
神戸空港(筆者撮影)
関西圏には、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹空港)、神戸空港の3空港が存在します。
さらに、JR大阪駅とJR三ノ宮駅の移動時間は約20分と近接しているため、神戸空港の利用者には大阪府民も一定数含まれています。
そのため、神戸空港の利用実態を分析する際には、神戸市および周辺地域のみの純粋な航空需要を把握することが難しいという特徴があります。
そこで、地域に旅客定期便が運航される空港が実質的に1つである中部国際空港を擁する名古屋市や、高松空港を擁する香川県(県庁所在地:高松市)と比較することで、神戸市の航空需要を分析します。
空港需要を分析する際、最も基本となる指標は利用圏人口です。一般的に空港の利用者数は、周辺人口と経済規模に大きく左右されます。
神戸空港の主な利用圏は、神戸市を中心としたいわゆる「神戸圏」であり、その人口は約200万人と推定されます。この人口規模を基に航空需要を推計すると、神戸圏のみで年間約450万人程度の航空需要が見込まれます。内訳としては、国内線が約350万人、国際線が約100万人と想定されます。
この水準は地方中核空港と比較すると比較的高い水準であり、神戸空港は地方空港の中では潜在需要が大きい部類に入ると言えます。一方で、関西圏全体の人口規模を考えると、神戸圏のみの需要では空港の成長には一定の限界が存在します。
2025年(1月~12月)の関西3空港の実績
- 関西空港:3,410万人(国際線2,753万人・国内線657万人)
- 伊丹空港:1,618万人(国内線のみ)
- 神戸空港: 406万人(国際線41万人・国内線365万人)
| 空港 | 中部国際空港 | 中部国際空港の(5分の1) | 神戸空港 |
|---|---|---|---|
| 利用者数 | 11,038,828人 | 2,207,766人 | 4,059,855人 |
| 国内線 | 6,124,635人 | 1,224,927人 | 3,654,610人 |
| 国際線 | 4,914,193人 | 982,839人 | 405,245人 |
| (外国人) | (3,205,178人) | (641,036人) | (334,885人) |
| (日本人) | (1,702,629人) | (340,526人) | (70,360人) |
| (通過客) | (6,386人) | (1,277人) |
中部国際空港:2024年4月~2025年3月、神戸空港:2025年1月~2025年12月(国際線は2025年4月から)
中部国際空港の利用圏は、愛知県の人口約748万人に周辺地域を含めると、おおむね1,000万人規模と考えられます。一方、神戸空港の利用圏人口は約200万人と推定されるため、人口規模から単純比較すると、神戸空港の潜在需要は中部空港利用者の約5分の1程度になると予想されます。
中部国際空港の利用者数を基準にすると、その5分の1に相当する国際線利用者は約98万人となります。一方、神戸空港の国際線実績は41万人であるため、将来的に神戸空港の国際線需要は、神戸圏のみでおおむね100万人程度になると考えられます。これを上回る需要については、大阪府民をはじめとする神戸圏以外からの利用者によるものと予想されます。
中部国際空港では、名古屋~東京間は新幹線で約1時間30分と移動時間が短く、航空機を利用する需要はほとんど存在していません。一方、神戸空港では、神戸~東京間の航空需要が大きく、2024年の利用者数は902,167人に達しています。
このため、中部空港の利用者数の5分の1という単純比較よりも、神戸空港の国内線利用者数は相対的に多くなる傾向があります。
| 空港 | 高松空港 | 高松空港の(2倍) | 神戸空港 |
|---|---|---|---|
| 利用者数 | 2,238,703人 | 4,477,406人 | 4,059,855人 |
| 国内線 | 1,716,624人 | 3,433,248人 | 3,654,610人 |
| 国際線 | 522,079人 | 1,044,158人 | 405,245人 |
| (外国人) | (334,885人) | ||
| (日本人) | (70,360人) |
高松空港:2025年1月~2025年12月、神戸空港:2025年1月~2025年12月(国際線は2025年4月から)
高松空港の利用圏は、香川県の人口約94万人に周辺地域を含めておおむね100万人規模と考えられます。一方、神戸空港の利用圏人口は約200万人と推定されるため、単純比較では神戸空港の潜在需要は高松空港の約2倍程度の規模になると予想されます。
| 空港 | 中部国際空港の(5分の1) | 神戸空港(実績) | 高松空港の(2倍) |
|---|---|---|---|
| 利用者数 | 2,207,766人 | 4,059,855人 | 4,477,406人 |
| 国内線 | 1,224,927人 | 3,654,610人 | 3,433,248人 |
| 国際線 | 982,839人 | 405,245人 | 1,044,158人 |
| (外国人) | (641,036人) | (334,885人) | |
| (日本人) | (340,526人) | (70,360人) | |
| (通過客) | (1,277人) |
神戸空港の航空需要について、神戸圏の人口約200万人のみを対象に考えると、総利用者数は約450万人(国際線100万人、国内線350万人)程度になると予想されます。
この水準を超える需要については、大阪府民をはじめとする神戸圏以外からの利用者によって支えられる可能性が高いと考えられます。

- 2025年度:414万人(見込み)
- 2026年度:481万人
- 2027年度:562万人
- 2028年度:561万人
- 2029年度:578万人
- 2030年度:573万人
引用 関西エアポート

神戸市の2030年需要予測は702万人(国内線512万人・国際線190万人)ですが、空港運営会社である関西エアポートが示している需要予測573万人と比較すると、約129万人も上振れしており、やや楽観的な見通しと言えます。
神戸市の試算は、神戸空港の国内線発着枠が1日120回まで拡大された場合、その枠がほぼフル稼働することを前提としています。しかし現実には、2025年3月末に発着枠が120回へ拡大された後も、実際の運航回数は1日平均78回程度にとどまっています。単純計算でも稼働率は約65%に過ぎず、需要が枠拡大に十分追いついていない状況です。
この背景には、航空会社の機材不足や乗務員確保の問題に加え、関西圏には関西国際空港や大阪国際空港といった競合空港が存在し、路線配分が分散している点も影響しています。
特に国内線は伊丹空港の利便性が依然として高く、神戸空港の発着枠が増えても航空会社が即座に増便するとは限りません。
そのため、神戸市の需要予測は「将来的なポテンシャル」を示したものではあるものの、短期的な実績との乖離を見る限り、達成することは困難と考えられます。
