星野リゾートと言えば、高級ホテルのイメージがあるが、星野佳路氏が社長に就任した1991年当時は長野県軽井沢町の「星野温泉」という旅館だった。
1995年に社名を「星野リゾート」に変更し、1999年に山梨県の「リゾナーレ」の再建を引き受け、リゾートホテル運営会社として注目されるようになった。
30年前、小規模なホテル運営会社だった星野リゾートが急成長した背景には、星野佳路氏がアメリカのコーネル大学ホテル経営大学院で学んだ「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」があると言われる。
ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略
まず、ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略では経営に関わる5つの要素を定義する。
- 価格
- サービス
- 経験価値
- 買いやすさ
- 商品
次にそれらの要素のレベルを3段階に区分けする。
- レベル1(業界水準)
- レベル2(差別化)
- レベル3(市場支配)
5つの要素をすべてレベル3(市場支配)に引き上げるのは大企業しかできない。したがって、創業時など会社の規模が小さい場合は、選択と集中が必要になる。
- 1つの要素をレベル3(市場支配)まで高める。
- もう一つの要素をレベル2(差別化)とする。
- 残り3つの要素はレベル1(業界水準)とする。
具体的には、星野リゾートでは、
- 「経験価値」をレベル3(市場支配)まで高めた。
- 「買いやすさ」をレベル2(差別化)とした。
- 残り3要素をはレベル1(業界水準)とした。
「買いやすさ」とは、ホテルの場合は「宿泊予約のしやすさ」のことで、星野リゾートでは自社サイト経由の予約が全体の7割~8割を占めるという。
そのため、システム開発の担当社員は50人~60人いるという。