2025年5月26日、名古屋鉄道など5社は「名古屋駅地区再開発計画」の事業化を決定したと発表した。
名鉄百貨店など6つのビルを取り壊して、新たに2つの高層ビル(JR名古屋駅側:地上31階・高さ172m / 南側:地上29階・高さ170m)を建設する。
南側の高層階などに「アンダーズ 名古屋」が入居する。ホテルの延床面積は約2.7万㎡、客室数は約150室、客室面積はすべて50㎡以上で、レストランや宴会場、フィットネス場、屋内プール、スパなども設置し、2034年度に開業する予定。
再開発の全体規模は、敷地面積約3万2700㎡、延床面積は約52万㎡で、名古屋鉄道(持ち分90%)、名鉄都市開発、日本生命保険、近畿日本鉄道、近鉄不動産の共同開発となる。
名鉄名古屋駅を、2033年にリニューアルし、2040年代前半に2線路から4線路化する。行き先方面別などでホームを分けることにより、空港アクセス専用ホームを新設する。
名鉄の再開発ビル(上物)の投資額は約5400億円だが、名鉄名古屋駅の拡張に3,200億円、バスターミナルに280億円を投資し、名鉄の合計投資額は8,880億円に達する。
- 5,400億円(再開発ビルの建設費の名鉄負担分)
- 3,200億円(名古屋鉄道の地下駅の拡張費用)
- 280億円(バスターミナル)
- 合計8,880億円(名鉄の総投資額)
2026年度に解体着工し、2027年度に新築着工する。
2033年度に第1期本工事が竣工、2040年代前半に第2期本工事が竣工する予定。
オフィスの1フロア貸室面積は6,000㎡で、名古屋以西では最大規模となる。
名鉄百貨店本店と近鉄パッセは2026年2月28日をもって営業終了する。
再開発ビルの商業施設の規模は、既存の名鉄百貨店(総売場面積54,974㎡)と近鉄パッソ(営業面積8,959㎡)を合わせた面積(約64,000㎡)となる。
従来計画では、高層ビルを3棟を建設する予定だったが、ビジネス向けのホテルが入る予定だった1棟を減らす。
名鉄「名古屋駅」2022年12月(筆者撮影)

出典 名古屋鉄道
出典 名古屋鉄道
共同事業者 | 名古屋鉄道株式会社
名鉄都市開発株式会社 日本生命保険相互会社 近畿日本鉄道株式会社 近鉄不動産株式会社 |
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対象地 | 名古屋市中村区名駅一丁目2番他 |
敷地面積 | 約32,700㎡ |
延床面積 | 約520,000㎡ |
高さ・階数 |
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用途 | 商業
オフィス ホテル「アンダーズ 名古屋」 鉄道駅 バスターミナル |
名鉄投資額 | 8,880億円(名鉄投資額)
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再開発ビル(上物)投資額 | 6,000億円か?(再開発ビル全体)
名鉄の持ち分約9割から逆算 |
2025年度 | 名鉄百貨店本店営業終了(2026年2月28日) 近鉄パッセ営業終了(2026年2月28日) 名鉄グランドホテル営業終了(2026年3月22日) 名鉄バスセンター営業終了(2026年3月中) |
2026年度 | 解体着工 |
2027年度 | 新築着工 |
2033年度 | 1期本工事竣工
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2040年代前半 | 2期本工事竣工
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デザインアーキテクト | 株式会社日建設計・SKIDMORE, OWINGS & MERRILL LLP |
出典 名古屋鉄道
2026年春に名古屋駅前の「名鉄百貨店本店」が閉店、同じビルに入居する「名鉄グランドホテル」も同時に営業を終える。
2026年度に既存6棟のビルの解体に着手し、2027年度から再開発ビルの建設に着工し、2030年代半ばから開業し、最終的には2040年頃の完成を見込む。
