(2022年6月筆者撮影)
阪急阪神百貨店は、80億円を投じ、神戸阪急のリモデルを実施し、都市型百貨店としてファッションや美容系売場を強化する。
対象フロアは、本館1階~9階および新館1階~8階で、全館営業面積の約90%という大規模な改装となり、2023年秋に完了する予定。
新館1階(路面店)新規開業店舗
新館(2022年6月撮影)
新館1F(2022年6月撮影)
店舗 | 場所 | 開業日 |
バレンシアガ | 新館1F | 2022年6月22日 |
ロエベ | 新案1F | 2022年6月22日 |
ボッテガ・ヴェネタ | 新館1F | 2022年7月7日 |
セリーヌ | 新館1F | 2022年7月9日 |
リモデルの方向性
神戸阪急については、四国や中国地方などの広域からも集客する方針。
今回対象となっていない地下食料品売場については2019年11月に改装が完了している。
神戸阪急概要
名称 | 神戸阪急 |
所在地 | 神戸市中央区小野柄通8丁目1番8号 |
営業面積 | 42,361 ㎡ |
前年度売上高 | 約286億円 |
前年度入店客数 | 約1204万人 |
階数 | 本館(地階~9 階)・新館(地階~8 階) |
開業 | 2019年10月5日リブランド |
神戸阪急(新館1階~3階)
新館1階の外観
神戸阪急の新館1階~3階には、モードの新しいメゾン「Hankyu Mode Kobe」(約2,500㎡)が2022年8月31日に誕生する。
新館1階デザイナーズⅠ(メンズ&レディース)
3ブランド出店
新館2階 デザイナーズⅡ(メンズ&レディース)
15ブランド出店
新館3階 クリエイターズ(メンズ&レディース)
15ブランド出店
神戸阪急(本館2階~4階)
本館 2 階 ラグジュアリービューティー
本館2階~4階には、神戸地区最大級「KOBE HANKYU BEAUTY WORLD」(1,700㎡)が2022年8月31日にオープンする。
本館3階 ライフスタイルビューティー
コメント
今回のリモデルでは、新館のロフトのフロアを縮小、紀伊国屋書店が撤退し、新館の阪急百貨店の売場を拡大する。
これは、将来的な「本館の建替」を視野に入れたものではないか?
もし、本館を建替えるならば、建替え中の数年間は売場面積が大幅に縮小する。そのため、新館に阪急百貨店の売場を確保したかったのではないか?
本館の建替え時期はいつ?
神戸阪急のリモデル費用は80億円で、年間売上高286億円の約28%に相当する巨額なものだ。
したがって、今後、1年~2年で本館を建替えることはないと思う。では、本館の建替え時期は具体的にいつなのか?
まず、一般的にデパートの家賃(不動産費用)は売上高の5%~10%とされる。
神戸阪急の土地建物のすべてが賃貸というわけではないが、売上高は286億円なので、年間家賃(不動産費用)14億円~29億円が相場だと思う。
リモデル費用は80億円なので、税法上の償却期間という意味ではなく、単純に採算を考えると、3年(29億円×3年=87億円)~6年(14億円×6年=84億円)くらいは本館の建替えはないと思う。
個人的な予想では、2027年くらいにリモデルの採算が取れると思が、利益を上げるためその後数年は建替えしないと思う。
2029年度以降に建替えか?
2029年度にJR三ノ宮「新駅ビル」が完成する予定なので、2029年度以降に本館の建替える可能性もあると思う。
もし建替するのであれば、早くて2029年解体着工・2031年~2032年新築着工・2034年~2035年完成というスケジュールになるのではないか?
もっと慎重な予想であれば、2040年頃に建替完了という見方もできる。
もし、2029年度に本館の建替えをしないのであれば、2027年くらいから本館の外装のリニューアルを実施するかもしれない。
百貨店のみか?超高層ビルか?
