2023年4月に大泉氏が函館市長に当選したことにより、彼の公約である「2030年度末の北海道新幹線の札幌延伸と同時に函館駅乗り入れ構想」が動き出しつつある。
しかし、個人的な考察では「北海道新幹線の函館駅乗り入れは、実現しない」と思う。
現状
北海道新幹線の現在の終着駅は「新函館北斗駅」で、「函館駅」とは約18kmの距離があり「はこだてライナー(在来線)」に乗り換える必要がある。
はこだてライナー
軌道 :1,067mm(在来線)
営業距離 :17.9km
編成 :3両編成
定員 :441人(ちなみに新幹線は731人)
停車駅数 :3駅(快速)・6駅(普通)
運行本数 :16往復(快速6往復・普通10往復)
所要時間 :上り15分・下り19分(快速)/上り19分、下り22分(普通)
北海道新幹線の函館駅乗り入れ構想
車両規格 :ミニ新幹線 または フル規格新幹線
区間 :「新函館北斗駅」~「函館駅」
営業距離 :17.9km
軌道 :三線軌条(在来線に新幹線用線路を1本追加)・標準軌(フル規格)に改軌案もある
開業時期 :2030年度末(北海道新幹線の札幌駅延伸と同時開業)
建設費 :75億円(元鉄道建設公団関東支社長の吉川大三氏)~フル規格の新路線1,000億円
北海道新幹線の函館駅乗り入れの問題点
秋田新幹線などミニ新幹線は実現している。
函館新幹線構想の場合、東京から来た新幹線は「新函館北斗駅」で「札幌行き」と「函館行き」に列車を分離する。
しかし、「函館駅」~「札幌駅」の直通新幹線も運行する予定なので話が複雑になってくる。
例えば、「函館駅」~「札幌駅」の直通新幹線が「新函館北斗駅」で、東京から来て「札幌行き」と「函館行き」に分離した「札幌行き新幹線車両」と増結する案もある。
この場合、「新函館北斗駅」で分離と増結をしないといけない。
「分離」だけであれば3分でできるが、さらに「増結」すると3分かかり合計6分かかる。
実際には、安全確認の時間が必要になり合計8分~10分かかるのではないか?
東京=札幌間の所要時間が「新函館北斗駅」で10分も遅れることになれば、実現は不可能だと思う。
解決策
「新函館北斗駅」で新幹線の分離と増結を同時にするのは、時間的デメリットが大きい。
したがって、「函館駅」~「札幌駅」の直通新幹線は「新函館北斗駅」で結合せずに、単独で運行するのではないか?
「函館駅」~「札幌駅」の需要はあるか?
現在、「函館駅」~「札幌駅」はJR特急北斗(5両編成)が1日11往復・所要時間3時間50分で結んでいる。
これを新幹線で代替するとして、採算が取れるのだろうか?
しかも、時間帯によっては、札幌~東京の新幹線に乗って「新函館北斗駅」で下車して「はこだてライナー」に乗換えて「函館駅」に行く利用者もいるので、利用者が分散することになる。
当ブログ案
そもそも、函館駅から18km離れた「新函館北斗駅」に駅ができたのは、JR在来線と新幹線を接続するためだった。
路線図を見ると、新幹線の線路は函館駅から約10kmの地点を通っている。
したがって、JR在来線との接続しない「新幹線単独駅」であれば、函館駅から約10kmの地点に建設できたはずだ。
「新幹線単独駅」からバス専用道路を建設すれば時速60kmで走行して10分で函館市内に行ける。
観光客はレンタカーなども利用することも多いと思うので、JR在来線との接続にこだわらなければ、「新幹線単独駅」でよかったのではないか?
そもそも、現在の函館駅は青函連絡船に乗り換えるため、函館の南端にある。
すでに、青函連絡船がなくなっている以上、函館市の中心も「新幹線単独駅」の方向に移動させてもいいのではないか?
コメント
北海道は車社会になっているのに、新幹線とJR在来線との接続にこだわったため、函館駅から18km離れた場所に新幹線駅「新函館北斗駅」を建設したのが、そもそもの間違いだと思う。
今さら、函館駅から10kmの場所に「新幹線新駅」を建設することもできないと思う。
結局、「はこだてライナー」を高速化・多頻度運行するしかないと思う。
それと、函館の中心を現在の「函館駅」から北方向の「五稜郭」付近に移動させたらいいのではないか?
今、函館に必要なことは、青函連絡船時代の価値観を「新幹線時代の価値観」に変化させることだと思う。