2025年3月18日の報道によると「近鉄パッセは再開発に伴う建て替えにあわせて閉店することを決め、再開発後の新たなビルにも出店しない」とのこと。
名古屋鉄道の本社(従業員270名)は名鉄百貨店と同じビルに入居しているが再開発を予定していることから2025年1月に近隣のオフィスビル「エニシオ名駅」に移転した。
名鉄「名古屋駅」の改修
名鉄「名古屋駅」は3つのホームで2本の線路を挟む「3面2線」と呼ばれる構造で、異なる行き先の列車がほぼ2分ごとに来る過密なダイヤになっている。
2033年に鉄道1期リニューアル(2線)が完成、2040年代前半に鉄道2期リニューアル(4線)が完成する。
アンダーズ 名古屋
外資系高級ホテル・ハイアット系列の高級ブランドホテルで、南側のビル(旧レジャック)に入居する。
- 1階:エントランス
- 11階~12階:レストランや屋内プール
- 25階~29階:客室150室(全室50㎡以上)
- 2034年度開業予定
出典 名古屋鉄道
「名鉄百貨店」と「近鉄パッセ」跡地は、低層階を共通化し「商業施設」とし、高層階は「オフィス」とする。
「旧・名鉄レジャック」跡地の南棟の低層階は「バスターミナル」、中層階は「オフィス」、高層階は「ホテル」とする。
太閤通の上空を空中回廊(ペデストリアンデッキ)で接続する。
位置 | 内容 |
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北棟 | オフィス(高層階)
商業施設(低層階) |
太閤通 | 空中回廊(ペデストリアンデッキ) |
南棟 | 高級ホテル(高層階)
オフィス(中層階) バスターミナル(低層階) 「旧・名鉄レジャック」 |
当ブログ試算では、北棟の南北幅は約260m、太閤通の幅員が30m、南棟の南北幅は約110mと思われる。合計すると南北400mとなる。
工期は3期に分けて開発して、最終的に2040年代前半に再開発が完了する。当ブログの予想では「旧・名鉄レジャック」から着工すると思われる。
グラングリーン大阪 北街区(左の2棟)とグランフロント大阪(右の4棟)
グランフロント大阪の規模は、敷地面積:47,916㎡・延床面積:567,927㎡・棟数4棟。
名鉄は、名古屋駅の再開発計画について「基本設計」に着手すると発表した。
再開発によって新たなランドマークを目指すとしている。
事業の方向性を示す2024年度以降のスケジュールは未定としながらも、「リニア開業にむけて駅前の周辺整備が進むので、進み具合にしっかり合わせていきたい」と説明した。
引用 メーテレ
2017年の計画
2017年段階では、名鉄は近鉄グループホールディングスなど合計4社で、名鉄百貨店や近鉄パッセなど6棟のビルを一体的に再開発し、地上30階建、高さ最大180m、南北400mの巨大ビルを2022年度に着工し、2027年度をめどに完成させる計画だった。
この再開発ビルには、ホテル、オフィス、商業施設が入居する予定だった。
しかし、その後、リニア中央新幹線の名古屋開業が2027年以降に遅れる見通しとなり、新型コロナの感染拡大を受け、計画を再検討し、2024年度をめどに事業の方向性を示すとしていた。
名鉄レジャック
2017年の計画を見ると、道路を挟んだ「名鉄レジャック」を含む計画になっている。
ちなみに、名鉄レジャックは2023年3月31日に閉館した。
道路幅員は推定30mで、そもそも、長さ400mの「壁ビル」の計画に無理があった。
容積率1,300%に緩和
名古屋市は、劇場や高級ホテルなどの誘致のため、名古屋駅の東側と栄で政令市として初めて容積率を1300パーセントにする方針を発表しました。
引用 東海テレビ
大阪IR(2030年開業)
大阪IR(統合型リゾート)が2030年に部分開業する予定で、近鉄は奈良線から乗り入れる方針。
技術的には、大阪IR(統合型リゾート)から近鉄名古屋駅まで直通列車を運行することは可能と思われる。
大阪IR(統合型リゾート)には世界から富裕層が訪問すると予想され、名古屋へも誘導するためには「名古屋のランドマーク的」な建物が必要になると思う。