阪人が思う】なぜ、大阪都構想は否決されたのか?【2020年11月1日】

2020年11月1日、大阪市民による住民投票の結果、反対票が多く、「大阪都構想」は2015年に続き2度目の否決となった。

2019年4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙で「大阪維新の会」の吉村大阪府知事、松井大阪市長が勝利した。この勢いで「大阪都構想」が可決されると思われたが、なぜ「否決」されたのか?

 

大阪都構想の争点
(大阪府と大阪市の)二重行政の解消現在は、いずれも大阪維新の会の首長で、対立は解消しており、争点にならず
将来の大阪の発展10代~50代は賛成票が多い
現在の住民サービスの維持60代~70代以上は反対票が多い

 

吉村大阪府知事は新型コロナ対策で評価が高いが、それが「大阪都構想」の賛成には結び付かなかった。

それは、新型コロナの影響で、収入減少など生活に不安を感じる大阪市民が多くなったためだと思う。

明日の生活に不安を抱える人や高齢者に「将来の大阪の発展」と言っても響かない。

また、大阪都構想が実現すると「住民サービス」がどうなるか明確ではなく、現在の住民サービスを維持して欲しいという大阪市民が多かったのだと思う。

一方、大阪都構想の賛成派は「将来の大阪の発展」を期待しているものの、絶対に投票に行くという「モチベーション(動機)」が低かったと思う。

 

特別区「4区割案」

出典 大阪市

大阪市全体の住民投票結果

賛成票反対票票差
2020年675,829票692,996票17,167票
2015年694,844票705,585票10,741票

2015年は反対票が賛成票を10,741票上回ったが、2020年では反対票が賛成票を17,167票上回り、その差は広がっている。

新型コロナの影響

新型コロナの影響で、全体的に投票率が低下した。

現状の「住民サービス」を維持してもらいたい高齢者のモチベーションは高く「投票率」は高かったと思われる。

一方、「大阪都構想」賛成者は、将来の大阪の発展に期待しているのであって、今日明日の問題でないため、「絶対に投票に行く」とまでは思っていない。そのため、賛成者の投票率が低くなった可能性がある。

 

投票率の高い区と低い区を比較

区(2020年)投票率賛成票反対票
阿倍野区71.14%28,578票(45.1%)34,814票(54.9%)
天王寺区69.09%20,042票(47.8%)21,853票(52.2%)
西成区53.49%22,372票(49.3%)23,021票(50.7%)
浪速区48.16%13,294票(51.7%)12,435票(48.3%)

投票率の高い区は、現状の住民サービスを維持してもらいたい高齢者が多かったので「反対票」が多くなったと思われる。

 

大阪市港区の投票結果

大阪市港区賛成票反対票票差
2020年18,491票(43.0%)24,527票(57.0%)6,036票(14.0%)
2015年21,410票(47.8%)23,351票(52.2%)1,941票(4.4%)

大阪市港区の投票結果を見ると、前回の賛成票約48%から今回は約43%と賛成率が減少している。

これは、2015年の案では、大阪市を5区に分割し、大阪市港区は「湾岸区」となるはずだった。

しかし、今回の案は大阪市を4区に分割し、現在の大阪市港区は「淀川区」となる構想で地理的に距離があり、反対票が多くなったのかもしれない。

 

大阪市役所職員の立場

大阪市役所職員の中には京大卒・阪大卒のエリートも多く、大阪都構想が実現して「区役所職員」になることを嫌がり、必死で抵抗したと思われる。

 

大阪市議の立場

大阪都構想が実現すれば、特別区の区議会議員となり、格下げとなる。また、インフラ整備などは大阪府が担うことから権限を失うので、反対したのだろう。

 

10代~20代の反対票が多かった理由

改革を推進する「大阪維新の会の都構想」だが、意外にも10代~20代の反対票が多かった。これについては、山本太郎氏が率いる「令和新選組」の都構想反対運動が影響したとの見方がある。

「山本太郎の演説で5千票以上、逃げた」

AEAR https://dot.asahi.com/wa/2020110200062.html

 

今後の見通し

松井大阪市長は、任期満了となる2023年4月に政界を引退する。大阪維新の会の求心力が低下するのは否めない。

2025年以降、自民党が党勢を回復し、公明党と結びつき、再び、大阪市は以前のような体制になるかもしれない。

自民党は反対ばかりではなく、大阪の成長戦略を大阪市民に提示する義務があるのではないか?

