神戸空港の運営権売却
神戸市は神戸空港の運営権を2017年7月中に関西エアポートへ売却決定し、2017年10月に契約、2018年春に関西エアポートに192億円で売却すると予想される。
これが実現すれば、関空、伊丹空港、神戸空港の関西3空港がすべて関西エアポートの運営になる。
これにより、神戸空港の発着枠を増加させた場合、伊丹空港の利用者が減少しても、関西エアポート全体としては利用者数は減少しない。
このため、運営官の売却により神戸空港の発着枠を増加させることができるとの見方がある。
国際線の可能性は低いが、運営時間の延長はありえる
当ブログの予想では、神戸空港の国際線就航の可能性は低い。
関西エアポートにとって関空と神戸空港の2空港に国際線を分割することは非効率になるだけでメリットが少ない。
またエアラインも複数拠点になれば、年間5億円~10億円のコストが増加すると思われるので、わざわざ神戸空港に100万人~200万人規模の国際線を就航させるメリットは少ない。
しかし、神戸空港の運営時間の延長はありえる。
現在、伊丹空港の運用時間は午前7時~午後9時までなので、伊丹空港が運用していない早朝、深夜時間帯(午前6時~深夜午後12時)に、神戸空港の運用時間を延長する可能性はある。
この場合、1時間当たり4発着の増便は可能と思われるので、午前6時~深夜午後12時の3時間の延長なら現在の60回(30往復)から72回(36往復)まで発着枠を増加させることは可能だ。
神戸空港の不振の原因
神戸空港の開港前の予想ではボーイング747(ボーイング777)などの大型機が就航し1日30往復(60便)でも利用者数は年間450万人となり採算が取れると思われていた。
しかし、現実には、ボーイング737(約180座席)の就航がほとんどで、そのため、着陸料収入が少なく、神戸空港は事実上の赤字となっている。
着陸料は通常、飛行機の重量1トン当たり例えば2,000円といった計算になるので、小型機ばかりでは着陸料収入が少ない。
したがって、神戸空港を黒字化するには、2つの方法しかない。
- ボーイング737など小型機からボーイング777などの大型機にする
- 発着回数を増加させる
ところが、機材を大型機にしようとしても神戸空港で就航便数の最も大きいスカイマーク(30往復中21往復)は大型機を保有していないため、現実には不可能だ。
そのため、神戸空港を黒字化させるためには、使用機材をボーイング737のままで、発着枠を増加させるしかない。
神戸空港の発着枠1日60便(30往復)なのか?
神戸空港の飛行経路 出典 神戸市
神戸空港から離陸して飛行機は明石海峡に向かう。また、着陸機は明石海峡を通過して神戸空港に着陸する。
つまり、明石海峡~神戸空港間は、電車の単線のような航路になっている。そのため、1時間当たりの発着回数は少ない。
具体的に計算すると(当ブログ試算)
- 飛行機が滑走路に進入し、離陸待機時間の合計2分
- 離陸のための滑走時間1分
- 神戸空港を離陸後、明石海峡を通過するまで3分
- 合計6分
さらに、神戸空港の離陸機が明石海峡を通過して、逆に着陸機が進入コースに入るまで安全上3分程度の間隔を空ける必要があるので合計9分に1回の発着となる。
しかし、風向きによっては、神戸空港の東に回り込んで離陸着陸しないといけない。この回り込み時間は約3分程度とすると、合計12分となる。
12分に1回の発着だと1時間当たり5回の発着となる。
しかし、より安全性を重視して1時間当たり4便、15時間で60便(30往復)となっていると思われる。
着陸料
伊丹空港の着陸料は737-800で155,358円。
神戸空港の着陸料は737-800(71トン)の場合、1トン当たり1,500円で106,500円となるはずだが、着陸料軽減措置もあるので実際はこれよりも少ない。
神戸空港の2013年着陸料収入は6億9800万円で、1日30往復(年間10,950往復)なので、1回当たり平均着陸料は約6万4000円となる。
伊丹空港の着陸料が約15万円、神戸空港が約6万円なので、関西エアポートとしては、伊丹空港を減便して、神戸空港を増便すると売上が減少することになる。
まとめ
神戸空港の運用時間を延長して、早朝深夜時間帯に1時間当たり4便増便することは可能だ。
しかし、伊丹空港の着陸料が約15万円、神戸空港の着陸料が約6万円なので、神戸空港の日中の発着枠を増加させて、伊丹空港が減便になれば減収となる。
したがって、神戸空港の午前7時~午後10時の発着回数は増加しないと思われる。
神戸空港の運用時間を午前6時~深夜12時まで3時間延長し、1時間当たり4便増便し合計1日12便増便、1日合計36便(72回)というのが現実だと思われる。