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ソニーがEV(電気自動車)新会社「ソニーモビリティ」を2022年春に設立する本当の目的

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VISION-S 02(ソニー

ソニーが、EV(電気自動車)事業を担当するソニーモビリティを2022年春に設立する。

このニュースだけ見ると、ソニーがEV(電気自動車)市場に本格参入するようにも思える。

しかし、個人的にはソニーの目的は、EV(電気自動車)の製造販売だけではないと思う。

確かにソニーがEV(電気自動車)市場を将来性のある成長市場であると認識していることは間違いない。

ソニーは単にEV(電気自動車)を製造・販売するのではなく、EV用イメージセンサーなどの半導体で圧倒的なシェアを握ることが最終的な目標だと思う。

 

スマホ部品で成功したソニー

ソニーは、スマートフォンに搭載されるカメラ用CMOSイメージセンサー市場で世界シェアの50%を握る。

しかし、ソニーのスマホ自体は、日本国内でもシェア10%程度、世界シェアでも数%に止まり必ずしも成功しているとは言い難い。

それでも、ソニーがスマホ市場から撤退しないのは自社でスマホを製造することで、スマホメーカーの本当のニーズが明確に分かるからだと思う。

単に顧客ニーズに対応しているだけでは、進歩の速い市場では他社に遅れてしまう可能性がある。

自社でスマホを製造することでよりきめ細かなニーズに対応し、また将来のスマホについて提案型のB to B ビジネスができるのだと思う。

つまり、ソニーは、スマホ市場で大きなシェアを目指すのではなく、スマホ部品市場で圧倒的なシェアを獲得することが経営目標だと思う。

 

TSMCとソニーが熊本に半導体工場建設

ソニーは台湾の半導体大手TSMCと共同で熊本のソニーグループの工場の隣接地に新工場を建設する。投資額は合計で8000億円、2022年に着工し2024年に生産を開始する。

この新工場で生産される半導体の回路線幅22~28ナノメートルで、世界最先端の5ナノメートルではない。

これは新工場で製造される半導体はEV(電気自動車)用で、世界最高水準の小型化よりも、耐久性や安定性を重視しているためだと思う。

つまり、ソニーはEV用半導体市場に2024年から本格参入し、それと同時にEV市場に参入するという計画ではないか?

 

九州がEV(電気自動車)の生産拠点になる?

日本の自動車の生産拠点は、愛知、栃木、神奈川、大阪、九州などにあり、自動車部品メーカーも自動車生産拠点の近くに集中している。

これは、部品メーカーと完成車メーカーの協力により自動車が生産されるからだと思う。

特に、EV(電気自動車)は発展過程なので、部品メーカーと完成品メーカーの協力が現行ガソリン車よりも必要になってくる。

特にEV用半導体がないとEV(電気自動車)は生産できない。しかも、半導体工場の設備投資額は8000億円ということもあり、半導体工場は簡単には移転できない。

したがって、EV完成車メーカーがEV用半導体工場が稼働する熊本(九州)周辺に建設される可能性があるのではないか?

 

関西のEV産業

関西にもEV部品メーカーが多くある。EV用の基幹部品であるリチウムイオン電池はパナソニック(大阪)、GSユアサ(京都)などがあり、電気モーターは日本電産(京都)などがある。

また、ダイハツ(大阪)は2025年までに100万円の軽自動車を販売する予定だ。

このように、EV(電気自動車)産業が関西でも成長しつつあるが、世界的なEV産業拠点というほどでもない。

現在、EV(電気自動車)の価格は高額で政府や自治体の補助金がないと市場性がない。

やはり、政策的にEV(電気自動車)産業を育成するという明確な意思決定をし、熊本のTMSC工場のように数千億円単位の政府支援がないと無理かもしれない。

現在できることは、EV用半導体工場が新設される九州と関西の連携を深化することだと思う。

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