 

2019年1月現在、大阪市の夜間人口は2,665,314人で、昼間人口は3,538,576人と大阪市外から873,262人が流入している。

引用 大阪市 https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000404462.html

言い換えると、大阪市外から大阪市内に約87万人が働きに来て、企業収益を上げ、大阪市へ税金を納めている。これにより、大阪市民は「住民サービス」というメリットを受けている。

実際、平成27年度の大阪市の「法人市民税1,319億円」、「個人市民税1,422億円」であり、法人市民税の一部が大阪市民の住民サービスに使われていると思われる。

個人市民税と法人市民税の市税収入に占める割合(平成27年度)

大阪市横浜市名古屋市
個人市民税22%41%31%
法人市民税20%8%13%

出典 大阪市 https://www.city.osaka.lg.jp/somu/cmsfiles/contents/0000382/382714/3.pdf

都構想が実現すれば、そういった財源の一部が大阪府に入る仕組みなので、大阪市民が「住民サービスが低下する」と予想するのは当然だ。これに対して「大阪維新の会」の説明が不足していたのかもしれない。

出典 横浜市

 

大阪市区別住民投票結果(2020年11月1日)
特別区名現区名賛成票反対票賛成票反対票
北区北区(特別区役所・現大阪市庁舎)38,20729,689210,694(51.7%)197,173(48.3%)
旭区23,12325,894
都島区29,75826,805
城東区46,97646,121
鶴見区29,84228,555
福島区22,01719,007
東成区20,77121,102
淀川区東淀川区40,86240,375145,480(49.7%)146,967(50.3%)
淀川区(特別区役所)47,41538,688
西淀川区22,97125,511
此花区15,74117,866
港区18,49124,527
中央区中央区(特別区役所)24,76623,814170,559(49.0%)177,699(51.0%)
西区26,82423,026
浪速区13,29412,435
西成区22,37223,021
大正区15,91118,278
住之江区31,15032,838
住吉区36,24244,287
天王寺区天王寺区(特別区役所)20,04221,853149,096(46.6%)171,157(53.4%)
阿倍野区28,57834,814
生野区24,14226,085
東住吉区32,40436,098
平野区43,93052,307
大阪市合計賛成反対
675,829票692,996票

住吉区の賛成票は36,242票、反対票は44,287票と反対が多い。「住吉大社」があり「住吉」という地名を残したいという住民の思いがあったのではないか?

阿倍野区も賛成票28,578票に対して、反対票は34,814票と反対が多い。「あべのハルカス」があり「阿倍野区」という地名を残したい住民が多かったのかもしれない。

4区という区割り案では、港区や此花区が「淀川区」となるなど無理があったと思う。2015年の住民投票の時は特別区5区とする区割り案で「湾岸区」があったが、大阪の伝統的な地名「住吉区」の方が大阪市民の賛成を得やすいかもしれない。

次回、「都構想」の住民投票をするならば、住民の細かな不満を一つ一つを市民と対話しながら「市民参加型」で時間をかけてやっていくしかないと思う。松井大阪市長の「細かいことな言うな、俺についてこい」的な態度では大阪市民の賛成は得られない。

 

大阪都構想の特別区4区の人口
特別区名現区名人口(2020年6月)合計人口(2020年6月)
北区北区(特別区役所・現大阪市庁舎)138,561人780,118人
旭区90,726人
都島区107,539人
城東区168,206人
鶴見区111,781人
福島区79,353人
東成区83,952人
淀川区東淀川区177,425人602,738人
淀川区(特別区役所)183,690人
西淀川区96,064人
此花区64,888人
港区80,671人
中央区中央区(特別区役所)103,094人727,439人
西区104,425人
浪速区75,833人
西成区108,386人
大正区62,521人
住之江区120,097人
住吉区153,083人
天王寺区天王寺区(特別区役所)81,527人641,200人
阿倍野区110,886人
生野区129,280人
東住吉区127,256人
平野区192,251人
大阪市合計人口2,751,495人
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