米アメリカン航空(American Airlines)は2022年8月16日、超音速旅客機「オーバーチュア (Overture)」20機の購入契約と40機のオプション契約に合意したと発表した。
超音速旅客機「オーバーチュア」は、米航空機ベンチャー「ブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic)」が開発中の超音速旅客機で、マッハ1.7(音速の1.7倍、時速2,082km)で飛行する。
2003年に引退した「コンコルド」以降で初めての超音速旅客機となる見通しで2029年にも就航する予定。
すでに、米ユナイテッド航空(United Airlines)も2021年6月3日、超音速機「オーバーチュア」15機の購入契約と35機のオプション契約に合意している。
JALは2017年に1,000万ドル(11億円)を出資し20機の優先発注権を得ている。
また、英ヴァージン・グループも10機の発注権を獲得している。
コンコルドは、騒音問題から陸上を航行できなかったが、超音速旅客機「オーバーチュア (Overture)」は、陸上をマッハ0.94(時速1,150km)で航行する予定。
オーバーチュア (Overture)契約機数(当ブログまとめ)
エアライン | 確定購入 | オプション | 合計 |
米アメリカン航空 | 20機 | 40機 | 60機 |
米ユナイテッド航空 | 15機 | 35機 | 50機 |
JAL(日本航空) | 20機(優先発注権) | 20機 | |
英ヴァージン・グループ | 10機(発注権) | 10機 | |
合計 | 35機 | 105機 | 140機 |
オーバーチュア(超音速機)概要
名称 | オーバーチュア |
英語表記 | Overture |
速度 | マッハ1.7(時速2,082km)
陸上マッハ0.94(時速1,151km) |
座席数 | 65席~80席(全席ビジネスクラス)
ちなみに、コンコルドは92席~128席 |
座席配置 | 横1席+1席 |
全長 | 62m |
航続距離 | 7,870km |
巡航高度 | 18,300m |
エンジン | 4基 |
価格 | 2億ドル(220億円) |
開発企業 | ブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic) |
運賃 | 現行のビジネスクラス並み |
製造開始予定 | 2024年 |
完成機体公開予定 | 2025年 |
初飛行予定 | 2026年 |
就航予定 | 2029年 |
NY~ロンドン | 3時間半(現在7時間) |
NY~フランクフルト(ドイツ) | 4時間 |
ロンドン~マイアミ(米国) | 5時間弱(現在8.5時間) |
サンフランシスコ~東京 | 6時間 (現在11時間) |
シアトル~東京 | 4時間半(現在8時間半) |
ハワイ~東京間の距離は約6,200kmなので、超音速旅客機「オーバーチュア」の航続距離7,870kmで十分就航できると予想される。現在の飛行時間7時間~9時間の半分の4時間前後で行けるようになるかもしれない。
また、シンガポール~関空間の現在の飛行時間は6時間~7時間なので半分の3時間半くらいで行けるようになるかもしれない。
全長は62mで客室長は40m程度と予想される。座席は縦に32席~40席なので、シートピッチは100cm~125cm程度と予想される。
互い違いに配置した「スタッガードシート」ならば、フルフラットシートの導入も可能かもしれない。
主な超音速旅客機開発計画
- ブーム・テクノロジー(USA)
- 「Xプレーン」NASA+ロッキード・マーチン
- スパイク・エアロスペース(USA)
- アエリオン・スーパーソニック(USA)
- ハイパーマッハ(UK)
超音速旅客機「コンコルド」は1976年に定期便運航を開始した。したがって「超音速旅客機」の開発自体に技術的な問題ない。
超音速時代とは?
計画段階だが、もし実現すれば何が起こるのか?
ビジネスクラス運賃で超音速旅客機に乗れるなら、現行のファーストクラスやビジネスクラスに乗る人は減少するだろう。
現在の航空会社の運賃体系は、エコノミークラスが満席でも、ファーストクラス客やビジネスクラス客が少ないと赤字になる。
現在のファーストクラス客やビジネスクラス客が超音速旅客機を利用し、従来の航空機はエコノミー客だけになってしまうと、赤字になるので、レガシーキャリアは窮地に陥るかもしれない。
その結果、超音速旅客機とLCCの2極化が進む可能性がある。
2極化が進むのか?
結局、将来的には「富裕層」と「一般客」の2局化する可能性がある。
これは、飛行機だけの問題ではなく、ホテルにも波及するのではないか?
今の大阪ではビジネスホテルが多く、富裕層向けのホテルが不足している感じがする。
近年、大阪で開業したのホテルは客室面積13㎡~15㎡のビジネスホテルが6割~7割と思われる。
インバウンド需要、カジノ、万博と浮かれている場合ではなく、10年後~20年後を見際まえて、富裕層を取り込むべきだ。
大阪の都市開発は、現状に満足して危機感がない。
関空の二期島の本格的ターミナルはいまだに建設の目途がたっていない。
2029年から始まる超音速旅客機時代に関空は対応できていない。
このまま行けば、再び、時代の変化に対応できず地盤沈下する可能性もある。