建替えの方法として、現在の「地上9階程度のまま建替える方法」と「超高層ビルに建替える方法」がある。
これは、神戸市が現在800%の容積率を緩和するかどうにかかっていると思う。
百貨店としては、1フロアの床面積を広くした方が販売上有利なので、容積率が800%のままならば現在の9階のままの建替えになると思われる。
もし、容積率が1,600%まで緩和されると低層階は「百貨店」、高層階は「オフイス・ホテル」となると思われる。
結局、神戸市が容積率の緩和を決定しないと、阪急阪神百貨店も動きようがないと思われる。
そごう神戸店(本館)の土地と建物の所有者
そごう神戸店(本館)の土地と建物は以下の3社が保有している。
建物位置 | 西 | 中央 | 東 | 合計 |
建物名称 | 三宮阪神ビル | そごう神戸店の一部 | さくら三宮ビル | |
所有会社 | 阪神電鉄グループ所有 | 「神高管理」(H2Oが会社ごと買収) | 室町建物(株) | |
土地面積 | ||||
延床面積 |
過去記事を一部リライト
「神戸阪急(デパート)」の建替について考察
出典 神戸市(左の建物が神戸阪急と思われる)
2021年10月、JR三ノ宮新駅ビルの構想「高さ160m・延床面積10万㎡・2029年度開業予定」と発表された。
そこで、改めて「神戸阪急(デパート)」の建替について考察してみます。
JR三ノ宮新駅ビル構想
JR三ノ宮新駅ビル構想
JR三ノ宮新駅ビルの延床面積は10万㎡と発表されたが、フルスペックのデパートは入居しないと予想される。
というのは、フルスペックのデパートの規模は延床面積10万㎡(店舗面積6万㎡)が一般的だが、JR三ノ宮新駅ビルは「商業施設」「オフィス」「ホテル」の合計の延床面積が10万㎡なので「フルスペックのデパート(延床面積10万㎡)」が入居するには規模が小さい。
神戸阪急(デパート)としては、JR三ノ宮新駅ビルが2029年度に完成した後もJR三ノ宮駅に隣接の唯一のデパートという立地に変化はなく、建替を急ぐ必要はない。
また、エイチ・ツー・オーリテイリング(大阪市)は2021年7月28日に中期経営計画(2021-2023年度)を発表し、神戸阪急(神戸市中央区)と高槻阪急(大阪府高槻市)のリモデルすることを明らかにした。
2022年5月に、神戸阪急だけで80億円、高槻阪急は23億円の投資と発表された。
リモデルは2023年秋に完成する予定なので、その後数年間は建替はしないと予想される。
店舗 | 内容 |
神戸阪急 | 都市型百貨店モデル+神戸らしさ |
高槻阪急 | 新・郊外型百貨店モデル(百貨店+SCのベストミックス) |
投資額 | (神戸阪急80億円+高槻阪急23億円)2店合計103億円 |
期間 | 2022年度~2023年度 |
阪急線と神戸市営地下鉄相互乗り入れ
JR三ノ宮新駅ビルの完成が2029年度だが、工事期間中に阪急線神戸線と神戸市営地下鉄相互乗り入れの工事を同時並行して行うことは不可能と思われる。
したがって、もし相互乗り入れが実現するとしても、2030年着工・2040年完成と予想される。
神戸三宮阪急ビル(南面を撮影)
本来、ビルの南側に窓を設置することが多い。
しかし、神戸三宮阪急ビルの低層階~中層階(4階~15階)の南面には、窓が極端に少ない。
神戸三宮阪急ビルは南側に増築できるのではないか?
月刊神戸っ子(KOBECCO)2017年7月号には「三宮駅ビル建て替えプロジェクト始動! 目に見えてきた神戸の将来像」との記事が掲載されている。
神戸市長 久元 喜造 さん
阪急阪神ホールディングス株式会社 代表取締役社長 角 和夫 さん
「(角 和夫 さん)私の夢を言わせていただくと、阪急神戸線と地下鉄西神山手線が相互直通運転できればと。そうすると、神戸の中心で東西に場所を取っている神戸三宮駅が地下化され、貴重な空間が出現する」
引用 https://kobecco.hpg.co.jp/8018/
コメント
阪急阪神HD角社長の「阪急神戸線と地下鉄西神山手線が相互直通運転できれば(中略)、神戸の中心で東西に場所を取っている神戸三宮駅が地下化され、貴重な空間が出現する。」と言う発言は、神戸三宮阪急ビルの南側にある「神戸三宮駅」を撤去した跡地を再開発したいという趣旨と思われる。
実際「阪急梅田百貨店」や「阪神梅田百貨店」は1期工事で半分を建設し2期工事で全体を完成させている。したがって「神戸三宮阪急ビル」の南側増築もありえない話ではない。
しかし、阪急神戸線と神戸市営地下鉄の相互乗り入れは早くても2040年と予想されるので、それまで老朽化している「神戸阪急百貨店」の建替を待つわけにいかないと思う。
JR三ノ宮新駅ビルの完成が2029年度と発表されたことで「神戸阪急百貨店」は現在の所在地で建替する可能性が高くなったと思う。
「JR三ノ宮新駅ビル」にはフルスペックのデパートは入居しないと予想されるので、「神戸阪急百貨店」としては2029年まで、JR三ノ宮駅に隣接する唯一の大型商業施設(百貨店)として売上がある程度期待できるので、急いで建替える必要はない。
もし建替するのであれば、2029年度以降になると思われる。早くて2029年解体着工・2031年~2032年新築着工・2034年~2035年完成というスケジュールになるのではないか?
しかし、今から10年後に百貨店(デパート)という業態がそのままの形で存続できるかは、検討の余地があると思う。
周辺の商業施設まとめ
(EKIZO 神戸三宮)
(10,550㎡)