2020年5月27日、「スーパーシティ構想」を実現する「改正国家戦略特区法」が成立した。
「スーパーシティ」とは2030年にも実現する「未来都市」のことで、AIやビッグデータを利用し、自動運転、ドローン輸送、オンライン遠隔医療、キャッシュレス決済など都市生活のすべてを「自動化・オンライン化」する世界最先端の都市のことで、人口の高齢化、少子化への解決策と期待されている。
さらに産業界も「第4次産業革命」と位置づけ、将来的に事業化し海外にも輸出する思惑があるとされる。
- 行政手続
- 移動
- 物流
- 観光
- 医療・介護
- 教育
- 防災
- エネルギー・環境
- 支払い
スーパーシティは、埋立地や大規模な再開発地に新設する「新規開発型(グリーンフィールド型)」と既存エリアを指定する「既存都市型(ブラウンフィールド型)」の2種類がある。
新規開発型(グリーンフィールド型) | 大阪府市・三重県多気町・鎌倉市・牧之原市・東郷町・和歌山市など |
既存都市型(ブラウンフィールド型) | 愛知県・つくば市・京都府・東広島市・池田市・河内長野市・仙北市・千葉市・神戸市・浜松市・西条市・新城市・会津若松市・豊田市・富山市・養父市など |
スマートシティはIT化された都市という程度だが、スーパーシティは「社会」を大きく変える「未来都市」という意味がある。単なるIT化に止まらず、逆にITC(情報通信技術)を活用できるように規制緩和を行い社会を変革する。
- つまり「スーパーシティ」とは「IT化」を前提とした「社会システム」を実現するものだと思う。
- 但し、海外では「スマートシティ」とする場合も多い。
2020年内に全国5か所程度を選定し、(数年後?)住民の合意が得られれば「特別措置」を整備する。
- 閣議決定 国家戦略特区基本方針(第5条)
- 政令改正 国家戦略特区指定(第2条第1項)
- 総理決定 国家戦略特区区域方針(第6条)
- 区域計画案の作成(第8条)
- 特別措置
- 条例による特例措置制定・規制所管省の特例措置
- 国(各省庁)と地方の特例措置を一括処理
大阪府と大阪市は2021年4月16日に国の「スーパーシティ」構想に応募したと発表した。2025年大阪・関西万博の会場となる「大阪湾岸の夢洲」とJR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期」が候補とされる。
- 高齢化・少子化による労働力不足を解決するために「自動運転」などを導入し「交通インフラ」を再構築する
- 農場に無人トラクターやドローンを導入し食料を安定確保する
- オーバーツーリズムを解決するため、道路交通をAIで管理し交通渋滞を解消する
- AIとドローンで道路・橋・堤防などの施設を管理する
- 「第4次産業革命」の位置づけ技術を開発し、新たな日本の基幹産業とする
年代 | 動力など | |
第1次産業革命 | 18世紀半ば | 蒸気機関 |
第2次産業革命 | 1870年~1914年 | 電気・石油・鋼鉄 |
第3次産業革命 | 1980年代 | デジタル化 |
第4次産業革命 | 2010年代?2030年代? | AI・ドローン・ブロックチェーン・仮想現実・3Dプリンタ |
18世紀半ばの「(第1次)産業革命」の結果、いち早く産業革命を実現した「イギリス」が経済力と軍事力を手に入れ世界各地に植民地を持つ「超大国」となった。
その一方で「資本家」が「労働者」を搾取する時代が始まったとも言える。
同じことが「第4次産業革命」でも起きるのだろうか?
すべてが自動化された社会では「単純労働」はなくなるだろう。AIがビッグデータ(個人データ)を収集して、政府が個人生活をすべて記録できるようになる。
人口の1%くらい優秀な人間が、残り99%を支配する社会になるかもしれない。これが中国の狙いと思われる。
スーパーシティのように「単純労働」が無くなれば、世の中は失業者だらけになる。したがって、ベーシックインカムとして、政府が国民に毎月10万円~20万円を配る社会になるのではないか?
あるいは、週4日働いて週3日は休みになるかもしれない。
大阪人は好奇心が強くて新しい物好きなので「未来都市」って言われば、首長も住民も簡単に賛成してしまう。「新大阪」「新世界」「新今宮」「北新地」など大阪には「新」とつく地名が多い。
なんなら「新スーパーシティ大阪」なんていいんじゃないですか?
ここまで「スーパーシティ」について批判的に書いてきた。しかし、当ブログ管理人は「スーパーシティ」導入に大賛成だ。
今でも大手IT企業に個人情報を握られているのだから、今さら「日本政府」に個人情報を握られても大したことではない。
例えば、日本国内の月間利用者8,600万人の通信アプリLINEの利用者間でやりとりされた「すべての画像と動画」が韓国内のサーバーに保管されている。
引用・参照 朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASP3K64ZCP3KUHBI01W.html
多くの日本人は知らないだけで、実はすでに、スマホの位置情報、音声データ、画像、動画は私企業であるIT企業がすべてアクセスできる状態にある。
つまり、日本人の私生活は私企業であるIT企業に知られているのだ。
したがって、日本政府が私企業に代わって、個人情報を管理してくれた方が安全、安心感がある。
「スーパーシティ」は政府と産業界の金儲けのための「実験都市」に過ぎないという面もあるが、それでも、大阪へ誘致して「前へ進む」しかない。
中国はすでに「第4次産業革命」の入り口に突入している。今後、世界中の国家・都市で導入されるだろう。そうなったとき「大阪」だけが今まで通りという訳にはいかない。どうせ導入しないといけないのだから早めにやるべき。
ガラケーに固執して、スマートフォンを毛嫌いしては時代に遅れるばかりだ。