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阪急が新線建設に本気を出した理由

2017/12/19

東洋経済に「阪急が新線建設にやる気をだした4つの理由」という記事が掲載された。

参考 URL  http://toyokeizai.net/articles/-/200695

そこで、当ブログが過去記事で阪急の新線計画について、書いてきたこと中心にまとめてみた。

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阪急新線計画

線路名 区間 距離 総事業費 開業予定
なにわ筋線と阪急十三駅連絡線 JR北梅田駅~阪急十三駅  2.35km
阪急新大阪連絡線 阪急十三駅~新大阪駅  2.4km
阪急伊丹空港線 阪急曽根駅~伊丹空港  3km  1,000億円
阪急神戸線の神戸市営地下鉄乗り入れ 阪急神戸線王子公園駅からの地下化が有力  3.1km  1,000億円

 

鉄道会社利用者の減少

(2015)15年度の阪急電鉄の輸送人員は6億4000万人。ここ2~3年は訪日外国人の利用で持ち直しているが、1991年度のピーク時に比べて2割減った。

今後も少子高齢化が進む京阪神で鉄道収入の大幅な回復は難しい。

引用 日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLZO15791910W7A420C1LKA000/

年度 輸送人員
2016 6億4736万人
2015 6億4456万人
2014 6億2753万人
2013 6億2912万人
2012 6億1532万人
2011 6億0863万人
2010 6億0323万人
2008 約6億1000万人
1991 約8億1000万人

1991年のバブル期に阪急電鉄の年間輸送人員は8億1000万人とピークをつけた。しかし、その後はバブル崩壊、団塊世代の大量退職による通勤客の減少などにより、輸送人員は減少を続けた。

2010年頃から、訪日外国人の増加、西宮ガーデンズ開業(2008年開業)、阪急百貨店うめだ本店の建替え(2009年1期開業、2012年2期開業)、グランフロント大阪(2013年開業)などにより、輸送人員は持ち直しているが、それでも1991年のピークから20%減少している。

阪急沿線には国内線の伊丹空港しかないので訪日外国人が阪急を利用するイメージはあまりない。

しかし、訪日外国人は宿泊費の安い大阪市の天下茶屋駅周辺に宿泊し、大阪市営地下鉄堺筋線から阪急京都線直通電車を利用して京都に観光に行くことが多い。

京都の寺院は午後4時くらいに閉門になるので、大阪のホテルに午後6時くらいには戻ってこれる。

 

沿線人口の減少

2015年の大阪府の人口は883万人で2010年より約2万6000人の減少となった。阪急沿線の吹田市、茨木市、豊中市など大阪府北部地域は人口増加しているが、団塊世代の退職などにより鉄道利用者の増加はあまり見込めない。

また、今後も大阪市内のタワーマンションが建設され、郊外から都心へ通勤する鉄道利用者が減少する可能性がある。

 

財務体質の改善

2006年、阪神電気鉄道と経営統合したことにより、多額の買収費用の影響で有利子負債は1兆2700億円まで増加し、財務内容を圧迫、新路線建設余力がなかった。

しかし2010年代に入り、財務体質が改善し、2017年3月期では有利子負債は9,300億円まで減少し新規投資する余力が出てきた。

 

梅田(JR大阪駅)に付加価値をつける経営方針

鉄道会社は、従来、郊外に住宅開発し、沿線人口を増加させ、都心への通勤客を取り込む経営方針だった。

しかし、沿線人口減少により、この経営戦略は通用しなくなってきた。

そこで阪急は、梅田(JR大阪駅周辺)に商業施設を建設し、広域から鉄道利用者を増加させる経営に転換したと思われる。

 

グランフロン大阪の来場者数と売上高

来場者数 売上高
1年目(2013-2014) 5,300万人 436億円
2年目(2014-2015) 4,930万人 444億円
3年目(2015-2016) 5,255万人 458億円
4年目(2016-2017) 5,353万人 465億円

グランフロン大阪1施設だけで年間5,000万人の集客できている。退職した団塊世代が通勤ではなく買い物のために阪急を利用するようになってきている。

阪急電鉄は鉄道のイメージがあるが、実は不動産収入も多い。そういう意味でも梅田の不動産に付加価値をつけるために、新線を建設する目的もある。

例えば、阪急伊丹空港線だが、伊丹空港の年間利用者は1,500万人で、数字だけ見ると多いように思えるが1日当たり約4万人に過ぎない。

郊外の住宅地の駅でも1日の利用者は2万人~3万人なので、1日4万人しか利用者がいない伊丹空港まで新線を敷設するのは、鉄道収入のためだけなら合理的ではない。

伊丹空港からのアクセスを改善することで梅田(JR大阪駅周辺)という土地に付加価値をつけるための鉄道建設の意味もあると思う。

 

昭和30年代から新線計画があった

最近、阪急が新線建設に動いているイメージがあるが、実は昭和30年代から新線計画があった。

例えば、十三駅から新大阪駅への乗り入れは、昭和39年(1964年)の新幹線新大阪駅開業に合わせて阪急京都線を新大阪駅経由に線路を変更する計画があり、実際に土地も買収していた。

しかし、廃線予定の崇禅寺駅十住民の反対などにより計画がとん挫した。すでに阪急宝塚線から新大阪駅までの土地を買収しており、その土地を活用する「十三~新大阪線」計画が再び浮上した。

また、阪急伊丹空港線についても、阪急宝塚線庄内駅から分岐して伊丹空港へ至る路線の計画や、阪急宝塚線曽根駅から豊中駅までの複々線計画(1948年認可)などがあり、一部土地を買収していた。

それらを利用して、再び「阪急伊丹空港線」計画が浮上した。

これらの計画が浮上した昭和30年代~40年代は高度経済成長時代で通勤客が増加し、新線と建設するとさらに過密運転になるため断念されたと思われる。

しかし、近年の通勤客減少し、高架線路などにより、鉄道輸送能力に余裕が生まれたため新線建設が計画されてきている。

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