関西国際空港(2019年4月筆者撮影)
2018年9月の台風21号による被害を受けた関西国際空港は540億円の事業費で防災対策を実施する。
しかし、この540億円は、関西エアポートが270億円、新関西国際空港会社が270億円ずつ負担する。
当然、国家予算で事業費を捻出すると思っていたが、すべて民間会社の負担とは驚く。
2019年度概算要求
出典 国土交通省
2019年度概算要求では、羽田空港に1年間で655億円の国家予算が投じられるが、関西空港は31億円しかない。中部空港の39億円よりも少ない。
関空の防災事業費
事業内容 | 事業費 | |
予防 | 防潮堤・護岸のかさ上げ | 226億円 |
減災 | 電源の地上移転 | 312億円 |
応急対策 | 小型ポンプ・大型ポンプ車 | 2億円 |
合計 | 540億円 |
財政投融資1,500億円
新関西国空港会社は、1,500億円の政府保証債(例えば、年利0.2%)を発行する予定だったが、低利の40年固定財政投融資(例えば、年利0.01%)に切替える。
これにより、金利負担が270億円減少するので、新関西国空港会社の防災事業費負担分270億円は実質0円になるというのが国のロジックだ。
神戸空港国際化
そもそも、日本政府が首都圏や沖縄に優先的に予算配分し、関西を冷遇していることが関西の長期間の低迷の原因のひとつだ。
だたでさえ、少ない国家予算なのに神戸空港も作って、関西の中で奪い合っては地盤沈下するのも当然だ。
今後、神戸空港の国際化が決定すれば、新国際線ターミナル建設(100億円以上)、ポートライナー8両化(数百億円)など周辺整備も含め1,000億円以上かかると予想される。
滑走路かさ上げ事業は別予算
関空の防災事業費540億円には、「滑走路の嵩上げ事業費」は含まれていない。
今後、関空A滑走路(3,500m × 60m)は1m嵩上げ事業(工期約3年間)を実施する方針だが、国家予算で実施すべきだ。