「ランチェスター法則」は戦争兵力を数値化し「強者(1位)戦略」と「弱者(2位以下)戦略」を数理モデルから導き出した理論で1900年代初めから提唱されるようになり、1945年以降は「フォルクスワーゲン」など企業経営に応用されている。
東京と大阪を比較することが多いが、実際どの程度の都市規模の差があるのか? 東京には昼間300万人が周辺都市から流入しており、単なる都道府県人口ではなく「都市圏人口」を基準とすべきだ。
順位 | 都市圏名 | 人口 |
1位 | 東京都市圏 | 3,530万人 |
2位 | 大阪都市圏 | 1,200万人 |
3位 | 名古屋都市圏 | 680万人 |
4位 | 京都都市圏 | 280万人 |
5位 | 福岡都市圏 | 250万人 |
6位 | 神戸都市圏 | 240万人 |
7位 | 札幌都市圏 | 230万人 |
8位 | 仙台都市圏 | 160万人 |
東京は周辺の神奈川・埼玉・千葉などと都市圏が一体化しており、東京都市圏人口は3,530万人で日本一であり、世界一でもある。
一方、大阪都市圏と京都都市圏、神戸都市圏は独立しており一体化していない。大阪府(880万人)、京都府(260万人)、兵庫県(550万人)の合計は1,690万人だが、大阪都市圏は1,200万人で東京都市圏の3分の1の規模になる。
言うまでもなく、「兵力3,530万人の東京」と「兵力1,200万人の大阪」が戦えば、規模の小さい大阪が負けてしまう。
では、大阪はどうすれば東京に勝つことができるのか?
ランチェスター第1法則と第2法則
小に有利(ランチェスター第1法則) | 大に有利(ランチェスター第2法則) |
局地戦 | 広域戦 |
接近戦 | 遠隔戦 |
一騎打ち | 確率戦 |
- 局地戦と広域戦
市場規模100億円の分野に社員1万人を投入すると人件費で赤字になる。したがって、従業員10万人の大企業でもその分野に投入できるマンパワーは200人くらいなる。200人対200人の戦いであれば小企業にも勝機がある。
- 接近戦と遠隔戦
飲食店など対面営業であれば、1店舗50人くらいなので小企業にも勝機がある。逆に、日本全国をマーケットとした大量販売+大量宣伝戦略であれば資金力のある大企業が勝利する。
- 一騎打ちと確率戦
一騎打ちとは「唯一無二」の商品という意味で他社の追随を許さない差別化された商品であれば小企業でも大企業に勝てる。逆に、大企業は「フルラインナップの商品群」を販売すると有利になる。例えば「プロ仕様カメラ」「ハイアマチュアカメラ」「エントリーカメラ」と多数の商品を展開すると小企業は追随できない。
「さいたま市」は東京と比較すると小規模であるが、「さいたまスーパーアリーナ」(最大収容人数36,500人 2000年竣工)を建設しこの分野では東京に勝っている。もちろん東京には東京ドーム(収容人数55,000人)があるが、プロ野球で使用されることが多いので設営と撤去に日数のかかるコンサートでは「さいたまスーパーアリーナ」の方が使い勝手がいい。
国際線と言っても「旅客」と「貨物」があるわけで、国際貨物の半数は旅客機の貨物室に積載して輸送される。つまり、国際航空については「旅客」と「貨物」を分離することは非効率になる。
関空を東アジアのハブ空港として利用しているフェデックスは中部空港から航空貨物事業を撤回して関空に集約している。もし、神戸空港が国際化してもフェデックスが神戸空港に貨物拠点を置くことはないだろう。
したがって、神戸空港に到着した国際貨物は陸送で関空に運搬されると思われる。しかし、日本国内の陸送費用は高いため、神戸空港は国際貨物のハブ空港とはなりえない。
2019年4月~2020年3月(平成31/令和元年年度)出典 国土交通省
順位 | 空港名 | 合計(人) | 国内線(人) | 国際線(人) |
1位 | 羽田空港 | 79,287,411 | 62,463,939 | 16,823,472 |
2位 | 成田空港 | 39,608,075 | 7,460,914 | 32,147,161 |
3位 | 関西空港 | 28,666,780 | 6,705,358 | 21,961,422 |
7位 | 大阪空港(伊丹) | 15,764,661 | 15,764,661 | 0 |
11位 | 神戸空港 | 3,292,298 | 3,292,298 | 0 |
羽田と成田の国際線は合計で約4,900万人であるから2つの空港に分割しても成り立つが、関空の国際線は2,200万人であり、これを分割すると東京との差が開くばかりだ。
東京に勝つためには、伊丹空港と神戸空港の旅客を関空に集約し、成田空港を規模で追い抜き日本国内第2位になるべきだ。