関西空港(筆者撮影)
2025年9月25日、関西エアポートは2025年8月(単月)の関西3空港(関西国際空港・大阪国際空港・神戸空港)の利用状況を発表しました。
それによると、2025年8月の3空港合計の総利用者数は515万人で、前年同期比+13%増になりました。
関西空港の2025年8月の利用者数は、国際線と国内線を合わせ317万人、国際線の利用者数は255万人でいずれも過去最高を記録しました。
このうち、関西空港の国際線を利用した外国人は、188万6529人で、成田空港(186万7248人)を上回りました。
なお、成田空港も8月としては過去最高を更新したものの、外国人国際線利用者数では関西空港に及びませんでした。
関西空港と成田空港の比較
2025年8月国際線 | 関西空港 | 成田空港 |
---|---|---|
国際線全体 | 254万6747人 | 312万5904人 |
(うち外国人) | 188万6529人 | 186万7248人 |
(うち日本人) | 65万0320人 | 105万8868人 |
(うち通過客) | 19万9788人 | |
国内線全体 | 61万9664人 | 70万3744人 |
総合計 | 316万6411人 | 382万9648人 |
関西3空港の2025年8月(単月)利用者数
空港名 | 総利用者数 | (国際線) | (国内線) |
---|---|---|---|
関西空港 | 317万人 | (255万人) | (62万人) |
伊丹空港 | 158万人 | (158万人) | |
神戸空港 | 40万人 | (5万人) | (35万人) |
3空港合計 | 515万人 | (260万人) | (255万人) |
関空の国際線利用者数
- 国際線全体 :2,546,747 (+18%)
- (うち外国人):1,886,529 (+19%)
- (うち日本人):650,320 (+18%)
神戸空港の国際線利用者数
- 国際線全体 :48,946
- (うち外国人):37,713
- (うち日本人):11,233
関西の国際線の約98%は関西空港、神戸空港はわずか2%でしかない。
関西エリアには、国際空港である関西国際空港(関空)に加え、国内幹線空港である伊丹空港、都市型空港として期待される神戸空港の3つの空港が存在する。
これらの空港はそれぞれ性格が異なり、今後のインバウンド(訪日外国人)観光客の受け入れ戦略も差別化が必要だ。ここでは、3空港の現状とインバウンド誘致戦略の役割分担を整理する。
【1】関西国際空港(KIX):西日本のハブ、インバウンド主力拠点
特徴 | 内容 |
---|---|
国際線旅客数 | 2025年8月:255万人(うち外国人187万人) |
強み | 24時間運用、滑走路2本、アジア〜欧米直行便多数、LCC・FSC両対応 |
ターゲット | 長距離・中距離国際線、団体観光、リピーター、ビジネス |
戦略 | 「ゲートウェイ型」インバウンド拠点として大量処理・利便性重視 |
補足: 日本最大級のLCC拠点。特にアジアからの訪日団体旅行・リピーター観光客の「最初の玄関口」として機能。
【2】伊丹空港(ITM):国内移動と「関西の玄関」的ポジション
特徴 | 内容 |
---|---|
国際線運航 | 基本的に無し(国内線専用) |
強み | 大阪市中心部からのアクセス抜群(モノレール・新大阪) |
ターゲット | 国内移動中の訪日外国人(乗継)、ビジネス渡航客 |
戦略 | 「中継点型」としてのポジション確立:関空→伊丹→地方都市へ移動する訪日観光客も多い |
補足: 外国人観光客は利用者の2〜3%程度だが、「2都市間周遊旅行(関空in→伊丹out)」需要で間接的に貢献。
【3】神戸空港(UKB):これからの成長型、国際チャーター便が就航
特徴 | 内容 |
---|---|
国際線旅客数 | 2025年8月:5万人(うち外国人37,713人) |
強み | 都心(三宮)から20分、観光地(有馬温泉・姫路など)への玄関口 |
ターゲット | 短期観光・FIT(個人旅行)・中華圏からの直行ニーズ |
戦略 | 「サブゲートウェイ型」+「観光分散モデル」として展開を狙う |
補足: 滑走路1本・発着時間制限(7時〜23時)という制約はあるが、「混雑する関空の補完」「近距離路線の分散」に期待。
【3空港のインバウンド誘致戦略マトリクス】
空港 | ターゲット層 | 戦略タイプ | 特徴的な利用形態 |
---|---|---|---|
関西空港 | 大量インバウンド、団体客、長距離客 | ハブ&スポーク型 | アジア・欧米からの直行便、LCCとFSC併用 |
伊丹空港 | 国内移動中の訪日客、ビジネス外国人 | 中継・補完型 | 地方都市への中継、関空との周遊組み合わせ |
神戸空港 | アジア近距離・短期旅行者、観光分散対象 | 地域分散型・利便性訴求 | 三宮・神戸観光と直結、チャーターから定期便へ拡大中 |
今後の注目ポイント
- 関空の過密・混雑緩和のためにも、神戸・伊丹への役割移転は重要
- 万博後のインバウンド継続には、「地方空港の使いやすさ」が鍵
- LCCや中華圏の需要取り込みは神戸空港が担い始めている
関西の3空港は単なる競合ではなく、役割分担による「共存と補完」が重要なフェーズに入った。
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関空:インバウンドの中心ハブ
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伊丹:国内中継+ビジネス路線
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神戸:観光特化のサブゲートウェイ
この三者が協調し、訪日観光の多様化と地方分散を実現することが、ポスト万博時代の関西観光成功の鍵になる。
滑走路 | 運用(2025年3月19日まで) |
A滑走路(1期島)3500m | 離陸 |
B滑走路(2期島)4000m | 着陸 |
滑走路 | 運用(2025年3月20日以降) |
A滑走路(1期島)3500m | 着陸 |
B滑走路(2期島)4000m | 離陸 |
2025年3月19日までは、関西空港のA滑走路(1期島)から離陸し、大阪湾を大きく旋回するため、混雑が発生していた。
2025年3月20日以降、関西空港のB滑走路(2期島)から離陸することで、旋回半径を小さくし、空域から短時間で離脱できるようになる。その結果、空域の混雑を緩和できる。
